実家の建て替え費用はどのくらいかかる?補助金や税金についても解説

実家の建て替えは、どれだけ費用を抑えても2000万円以上はかかります。また、贈与税や相続税などの税負担も少なくありません。
今回は実家の建て替えをご検討されている方向けに、建て替え費用を抑える方法や補助金制度、節税など様々な対策を紹介します。実家の建て替えを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

2024年11月29日更新

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実家の建て替え費用はいくら?住宅別費用相場

実家の建て替え費用の相場は、2,000万円〜4000万円程度です。

ただし、住宅の建て替えにかかる費用は、住宅の規模や仕様によって大きく異なります。

国土交通省のデータによると、令和3年の建て替え費用(土地は除く)の平均は3,299万円でしたが、令和5年には5,745万円まで上昇しています。(参考:国土交通省-令和5年度 住宅市場動向調査報告書

また、建て替え工事では建物本体の工事費以外にも、さまざまな費用が発生します。

料金項目費用相場備考
解体費用150〜200万円30坪の木造2階建ての場合
登記費用15〜20万円司法書士報酬を含む
各種80〜100万円不動産取得税、登録免許税など
仮住まい費用60〜120万円6ヶ月の賃貸を想定

建て替え時にかかる費用については、こちらの記事で紹介しています。

>>建て替えにかかる費用の内訳はこちらで確認

実家を建て替えるお金がない時の対処法

先述した通り、住宅の建て替えにはまとまった費用が必要です。

資金面での不安な方は、以下の4つの方法を活用することで、建て替えのハードルが少し下がるかもしれません。

  • 住宅ローンの活用
  • 各種補助金の利用
  • ローコスト住宅の検討
  • 売却による資金確保

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

住宅ローンを組む

住宅ローンは、実家の建て替えで最も一般的な資金調達方法です。主な金融機関では、年収の7倍程度まで借り入れができます。

35年までの長期返済も可能なため、月々の返済負担を抑えられることでしょう。さらには、住宅ローン減税なども受けられるのは大きなメリットといえます。

たとえば年数300万円程の場合では、およそ2,000万円程度まで借り入れることが出来るため、建て替え費用の調達先として検討しましょう。

補助金の活用

国や地方自治体では、住宅の建て替えに活用できる補助金制度があります。

たとえば、省エネ住宅や耐震性の高い住宅を建てる場合、最大100万円程度の補助金を受けられる制度があります。

これらの制度は年度によって内容が変更される場合があるため、最新の情報を確認することが重要です。

詳しくは【新築時に使える補助金】の見出しで紹介します。

ローコスト住宅を建てる

築コストを抑えるのであれば、ローコスト住宅という選択肢もあります。

建材や設備を最低限にすることで、30坪の住宅で1,800万円程度までコストを抑えられる場合もあります。

ただし、デザインの間取りの自由は制限されます。将来的な改修なども考慮して、長期的な視点で判断することが大切です。

>>ローコスト住宅の建築費用はこの記事で紹介

売却して新しい家を購入する

実家の土地を売却し、より条件の良い場所で新築するという選択肢もあります。

とくに都市部の場合、土地の売却益を活用することで、建て替え資金の確保が楽になることもあります。

ただし、思い出のある実家を手放すことになるため、家族全員で検討しましょう。

また、新しい土地の検討では、日当たりや交通の便など、生活環境を知ることが最優先です

地元を熟知した工務店であれば、災害時のリスク管理を含めた土地探しもできるので、検討してみましょう。

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実家の建て替えで活用できるローン

実家の建て替えには、以下のようなローンを活用できます。

  1. 住宅ローン
  2. 住み替えローン
  3. リレーローン
  4. ダブルローン

建て替えの状況や家族構成によって、最適なローンは異なります。主なローンの種類と特徴を見ていきましょう。

1 住宅ローン

一般的な住宅ローンは、実家の建て替えでも利用可能な基本的な借入方法です。

金融機関から建物の建築費を借り入れ、毎月返済していく仕組みとなっており、35年までの償還期間を設定できます。

どんなときにおすすめ?

建て替え後の住宅に自分が居住する予定で、安定した収入がある場合

2 住み替えローン

住み替えローンは、現在の住宅ローンの残債と新しい住宅の購入費用をまとめて借りられるローンです。

このローンは現在の住宅ローンに残債があり、自己資金で完済できない場合や、現在の住宅の売却価格がローン残高より低い場合に利用されます。

住み替えローンのメリットとしては、ローンを一本化できることや二重ローンを組む必要がないこと、住み替えのタイミングを早められることが挙げられます。

どんなときにおすすめ?

今の家を売却しても住宅ローンが残る場合

建て替えを急ぎたい人

3 リレーローン

親と子が協力して1つの住宅ローンを返済する仕組みです。

通常、最初は親が返済を担当し、一定期間が経過した後に子が返済を引き継ぎます。

この仕組みは親の収入が安定している時期に返済を始め、子の収入が増加する将来に返済を移行することで、世代をまたいで住宅を購入する方法として注目されています。

親子リレーローンのメリットとしては、返済負担を分散できたり、親子の収入を合算することで借入可能額を増やせたりすることです。

一方で、親子間の関係性や将来の収入変動によってはリスクも伴うため、慎重に検討する必要があります。

どんなときにおすすめ?

世帯間で資金を分担したい場合

年齢制限などで長期ローンが難しい場合

4 ダブルローン

2つの不動産に対する住宅ローンを並行して組んでいる状態を指します。

たとえば自分の家を持ちつつ実家の建て替えをする場合で、自分の住宅ローンを継続しながら、建て替え用の新規ローンを組む場合はダブルローンの状態となります。

基本的に住宅ローンの残債がある場合、住居は売却できないため、一時的に2つの住宅ローンを抱えることになります。

ダブルローンの大きなメリットは、売却と建て替えのタイミングを自分で決められることです。

従来の住居を保有したまま、実家の建て替えができるので、時間やタイミングに縛られることなく進められます。

また仮住まいを用意する必要がないため、2回の引っ越しを避けられ、時間や労力コストを削減できます。

どんなときにおすすめ?

今の家を貸し出すか、資産として保有する場合

今の家の売却を急がず、好条件で売りたい場合

新築時に使える補助金

実家の建て替えで活用できる主な補助金制度には以下のようなものがあります。

住宅の建て替えでは、複数の補助金制度を受けられる場合があります。注意点としては、各制度には得られる制限や建物の性能基準などの要件があるため、申請前に詳細な確認が必要です。

国だけでなく、自治体ごとにことなった補助金制度を実施していることも多いので、お住まいの自治体にお問い合わせしてみてください。

申請のタイミングは、着工前に行うものが多いため、工事計画の初期段階から補助金の利用を検討しましょう。予算に限りがある制度も多いため、早めの情報収集と申請手続きが重要です。

詳しくはこちらの記事をご確認ください。

>>建て替えに活用できる補助金はこちらの記事で紹介

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実家の建て替え時にかかる税金

実家の建て替えでは、状況に応じて様々な税金が発生します。主な税金を以下の表にまとめました。

税金の種類タイミング
相続税実家を相続した際
贈与税実家の所有権を親から子に贈与する際
不動産取得税建替え後、新しい建物の登記が完了した後
固定資産税/都市計画税建替え後、毎年(1月1日時点で所有者に課税)

それぞれの税金について詳しく見ていきましょう。

相続税

相続税は親から実家を相続した際に支払われる税金です。

相続財産の価額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続数)を超えた場合に発生します。

実家を建て替える際、以下のような方法をとれば、現金の相続より節税が可能です。

たとえば、5,000万円で実家を建て替えたケースを考えてみましょう。

【現金で相続する場合】

相続財産: 5,000万円

相続税額: 約1,060万円(単純計算)

【建て替えて相続する場合】

建築費用: 5,000万円

固定資産税評価額(相続税評価額): 約3,000万円〜3,500万円

相続税額: 約460万円〜610万円(単純計算)

この例では、建て替えによって相続税額を約450万円〜600万円程度節税できる可能性があります

詳しくは以下の記事で解説しています。

>>相続のタイミングで建て替えるメリットや費用を抑える方法を紹介

贈与税

親から実家やその建て替え費用の贈与を受けた場合、贈与税の対象となります。

1年間(1月1日から12月31日まで)の受贈額が110万円以下であれば、贈与税は課税されず、申告の必要もありません。ですが、これを超える部分については10%~50%の納税が必要です。

ただし、親から子への住宅取得等資金の贈与については、最大1,000万円まで非課税となる特例があります。この特例を利用することで、贈与税の負担を大幅に軽減できる可能性があります。

不動産取得税

建て替えで新しい建物を取得した際には不動産取得税がかかります。

不動産取得税の税率は、通常4%ですが、住宅の場合は、軽減のため3%です。

現金標準額は建物の固定資産評価額をもとに計算され、住宅の場合は一定の権利が適用されます。新築住宅では最大1,200万円の権利を受けられる場合もあります。

固定資産税・都市計画税

建て替え後の住宅には毎年、固定資産税と都市計画税がかわります。

固定資産税は評価額の1.4%、都市計画税は0.3%が基本です。

新築住宅の場合、条件はありますが、一定期間固定資産税が2分の1に軽減される特例もあります。

評価額とは

不動産の価値を公的に評価した金額のことで、主に課税や公的な手続きの基準として使用されます。

評価額は、市区町村から送付される固定資産税の納税通知書に同封されている、課税明細書で確認できます。

また、市区町村の役所で固定資産課税台帳を閲覧したり、固定資産評価証明書を取得したりすることでも確認が可能です。

贈与税を抑えるためのポイント

実家を建て替える際、贈与税は大きな負担になります。

ですが、適切な方法を選べば税負担の軽減は可能です。贈与税を抑える3つの方法をご紹介します。

  • 子が実家を購入して名義変更する
  • 親から実家を贈与してもらい名義変更する
  • 実家の建物が高額な場合は相続時精算課税を使う

子が実家を購入して名義変更する

実家を子が購入し名義を変更する方法は、贈与税を回避できる有効な手段です。

親が所有する実家を子が購入する際には、親子間売買として扱われます。

実家の評価額が2,000万円の場合、親から子に贈与として渡すと贈与税が課税されますが、売買契約で購入すれば課税対象外です。

ただし、適切な市場価格で売買を行う必要があります。著しく低い価格で売買すると、税務署から贈与とみなされる可能性があるため注意が必要です。

また、購入資金を用意するために住宅ローンを活用することも可能で、家計の負担を軽減する選択肢となります。

親から実家を贈与してもらい名義変更する

親から直接実家を贈与される場合、贈与税が発生しますが、特定の控除制度を利用することで税負担を軽減できます。

たとえば、「直系尊属からの住宅取得等資金の贈与に対する非課税措置」を活用すれば、省エネ住宅の場合、最大1,000万円までが非課税(それ以外は500万円が非課税)となります。

この制度を利用することで、評価額1,000万円の実家を贈与された場合でも、贈与税を支払う必要がありません。

相続時精算課税を使う

この制度を利用すると、贈与時に最大2,500万円まで非課税枠を適用でき、贈与税を軽減できます。

ただし、相続時に贈与分も含めた財産全体に対して相続税が課税されるため、総額を考慮しての利用検討が必要です。

たとえば、建物の評価額が2,000万円の場合、この制度を活用することで贈与税を払わずに名義変更できます。

一方で、相続税率が20%の場合、相続時に400万円の税負担が発生する計算となります。

これにより、建て替え資金を確保しつつ税負担を最適化することが可能です。

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実家を建て替えるメリット・デメリット

実家を建て替える、メリットデメリットは以下の通りです。

メリットデメリット
バリアフリー設計で親の老後に対応可能高額な建築費用の負担
耐震性能が向上し、災害に強くなる工事中の仮住まい費用と親の転居の手間
二世帯住宅など、将来の同居に対応できる親世代と子世代で意見が分かれやすい

まず、メリットとして挙げられるのは、現在の家族構成やライフスタイルに合った間取りや設備を自由に設計できる点です。

新しい建物で耐震性や省エネ性能を向上させれば、安全性や居住性が大幅に改善しつつ、補助金も受け取れることでしょう。

一方で、デメリットは、解体や建設にかかる費用が高額になることです。建て替えの際に一時的な仮住まいが必要になる場合が多く、その手配や費用も負担となる可能性があります。

さらに、家族間で建て替えの意見が一致しない場合、トラブルに発展するリスクも考えられます。

建て替えを検討する際には、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、計画を立てることが重要です。

建て替えで後悔しないための注意点

建て替えを成功させるためには、事前の準備と確認が欠かせません。以下に3つ重要なポイントをおさえ、後悔のない建て替えを実現させましょう。

  • 家族間で実家の建て替えのイメージを共有する
  • 名義は誰になっているか確認する
  • 居住する人に合わせた間取りにする

家族間で実家の建て替えのイメージを共有する

実家を建て替える際は、家族全員でイメージを共有することが重要です。

建て替え時の間取りやデザインに関する要求は人それぞれ異なります。

早い段階で家族と話し合い、全員の意見を聞いておくことが大切です。

たとえば、親世代の生活動線を考慮したバリアフリー設計や子世代の将来的な子育てスペースなど、各世代のニーズを反映した設計が求められます。

共有が不十分だと、完成後に「こんなはずじゃなかった」という後悔に繋がります。建築士や工務店とも相談しながら、家族が納得できる計画を立てましょう。

名義は誰になっているか確認する

名義によっては相続税や贈与税の課税対象となる場合があります。

相続時の争いや建築費用負担の不公平感などのトラブルを回避するためにも、早めに確認しておくべきです。

親世代から子世代への名義変更が絡む場合、先述した贈与税の負担を軽減するポイントを参考に、損しないための対策をするといいでしょう。

居住する人に合わせた間取りにする

建て替え後の間取りは、居住する人のライフスタイルに適したものにすることが大切です。

高齢の両親が住む場合は、段差のないフラットな設計や手すりの設置が必要です。一方、若い世代が住む場合は、子育てしやすい動線や多目的に使える空間を取り入れるとよいでしょう。

また、二世帯住宅を考える場合は、世帯間のプライバシーを確保しつつ共有スペースの使い勝手にも配慮が必要です。

こうした工夫を取り入れることで、長期間快適に暮らせる家づくりが実現します。

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Q&A 実家の建て替えでよくある質問

実家建て替えは平屋が便利?

高齢者と住む場合、平家は優しい設計で利便性が高いです。

>>平屋住宅の建築費用相場はこの記事で紹介!

実家の建て替えは長男が行うのがいいの?

必ずしも長男が行う必要はありませんし、特別なメリットもありません。

実家建て替えを独身でするのは大変?

独身で実家を建て替える場合、資金計画や税金の負担を一人で担う必要がありますが、計画的に進めれば可能です。

建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?

ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。

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一生のうちに建て替えをする機会はそこまで多いものではありません。

後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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