2024年05月31日更新
500万円~800万円で家を建て替えたい
目次
500万円で建て替えができるのか?
30坪の住宅を建て替える場合、2000万円前後が相場となります。
その1/4、500万円で建て替えを行うことはできるのでしょうか。
住宅の仕様や諸経費などの詳細を見ていきましょう。
500万円のローコスト住宅は難しい
ローコスト住宅といえど、500万円で建てるのは至難の業です。ほぼ不可能に近いです。
仮に可能であったとしても、予算が500万円や700万円の場合、狭小だったり、平屋だったり、仕様も最低限だったり、多くの点で妥協が必要になります。
ローコストにするために、建設会社はベーシックな建材を大量に仕入れるため必要最低限の設備となるケースが多く、注文住宅のように思い通りに選ぶことはできません。
また、500万円の住宅の場合、水道・電気・ガスなどの引き込み費用や建物外部の配線・配管工事、解体費用・地盤調査などの費用は別料金となります。
さらに雨戸やシャッターなども別途になることがほとんどです。
施工会社の中には、家の建築時に必要不可欠な建築確認申請書の作成費用や工務店の利益なども入っていないことがあるため、500万円という金額はあくまで家本体の価格のみと思っていいでしょう。
さらに、上記のように最低限生活に必要な水道やガスを引く費用の他にも、門やフェンスなどの外構工事も含まれていないため、駐車場やフェンスなどを設置したい場合は注意が必要です。
また500万円の住宅の場合、家を建築する大工さんの賃金が相場より安価であるケースが多く、最悪の場合モチベーションが低下して仕事が雑になってしまう恐れもあるでしょう。
もちろん全てのローコスト住宅でそうなるとは限りませんが、万が一手抜き工事をされた場合は、将来のメンテナンスコストが一般的な住宅よりも高額になる可能性も否定できません。
現実的な建替の費用についてはこの記事で解説しています。
ローコストで建て替える業者のメリット・デメリットは?
次に、ローコストで建て替える業者は大手ローコスト住宅メーカーと地元の工務店のどちらを選べばいいのでしょうか。
それぞれメリット・デメリットを見比べてみましょう。
大手ローコスト住宅メーカーのメリット・デメリット
大手住宅メーカーのメリット・デメリットは以下の通りです。
【大手ローコスト住宅メーカーのメリット】
- モデルルームなどで見学できる
- 品質が安定している
- 知名度があり安心感がある
- 住宅ローンや仮住まいなどの提携先があり、手続きなどを任せられる
- 設計や職人などの教育がされている
- デザイン力がありやプレゼンテーションがわかりやすい
【大手住宅メーカーのデメリット】
- 仕様や設計にあまり自由がない
- 広告費用などにコストがかかるため工務店より価格が高め
- 標準仕様に含まれていないことが多く追加費用が出やすい
- 家を建てるまで営業や設計などが担当制のためコミュニケーションが取りづらい
- 下請けの工務店に技術の差がある可能性がある
- 規格品が多くコストパフォーマンスが悪い
大手住宅メーカーのメリットは何と言ってもその知名度でしょう。
また会社の規模が大きいため安心感を得ることができます。
一方、会社の大きさゆえに細かなサービスなどが行き届きにくい点がデメリットで、広告費などが工事費用に乗せられるため費用が割高になる可能性があります。
地元の工務店のメリット・デメリット
地元の工務店のメリット・デメリットは以下の通りです。
【地元の工務店のメリット】
- 間取りや設備などの要望に答えられる
- 品質が高い家が多い
- 工事の見積書に詳細が記載されているため分かりやすい
- 広告費や人件費のコストがかからないためコストパフォーマンスが良い
- 一緒に家づくりに参加できる
- 予算内に収まりやすい
【地元の工務店のデメリット】
- ローコスト住宅を取り扱う工務店が少ない
- 会社の規模が小さいため倒産の心配がある
- 家の完成後のイメージがつきにくい
- 現場管理が徹底していないことがある
- 工務店によっては品質が悪いこともある
- 住宅ローンの提携先がないことが多いため自分で手続きしなければならない
- 工期が長くなることがある
- 費用が不透明なことがある
地元の工務店のメリットは間取りや設備選びにおいて自由なことでしょう。
規模が小さい会社だからこそ小回りがきく家づくりが期待できます。
一方、工務店によって品質や満足度にばらつきが出てしまうのがデメリットでしょう。
「超」ローコスト住宅に建て替えるときの注意点
費用に何が含まれるのか確認する
先程もご説明しましたが、「超」ローコスト住宅の費用は、純粋な「家」本体の値段であるケースがほとんどです。
どのような工事が含まれているのかを必ず確認する必要があります。
また、建て替えする際は既存の家を解体・撤去しなければなりません。
既存の家の解体・撤去には高額な費用がかかるため、どれくらい費用がかかるのか見積もりを出してもらいましょう。
その他に、事務手数料や建築確認申請書の費用など、建て替えする際にかかる費用を把握して予算を組んでいきます。
追加工事をする場合予算を決めておく
当初予算に含まれていない工事を依頼して予算オーバーになるケースは少なくありません。
例えば壁紙の色や柄の変更が最初から含まれているのか、それともグレードが高くなるオプションなのかを確認します。
その他にシステムキッチンやお風呂なども、選ぶ種類やグレードによってオプションになりやすいでしょう。
何がどこまで含まれるのかは住宅メーカーや工務店によって異なるため、施工業者を決める時はこのような詳細も見比べてみるといいでしょう。
大手住宅のローコスト住宅の場合は質を求めない
一般的に大手住宅メーカーのローコスト住宅は、建築部材を大量発注してコストを下げているため、設備や建材はベーシックなものが多くなり、注文住宅でも建売のように決められた建具や設備になる可能性があります。
せっかくの注文住宅だから建具、設備などは自由に決めたいと考えていて、さらに質を求めるのであれば、ローコスト住宅は避けたほうがいいでしょう。
500万円住宅は間取りが大きく制限される
500万円で住宅を作りたい場合、設計する手間を省くためある程度間取りが決まっています。
いくつか間取りのパターンがありその中から選んでいくケースが多いのですが、間取りを一から決めたいと思っている場合は自由に設計できないため注意が必要です。
ただ決められた間取りは生活動線を考えた上で設計されているため、気に入った間取りであれば問題はないでしょう。
むしろ、費用を抑えて使いやすい住宅になることで満足がいく家づくりが期待できるでしょう。
予算800万円で家が建て替えられるか
建売住宅で建坪約20坪の家の場合、原価700万円〜800万円で建築することは可能だと言われています。
しかし、この費用はあくまで原価のみであるため、最終的には会社の利益分等が加算され、販売価格は約1,200万円〜1,500万円になることが多いでしょう。
また、予算が800万円であっても坪数が大きいと予算額を大幅に超えた見積もりになると予想されます。
加えて、建て替えの際には家の本体価格以外に解体費用等も必要です。
そのため、実際のところ800万円で家を建て替えるのは厳しいと言えるでしょう。インフレの加速により、難易度は更に高まっています。
建て替えも意外とお金がかかる
建て替えをする場合、建物の建築費用以外に解体費用や仮住いにかかる費用、車を持っていれば仮住い中の月極駐車場の契約料と賃料が発生します。
さらに、元の住居から仮住い先へ、仮住いから新居へと引っ越しを2回行わなければならず、荷物が仮住いに入らない場合には倉庫等を借りて一部の家財道具を保管する費用も必要になるでしょう。
また、解体、建て替えにともなう登記申請を司法書士に依頼すれば、依頼料金も別途かかります。
このように見ていくと、想定していたよりも多くのお金が必要になることが分かるでしょう。
また、建物をどこまで解体するのかによっても費用は大きく左右されます。
基礎部を解体する場合と基礎部を残しての解体とでは費用が変わります。
基礎を残して上物を建てるならば、費用を若干抑えることができるため、その費用を建物の建築費に回すことができます。
また、事例はほとんどありませんが既存の基礎を利用して上物を建て替えることもできます。
設計段階で、どのように解体するかはよく検討しなければなりません。
予算800万円で建て替えは難しい
ハウスメーカーによっては700万円台での建築例も出ていますが、前述の通りこれは家の本体価格のみの費用であることが多く、解体費用や工務店の利益等は別料金になることがほとんどです。
また、ローコスト住宅の場合、部屋数の少ない間取り設計で、設備や仕様は決められたプランからしか選べないことが多く、設備に関しても全体的にグレードを下げたものが提案されます。
さらに、建物の建築費用以外の外構工事や駐車スペースは別料金であることがほとんどであるため、800万円の費用の中にどの料金が含まれているのかを充分に確認する必要があります。
予算800万円ならリフォームの検討もおすすめ
予算が800万円の場合は建て替えではなく、リフォームを検討してみるのも良いでしょう。
最近では、耐震工事とバリアフリー工事をセットにしてリフォームを行う事例が増えてきているようです。
建て替え工事とは違い、リフォームならばもとの間取りに手を加えるだけで趣きや使い勝手を大きく変えることができます。
また、建て替えよりも工期や費用をおさえることも可能です。
バリアフリー化などの内装工事を予算400万円〜500万円くらいに抑え、200万円をキッチンやトイレ洗面所浴室などの水回り設備に振り分ければ、老後でも暮らしやすくなる家へリフォームすることが可能になるでしょう。
建て替えにかかる費用相場を知りたい
既存の建物を建て替えて入居するまでの一般的な流れは以下の通りです。
仮住まい探し→設計の打ち合わせ→近隣挨拶→仮住まいへ引っ越し→解体工事→法務局へ建物滅失登記申請→建築工事→完了後新居へ引っ越し
それぞれの工程の工事に必要な費用相場についてご紹介します。
解体費
解体費用は建物の条件によっては高額になる場合があります。
1:住宅密集地かつ侵入道路が狭い
建物が幹線道路から引っ込んだ位置にあり、重機が通れない場合や養生の手間がかかるケースです。
2:深基礎やべた基礎である
この場合、特に大きな手間がかかるため費用がかさむ原因になります。
3:地中に埋設物がある。
よくある事例は、使われていない昔の水道管や井戸、浄化槽がそのまま残っていることがあります。
解体費用が高くなる事例をあげましたが、解体中に想定外のものが地中から出てくるケースも多いため、解体工事は1平方メートルあたりの単価相場を出しにくい工事です。
建物構造別のおおよその相場価格は1平方メートルあたり、
- 木造住宅の場合は2.5万円〜5万円×床面積+その他解体費用
- RC造住宅の場合は4万円〜7万円×床面積+その他解体費用
- 鉄骨住宅の場合は3万円〜6万円×床面積+その他解体費用
が一般的な相場費用と言われています。
建築費
予算が800万円である場合は大手ハウスメーカーよりも中堅ビルダー等に相談することになるでしょう。
また、あらかじめ決められた複数のパターンから間取りを決めることになります。
ローコスト住宅ではベーシックな建材を大量に仕入れることで費用を抑えていることから、内装はシンプルで最低限の設備になります。
また、前述の通り800万円の住宅の場合は工務店の利益や解体費用等が別料金になっているケースが多いので注意が必要です。
また、外構工事も別料金になることがほとんどです。
見落としがちな建て替え費用について
建て替えでは想定外のことが起きて、費用が別途必要になり、予算をオーバーすることも少なくありません。
例えば、解体後に地盤調査をした結果、軟弱地盤であるために地盤の改良工事が必要になった場合は、基礎の補強工事も必要になります。
また任意ですが、地鎮祭や上棟式を行う場合はその費用も事前に見込んでおく必要があります。
その他にカーテンや照明器具、空調機などは別途費用がかかる点も頭に入れておきましょう。
さらに新居の建築中は仮住いをすることになるため、仮住いの賃料や引っ越し費用も必要です。
建て替え予算をオーバーした時にコストカットする方法
予算額が決まっていたとしても、設計の段階や工事途中での追加、変更を行うと予算を超えてしまうことがあります。
これは、打ち合わせが不十分だと起きやすい問題でもあるため、初期の打ち合わせで、希望することを正確に伝えることを心がけましょう。
自由設計だと建て替え時に予算オーバーしやすい
予算が少ない場合は、自由設計を依頼することは不可能に近いとも言えます。
しかし、予算が十分にあり自由設計を行った場合は、設備や床材などの選択肢が多くなるため、自由に選んでいると予算額をオーバーしてしまうことが多いのです。
この場合、どの費用を抑えるのか優先順位を決めて、再度プランを練り直さなければなりません。
自由設計でなく、設定されたプランの中から間取りを選ぶ場合は、間取りや仕様を変更することができないため基本的にはコストカットはできないと言えるでしょう。
このようなケースでは、フローリングを安価なものに変えたり、キッチンのグレードを下げるなどの方法が考えられます。
その他、エアコンやカーテン、照明等、入居後に必要なものを安価なもので対応するなどの方法もあるでしょう。
間取りをシンプルにする
家の形を正方形や長方形にし、間取りもできるだけ仕切りや室内扉を少なくすることで建築費用を抑えることができます。
L字型やコの字型は複雑なつくりになるので建築費がかかります。
特に建築費がかからない建て方は総2階建てにすること、とよく言われています。
シンプルな箱型の2階建ての家の内部の仕切り壁を最小限にし、部屋を細かく作らないことが建築費を抑えるコツと言えるでしょう。
間仕切り壁を少なくすると費用が抑えられる主な理由は、壁を作る木材や不燃ボード、壁紙、室内扉などの材料費と職人の手間賃などを省けるためです。
しかし、壁を少なくすると部屋は広くなりますが、エアコンなどの冷暖房の効率が悪くなるという短所もあります。
設備のグレードをなるべく下げる
設備費用が建築費用の中で占める割合は、約10%〜15%と言われています。
予算が800万円の場合、設備にかける割合を15%とした場合は約120万円になる計算です。
この金額をキッチン、浴室、トイレ、洗面所などに振り分けることになるため、安価なものしか選べなくなる恐れがあるでしょう。
設備にかかる費用を抑えるために、在庫処分品や年落ちと言われる新商品が出たために売れ残ったものタイプを選択するという方法もあります。
建て替え費用が低予算の場合、ハイスペックな設備を選ぶことは難しくなるので、ある程度妥協する必要があるでしょう。
建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?
ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。
実際に建て替えをするべきなのか、リフォームをするべきなのかを検討するためには、プロに現状を相談し、「プランと費用を見比べる」必要があります。
そのときに大事なのが、複数社に見積もりを依頼し、「比較検討」をするということ!
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一生のうちに建て替えをする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール
タクトホームコンサルティングサービス
亀田融一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。
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