2025年01月15日更新
建て替えの解体費用はいくら?補助金や会計処理についても解説
建て替えにかかる解体費用は、40坪の建物の場合120万~320万円が相場です。
この記事では、解体費用の相場や、費用を抑える方法について解説しています。取り壊しの費用相場を把握して、建て替えの準備をしましょう!
目次
建て替えでかかる解体費用の相場
建て替えの解体費用は、40坪の建物の場合120万~320万円が相場です。
標準工事代金には基本的に、「建物解体費用」「足場・養生費用」「重機レンタル費用」「手数料」が含まれています。
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建物構造別の坪単価
解体費用は、建物の構造や坪単価によって決まります。
以下の表は、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の坪単価を表にまとめたものです。
建物構造 | 坪単価 |
---|---|
木造 | 約3万〜5万円/坪 |
鉄骨造 | 約4万〜7万円/坪 |
鉄筋コンクリート造 | 約5万円〜8万円/坪 |
標準工事代金に含まれない費用
工事の内容によっては、標準工事代金に加えて追加費用がかかる場合もあります。
追加費用が発生するケースは、以下の通りです。
- アスベストがある場合
- 地中埋設物がある場合
- 浄化槽を撤去する場合
- ブロック塀を解体する場合
- 樹木を伐採する場合
- 廃棄物が多い場合
追加費用が発生しても落ち着いて対応できるように、資金計画には余裕を持たせておきましょう。
解体費用に影響を与える要因
建物の構造や廃棄物の量によって、具体的な解体費用は変化します。
ここでは解体費用が増減する要因を7つ紹介します!
1 建物の構造
建物の構造が木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造のいずれかによって、解体費用は異なります。
最も解体費用が安いのは、解体しやすい木造の建物です。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造は木造よりも解体しにくいため、解体費用が高くなります。
とくに鉄筋コンクリート造は頑丈な構造をしており、木造や鉄骨造よりも解体費が高くなりやすいです。
2 立地条件
解体する建物の立地条件により、費用が高くなる場合もあります。
周辺の道が細く重機を搬入できない場合は、通常よりも工事に時間と手間がかかります。
また、交通量の多い道路に面している場合は交通整備が必要です。
こういった理由で、通常に比べて人件費がかさんでしまう場合もあります。
3 廃棄物の量
解体後に出た廃棄物の量によって、処分費は変化します。
運搬に必要なトラックの台数や処理場までの距離も、処分費に影響を与える要因です。
業者に買い取ってもらえる廃棄物は、古い木材や金属スクラップです。
廃棄物を買い取ってもらう場合は、処分費がかからないだけでなく、廃棄物をお金に換えられるメリットもあります。
4 残置物や埋設物の有無
残置物や埋設物がある場合も、費用が追加でかかります。
残置物とは、建物・敷地内に残されたもののことです。
埋設物とは、地中に埋まっている建物の残骸やガス管の殻などのことです。
建物の中に残っている家具や家電製品といった粗大ごみは、解体業者に処分してもらうと産業廃棄物の扱いになり、処分費が高くなるので注意しましょう。
また、解体工事中に地中から埋設物が見つかった際は、別途処理費用が発生します。
埋設物の処理費用は、種類にもよりますが5千~2万5千円が目安です。
5 アスベストの有無
2022年4月より床面積が80m2以上ある建物の解体では、アスベストの有無を事前調査することが義務付けられています。
事前調査は図面調査と現場調査の2種類があり、2万~6万円ほどの調査費用がかかるので把握しておきましょう。
また、建物にアスベストが含まれていた場合は、解体費用とは別にアスベスト除去費用がかかります。
6 井戸の撤去
井戸の撤去では、解体費用とお祓い代が発生します。
お祓いは魂抜きと呼ばれるもので、神社に依頼して行うのが一般的です。
井戸の解体費用は10万円前後で、お祓い代は3万円前後です。
井戸の解体費用は、井戸の種類や深さ、水量によっても変化します。
7 付帯工事の有無
ブロック塀の解体費用 | 2千~3千円(1m2あたり) |
樹木の伐根伐採費用 | 約2万円(1本あたり) |
浄化槽の撤去費用 | 約5千円(6人槽) |
建物の周りにあるブロック塀・樹木・浄化槽等を撤去する際の費用相場は、上記の通りです。
浄化槽の清掃が必要な場合は、3万円ほどの清掃費用も発生します。
解体費用を抑える方法
建て替え時は何かと出費がかさむため、解体費用をできるだけ抑えたい方も多いでしょう。
ここでは、解体費を抑える方法について解説します。
家具や家電は自分で処分する
建物の中にある家具や家電は、解体工事前に自分で処分しておくと残置物が減り費用を抑えられます。
自治体の粗大ごみに出したり、不用品回収業者に依頼したりして、家庭内のごみを処分しましょう。
補助金や助成金を利用する
全国の自治体では空き家対策や不燃化対策として、独自の補助金・助成金制度を設けています。
条件を満たしていれば、申請手続きを行うと解体費用に使える補助金・助成金がもらえます。
詳細は各自治体で異なるため、お住まいの地域に補助金・助成金制度がないかを一度確認してみると良いでしょう。
住宅用地の特例を利用する
住宅用地の特例を利用すると、固定資産税の負担を軽減できます。
住宅用地の特例とは、1月1日時点で住宅が建っている土地の固定資産税を減税する制度です。
一戸あたり200平米までの土地は、固定資産税が1/6、都市計画税が1/3に減税されます。
固定資産税で住宅用地の特例を受けるためには、1月1日時点で土地に住宅が建っていなければなりません。
そのため、建物を解体して新築住宅を建てる場合は、1月1日までに建物が完成するように計画を立てることが大切です。
住宅用地の特例に適用されるかわからないときは、役所の窓口で相談してみてください。
土地が更地になっている場合や建物が未完成の場合は、住宅用地の特例を受けられなくなり、固定資産税が高くなってしまうので注意しましょう。
ただし、1月1日時点で建物が未完成の場合でも、条件を満たせば住宅用地の特例を受けられることがあります。
解体工事の流れ
解体工事を行う際は、解体業者の選定や申請書の提出が必要です。
思わぬトラブルを起こさないためにも、解体工事の大まかな流れを把握しておきましょう。
まずは解体業者に見積もりを出してもらうために、現地の調査・見積もり依頼をします。
現地調査では、建物の構造・建物の面積・劣化具合・周辺環境・搬入出経路等を確認します。
複数の解体業者に見積もりを出してもらい、作業内容や費用を比較検討しましょう。
信頼できる解体業者を1社選んだら、書面で工事請負契約書を取り交わします。
口頭ではなく書面でしっかりと契約を結ぶことが、悪徳業者を避けるポイントです。
契約を交わしたら、工事の前に建物の事前調査を行います。
解体工事の具体的な工程を確認したり、隣地との境界杭を確認したりするのが主な目的です。
また、重機・廃材の搬入出経路や、廃材の一時保管場所も決定します。
解体する建物の床面積が合計80m2以上の場合は、建設リサイクル法の申請が必要です。
工事内容が記載された申請書を、着工の7日前までに市区町村の窓口へ提出しなければなりません。
申請手続きは解体業者が代行するケースも多いですが、申請の義務は施主にあるのでよく確認しておきましょう。
また、解体工事前には近隣住民への挨拶周りと、ライフラインの撤去依頼をすることも大切です。
事前準備を一通り終えたら、解体工事を行います。
足場・養生シートを設置し、建物の内部から解体していくのが基本的な流れです。
建物内部の解体・撤去を終えたら、建物本体を解体していきます。
建物本体を取り壊す際は重機を使用するため、音やほこりが発生しやすくなります。
解体時には大きな音や振動が発生するため、近隣トラブルが最も起きやすいタイミングでもあるので、事前の近隣挨拶も大切です。
建物を解体し終えたら、廃棄物を分別して搬出します。
地中埋設物の有無も確認し、埋設物が出てきた場合は廃棄物とあわせて処分しましょう。
廃材処理が完了したら、土地を平らに整地して解体工事を終えます。
【会計処理】建て替えの解体費用は経費にできる?
建て替えの解体費用は、事業に関わる費用であれば原則経費に計上可能です。
たとえば、使用していた事務所を撤去して新しい事務所を建てる場合は、解体費用を経費に計上できます。
ただし、建物と土地を同時に購入して建物を1年以内に解体する場合は、解体費が土地の取得価額に含まれるので注意しましょう。
次の見出しでは、解体する場合ごとにどの勘定科目で計上するのかを紹介します。
解体して更地にする場合は【固定資産除却損】
建物の解体後に新しく建物を建てない場合は、「固定資産除却損」の勘定科目で仕分けするのが一般的です。
あくまで建物の撤去を目的とした場合であり、建て替えには該当しません。
建て替えのための解体は【建設仮勘定】
建物の解体後に新しい建物を建てる場合は、「建設仮勘定」の勘定科目で仕分けするのが一般的です。
建て替えに必要な解体とみなされるため、新築工事の一部として仕分けを行います。
解体工事で使える補助金
全国の各自治体では、以下のような補助金を設置している可能性があります。
目的 | 説明 |
老朽空き家対策 | 老朽化した空き家を安全に管理するための補助金 |
耐震化対策 | 建物の耐震性を高めるための補助金 |
不燃化対策 | 木造住宅が密集する地域の耐火性を高めるための補助金 |
補助金を受けるための条件や補助内容は各自治体によって異なるので、お住まいの地域にある補助金制度を確認してみてください。
一例として、品川区では不燃化対策を目的とした助成を行っています。(出典:品川区-都市防災不燃化促進事業の助成)
助成の対象になるのは、耐火・準耐火建築物以外の木造建築物です。
助成額は1,550万円を限度とし、実際にかかった解体工事費または建物の床面積1m2につき31,000円を乗じた額の、どちらか低い額が助成されます。
Q&A 建て替えの解体費用についてよくある質問
建て替えの解体費用についてよくある質問を紹介します。
- 一軒家を解体して建て替える費用はいくら?
-
一軒家を解体して建て替える費用は、2000万円~です。
- 30坪の建て替えにかかる費用はいくら?
-
30坪の建て替え費用は、3800万円が目安です。
- 建て替えの目安となる築年数はどのくらい?
-
築年数が40年以上の場合は、リフォームではなく建て替えをおすすめします。
建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?
ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。
実際に建て替えをするべきなのか、リフォームをするべきなのかを検討するためには、プロに現状を相談し、「プランと費用を見比べる」必要があります。
そのときに大事なのが、複数社に見積もりを依頼し、「比較検討」をするということ!
この記事で大体の予想がついた方は次のステップへ行きましょう!
「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」
「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」
そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
一生のうちに建て替えをする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール
タクトホームコンサルティングサービス
亀田融一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。
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