2024年01月05日更新

監修記事

建て替えのための解体費用!節税に繋がる勘定科目は?

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解体費用の考え方…勘定項目の何処に入れる?

建て替え 解体 費用 勘定 科目

建物の解体・撤去工事を行い、その費用が発生した時に使用する勘定科目や仕訳方法にはいくつかのパターンがあります。

どの勘定科目を選ぶのが良いのか、どのような仕訳方法になるかは、解体工事の目的により違います。

建物の解体工事の目的には、「建物を解体・撤去するだけ」のケースと「建物を撤去したあと、新しい建物を建築する又は将来建築する予定がある」建て替えというケースがあります。

建物の解体工事後に、「建物建てるか」「建てないか」で勘定科目や仕訳が違う理由は、解体後の土地の利用価値が変わることにあります。

建物を建てない・建てる予定はない場合は、土地の利用価値は下がり、建物を建て替える・将来、建物を建てる場合は土地の利用価値は上がります。

それぞれどのような勘定科目となるのかご紹介します。

その前に、建て替えで取り壊しにかかる費用や解体の標準工事費に含まれるものを解説します。

取り壊しの標準工事代金に含まれるもの

建て替え 取り壊し 費用

建物を解体する際、標準工事代金にはどのような項目の費用が含まれているのでしょうか。

一般的には「建物解体費用」「足場·養生費用」「重機レンタル費用」「手数料」などが標準工事代金に含まれているケースが多いでしょう。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

建物解体費用

家の解体工事にかかる費用の相場について解説します。

建物構造別の坪単価

解体工事を行う時には、坪単価によって解体費用が決まります。

坪単価とは、1坪あたりで建築にかかる費用のことです。

木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、それぞれの坪単価について表にまとめてご紹介します。

建物構造 坪単価
木造 約4万円〜約6万円/坪
鉄骨造 約5万円〜約7万円/坪
鉄筋コンクリート造 6万円〜/坪

鉄骨造とは、家の構造で鉄や鋼を使用している建物のことで、スチール(Steel)の頭文字を取ってS造とも呼ばれています。

一般的にはマンションやビルなどに多く使われている構造ですが、戸建て住宅でも鉄骨造のものがあります。

鉄筋コンクリート造はRC造とも呼ばれており、柱や梁などの構造が鉄筋とコンクリートでできている建物です。

解体費用の目安

建築の構造ごとに、坪数別の費用相場について表にまとめてご紹介します。

建物構造 坪数
50坪 60坪 70坪 80坪 90坪
木造 約200万円〜約300万円 約240万円〜約360万円 約280万円〜約420万円 約320万円〜約480万円 約360万円〜約540万円
鉄骨造 約250万円〜約350万円 約300万円〜約420万円 約350万円〜約490万円 約400万円〜約560万円 約450万円〜約630万円
鉄筋コンクリート造 約300万円〜約400万円 約360万円〜約480万円 約420万円〜約560万円 約480万円〜約640万円 約540万円〜約720万円

解体費用は、建物の状態など様々な要因によって価格が変動します。

足場·養生費用

解体する際には足場を設置して家を養生で囲う必要がありますが、足場の設置費用は広範囲であっても狭くても高額になると言われています。

足場の単価は、業者によってかなり異なることがありますが、1平方メートルあたり約800円ほどが相場です。

一般的な2階建て住宅では、約20万円ほどになるでしょう。

また、養生の費用としては、1平方メートルあたり約500円が相場です。

重機レンタル費用

重機を運搬する費用としては1台あたり約3万円が目安で、重機で解体する作業は1坪あたり約5千円ほどが目安です。

重機がスム-ズに入る土地であれば問題はありませんが、道路などが狭く入りにくい場合には重機が使用できなかったり、手数料が高くなる場合があります。

警備員費用

解体作業中に警備員が必要となるのであれば、1日あたり1人につき約1万2千円ほどが目安です。

住宅施工業者への手数料

解体工事は、取り壊し後に新しい住宅を建設する会社に併せて依頼するケースが多いのですが、解体工事自体は別の業者が行う場合がほとんどです。

その際に必要になるのが、解体工事を実施する業者への仲介の手数料で、解体費用の約10%が目安です。

しかし、依頼する会社が増えると手数料がその分高くなるため注意が必要です。

というのも、解体工事を依頼した業者が、自社では行わずにさらに他の解体工事業者に下請けに出すケースもあるのです。

このようにどんどんと依頼する会社が増えていくとそれぞれの会社に対しての手数料が増加してしまいます。

追加になる料金

建物の解体を実施する場所によっては重機を持ち込めない場合があり、廃棄物を運搬する大型トラックなどの横付けできない場所では、手作業で運搬することになります。

そのため、その分人件費や作業費が必要になり、追加で料金が発生する場合があります。

取り壊しの標準工事代金に含まれない費用

取り壊しの標準工事代金に通常含まれる項目について見ていきましたが、含まれない項目としてはどのようなものがあるのでしょうか?詳しくご紹介します。

撤去費用

家屋の外にある大型の設備等に関しては別途撤去費用がかかるケースが多いと言われています。

樹木

樹木の伐採撤去費用としては、大きさにもよりますが1本あたり約2万円程度が必要になるでしょう。

浄化槽

浄化槽の撤去費用は、その大きさにもよりますが、6人槽程度で約5万円が目安です。

撤去工事は建物の解体工事と同時に実施すると、浄化槽を単体で撤去する場合よりもやや費用がかさむことがあります。

また浄化槽の最終的な清掃を済ませておかないとさらに費用は高額になるでしょう。

浄化槽の清掃については、専門業者に内部の洗浄などを依頼します。清掃費用としては、約3万円を目安にかかります。清掃をすませずに撤去を依頼すると約10万円程度必要になりますので注意してください。

ブロック塀

ブロック塀を解体するための費用としては、その立地や施工の状況によって変わりますが、1平方メートルあたり約2~3千円程度が平均的な相場です。

この料金の中には、通常、撤去作業の費用とブロックの廃材処分費なども含まれています。

アスベスト調査費用

2022年4月より、床面積の合計が80㎡以上にあっては、家を解体する前に家に使われている建材にアスベストが含まれていないかを調査することが義務付けられています。

調査後にアスベストの有無を行政へ報告し、関係機関からのチェックをクリアしなければなりません。

もし、解体した建材にアスベストが含まれていた場合、処分費用はかなり高額となります。

調査費用の目安は約3万円〜約5万円が相場であり、調査費用はアスベスト専門の調査機関に委託する料金です。

地中埋設物の処理費用

解体工事をした際に、地中から何かしらの埋設物が見つかることがあります。

前に解体した時の廃棄物を処理することなく埋めてしまったりという悪質な場合もありますが、現在では廃棄物処分の規制はかなり厳しくなりました。

万が一見つかった場合には、施主側に地中埋設物の処理費用が別途加算されることになります。

処理費用の相場は、地中埋設物の種類にもよりますが約5,000円〜約2万5,000円です。

その他の費用

建物の中に家具等をおいているとその処分まで業者に依頼することになります。

そのためさらに費用が必要になるでしょう。

解体前に粗大ゴミに出すなどして処分しておくことをおすすめします。

各種申請費用

家の解体が完了した時に建物滅失登記を行う必要がありますが、土地家屋調査士に依頼することもできます。

その場合の費用は、約3万円〜約5万円が相場です。

建物を解体する前にも、役所に解体工事の届出書を提出しなければなりませんが、その場合の費用は無料で行えます。

それ以外に、警察署へ道路使用許可申請と道路占用許可申請も必要です。

近隣への挨拶費用

建物を解体する際には、取り壊し時の騒音や粉塵などの被害があり、近隣の方とのトラブルが起きやすくなります。

そのため、工事が始まる前に業者と一緒に挨拶まわりをすることをおすすめします。

挨拶時に持参する粗品は、業者が準備することが多いのですが、1軒あたり千円ほどの品物を準備するといいでしょう。

建物の解体工事の目的:建物の撤去

建物を解体・撤去する工事の主な目的が「建物の撤去」で、解体・撤去後に新しい建物を建てない又は将来も建物を建てる予定がない場合は、解体工事後土地の利用価値は下がり、建物という資産も解体することでなくなります。

そのため、建物の解体工事費用の勘定科目は、除却損の一部として計上される仕訳が一般的な仕訳となり、勘定科目は「固定資産除却損」を使用します。

建物の解体工事の目的:建物の撤去後に建物を新築する

建物を解体・撤去する工事の主な目的が「建物を新しく建てる」場合、新しい建物が建築されることにより土地の利用価値が上がります。

また、解体・撤去工事は建物が新築されるために必要な工事となり、建物の新築工事の一部という位置づけになります。

そのため、建物解体工事費用の仕訳は、新しい建物の取得価格に含める資産に計上する仕訳を行います。

将来、建物を建てる予定となっている場合でも、建物を新築した時の取得価格に含めるために「前払費用」などの資産勘定科目に解体費用を計上する仕訳を行います。

解体・撤去工事費用の勘定科目を選ぶポイントは、建物は解体・撤去するだけなのか、新しい建物が建つのか、将来建てる予定はないのか、建物の解体・撤去後に土地利用をどうするのか、はっきりさせることにあります。

節税に繋がる?勘定科目、仕訳のポイント

仕訳を行う勘定科目には、「資産勘定」「負債勘定」「純資産」「収益勘定」「費用勘定」の5つがあります。

「資産勘定」「負債勘定」「純資産」は貸借対照表で使われる勘定科目、「収益勘定」「費用勘定」は損益計算書で使われる勘定科目です。

勘定科目の種類や建物の解体・撤去工事費用の勘定科目と仕訳のポイント・仕訳の事例や節税につながるポイントについて解説します。

資産勘定

「資産勘定」は、土地や建物・自動車など資産価値があるものを取得した時や手離した時、売上の売掛金や現金の入出金預貯金の入出金が発生した時に使用する勘定です。

主な勘定科目は、土地・建物・構築物(外構ブロック・フェンスや駐車場など)・車両運搬具(自動車など)・現金・普通預金・定期預金・受取手形・売掛金などがあります。

資産勘定に値する資産が増えたり、減ったりする取引が発生した場合に、これらの勘定科目を使って仕訳処理を行います。

負債勘定

「負債勘定」は、金融機関から借り入れをしたり、掛けで仕入れをしたりするマイナスとなる財産や未払いの費用などが発生・消滅した時に使用する勘定です。

主な勘定科目は、借入金・買掛金・支払手形・預り金・未払い金などがあります。

資産がマイナスになる取引をして負債が増えたり、負債が減る(借入金の返済や買掛金の支払いなど)取引をした場合に、これらの勘定科目を使って仕訳処理を行います。

純資産

「純資産」は、会社を設立した時の資本金や元入金、個人事業主が使用する事業資金と個人資金の間で入出金があった時に使用する勘定です。

主な勘定科目は、資本金・元入金・利益準備金・事業主貸・事業主借などがあります。

会社設立時に資本金を計上したり、事業用の現金を家計費と使用したりした場合に、これらの勘定科目を使って仕訳処理を行います。

「純資産」の金額は貸借対照表の差引で、「純資産=資産―負債」となっています。

収益勘定

「収益勘定」は、売上を計上したり、預金利息などの雑収入があった、資産や有価証券を売却した時に売却益があったなど、利益や財産が増え、収入が増える(収益が上がる)取引があった場合に使用する勘定です。

主な勘定科目は、売上・受取利息・有価証券売却益・有価証券評価益・固定資産売却益などがあります。

費用

「費用勘定」は、給与や家賃・保険・交通費・消耗品・広告・電気代・水道代などの経費の支払いがあった時に使用する勘定です。

主な勘定科目は、水道光熱費・通信費・旅費交通費・消耗品費・支払給与・福利厚生費・広告費・接待交際費などがあります。

建物の解体・撤去工事と仕訳

仕訳の手順は、まず取引が発生した時(この場合、解体工事の費用を支払いする時)に解体工事費用がどの勘定に属するのか判断をします。

勘定の種類が決まったら、どの勘定科目を使用するか決め、仕訳を行います。金額を計算して仕訳ができます。

建物の解体工事費用の仕訳でどの勘定を使うか判断する際、検討するのは「資産勘定」と「費用勘定」の2つです。

具体例

【例1】 倉庫を解体撤去した費用が200万円かかり、現金で支払いをした。解体後、新しい倉庫を建築する予定はない。

  • 解体費用を支払した時に行う仕訳
仕訳 借方 金額 貸方 金額
固定資産除却費 2,000,000 現金 2,000,000
  • 倉庫を資産から除却する時に行う仕訳

倉庫の取得額が10,000,000円で、減価償却の累計額が9,800,000円の場合

仕訳 借方 金額 貸方 金額
固定資産除却費 9,800,000 倉庫(取得価格) 10,000,000
減価償却累計額 200,000

勘定科目の「固定資産除却費」と「固定資産除却損」は費用勘定です。

【例2】倉庫を解体撤去した費用が200万円かかり、現金で支払いをした。解体後、新しい倉庫を15,000,000円で建築した。

  • 解体費用を支払した時に行う仕訳
仕訳 借方 金額 貸方 金額
前払い金 2,000,000 現金 2,000,000
  • 倉庫を新築し、その代金を普通預金から支払った時に行う仕訳
仕訳 借方 金額 貸方 金額
倉庫(取得価格) 17,000,000 普通預金 15,000,000
前払い金 2,000,000

勘定科目の「前払い金」は、資産勘定です。

建物を解体費用も倉庫の取得価格に含まれる理由は、新しい倉庫を建てるために解体したからです。

建物の解体・撤去工事後に建てた建物の取得価格に解体工事費用が含まれると、解体費用分、建物の減価償却費が高くなります。

減価償却費は決算の時に費用として処理をします。

決算時に費用として処理されるので、利益から差し引かれ、申告所得がその分減り、節税につながります。

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建て替えのための解体工事・確定申告ではどうする?

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建て替えのための解体工事費用を処理する際、その費用は「資産勘定」なのか「費用勘定」なのかを考えなければなりません。確定申告の時にはこの点がポイントとなります。

解体工事の費用を解体業者に支払いをする時、現金や預金から支払を行うため、現金や普通預金という「資産勘定」が減ることになり、解体費用を「費用勘定」に仕訳すると思いがちですが、そのようにはならないケースがあります。

解体工事を行うケースは、主に3つのケースが考えられます。

「建物の除却」(建物を新しく建てない)、「建物の建て替え」、「現状復帰以上の修繕」です。

それぞれ、資産価値が上がるか下がるかで、取引の際の仕訳が変わります。

価値が上がった場合の仕訳

建物を解体することで、資産価値が上がるケースは解体後に建物を建てる場合と一部解体をして、現状復帰以上の修繕工事をする場合です。

それぞれ、解体費用は建物の取得価格に含まれる仕訳を行います。

【解体後、建物を新築する場合】

  • ・解体費用の支払いを行ってから、建物の資産に計上する仕訳
仕訳 借方 金額 貸方 金額
1 前払い金 〇〇〇、〇〇〇 現金 〇〇〇、〇〇〇
2 建物 ☓☓☓、☓☓☓ 普通預金 △△△、△△△
前払い金 〇〇〇、〇〇〇

前払い金が解体工事費用として支払った金額になります

【一部解体をして、現状復帰以上の修繕をする場合】

  • 解体費用の支払いを行ってから、建物の資産に計上する仕訳
仕訳 借方 金額 貸方 金額
1 前払い金 〇〇〇、〇〇〇 普通預金 〇〇〇、〇〇〇
修繕費 ◎◎◎、◎◎◎ 普通預金 ◎◎◎、◎◎◎
2 建物 ☓☓☓、☓☓☓ 普通預金 △△△、△△△
前払い金 〇〇〇、〇〇〇
3 修繕費 □□□、□□□ 普通預金 □□□、□□□

一部を解体して、現状復帰以上の修繕をする場合、解体費用も建物を修繕した費用も、2つに仕訳する必要があります。

1つは、現状復帰するための解体と修繕する費用です。損益勘定の修繕費として計上します。

建物の資産価値が上がる部分の修繕は、資産の建物に解体費も工事費用も計上します。

価値が下がった場合の仕訳

建物を解体・撤去して資産価値が下がるケースは、解体後建物を建てる予定がない場合です。

解体工事費は、固定資産除却費用として処理されます。

また、建物が解体されるので、建物を資産から除却し、決算における減価償却費の累計額から差し引いた残りの金額を固定資産除却損として計上します。

【解体費用を支払し、建物を資産から除却する仕訳】

仕訳 借方 金額 貸方 金額
1 固定資産除却費 〇〇〇、〇〇〇 現金 〇〇〇、〇〇〇
2 固定資産除却損 〇〇〇、〇〇〇 建物(取得価格) ☓☓☓、☓☓☓
減価償却累計額 △△△、△△△

解体工事費用と確定申告のポイント

確定申告は、その年の所得を確定させて、所得税の金額を申告する作業です。

解体工事の費用は、費用勘定として計上されれば、その全額が所得から差し引かれます。

そのためその年の所得を大きく減らすことができます。

解体費用を資産勘定として計上すると、決算処理では資産の減価償却費として所得から差し引かれます。

解体してから数年にわたり、所得から解体費用を減価償却費として減らすことができます。

解体費用が費用勘定なのか資産勘定なのかで、確定申告の金額が変わります。

そのことを考慮した上で、計上を行えば節税につなげることができます。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】タクトホームコンサルティングサービス

タクトホームコンサルティングサービス

亀田融

一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。

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