2024年05月28日更新
二世帯住宅の価格相場や建築費用を抑える方法を解説!
同居している親あるいは子供と互いに協力し合いながらも、それぞれのライフスタイルやプライバシーは尊重して暮らしたい。
そんな理由から二世帯住宅を選ばれる家庭は、核家族化が進んだ今でも、多く存在します。
リフォームや建て替えによる二世帯住宅化を検討し始めたら「価格はどれくらいかかるのか?」「今の建物のスペースで、どんな二世帯住宅が建てられるのか?」と、気になることは山積みです。
さらに、高額になりがちな二世帯住宅化工事を、どんな業者に任せるかも重要なポイントです。
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目次
- 1 二世帯住宅のプラン種別
- 2 二世帯住宅のメリット
- 3 二世帯住宅のデメリット
- 4 二世帯住宅の建て替え期間はどれくらいかかるのか?
- 5 二世帯住宅を新築する場合の平均予算
- 6 二世帯住宅を新築する場合の価格相場
- 7 バリアフリーの二世帯住宅を検討すべき理由とは
- 8 中古の二世帯住宅の価格の相場は?
- 9 一世帯の戸建て住宅を二世帯にリフォームする場合の価格相場
- 10 二世帯住宅へのリフォーム費用を抑える方法
- 11 二世帯住宅購入に関わるその他の費用
- 12 二世帯住宅の価格や建築費用を抑える方法
- 13 一部共有型で共有することの多い場所
- 14 二世帯住宅を建てる時の注意点
- 15 建て替えとリフォームではどちらがよいか
- 16 二世帯住宅の建設費用がいくらかかるか分かったうえで検討すべきこととは
- 17 どんな会社に依頼する?満足できる二世帯住宅を建てるために
二世帯住宅のプラン種別
ひと言で二世帯住宅といっても、共用部分の考え方で3つのタイプに分類できます。
完全同居型
完全同居型とは、一般的な一戸建て住宅の中に、二世帯が同居するタイプの二世帯住宅です。
一般的な一戸建て住宅とはいえ、入居する家族の人数が一世帯住宅よりは多くなりますから、それに伴い部屋数も増えます。
たとえば寝室は、少なくとも2部屋は必要になります。書斎や子ども部屋などの個室や収納庫も家族の要望によって増やすことになります。
また使用時の重複が予測されるトイレは、一世帯住宅が1 ~2カ所が標準なのに対して、二世帯住宅だと2~3カ所は必要になります。
さらにリビングやキッチンも一世帯住宅に比べて余裕のあるスペースにする必要があります。
このため一世帯住宅の一般的な延べ床面積が35坪~45坪なのに対して、二世帯住宅だと50坪~60坪が相場の広さとなります。
完全同居型は、一般的な一戸建て住宅と坪単価にあまり相違がないので、面積が増加した分だけ建築費用が増します。
平均建築費は約3,200万円です。
完全同居型二世帯住宅のメリット
完全同居型二世帯住宅のメリットは、水回りの設備などが1つで済むため、建設費用を抑えることができることです。
完全同居型二世帯住宅の平均的な建設費用は約2,000万~3,500万円で、単世帯住宅を2棟建てる場合やほかのタイプの二世帯住宅を建てる場合よりも費用を抑えることができます。
また、電気やガスなども共有することで効率的に使用でき、消費量を減らすことができるうえに、電気やガスなどの契約も1つになるため、光熱費を抑えることが可能です。
ほかに、日常的な家事や育児を協力し合い、密なコミュニケーションを取りながらサポートできるというメリットがあります。
完全同居型二世帯住宅のデメリット
一方で、完全同居型二世帯住宅のデメリットは、二世帯が同じ空間にいる時間が増えるため、様々なストレスを受ける可能性が高いということです。
それには建設前に十分な話し合いを行い、育児の考え方や光熱費の分け方など、ルール作りが必要になります。
生活パターンの違いなどを考慮して、お互いにストレスの少ないプラン作りができていると、住んでからのトラブルを減らすことができるでしょう。
一部共有型
一部共有型は、二世帯分離を意識したプランでありながらも一定の共用部分を設けています。
使い方を工夫することで、お互いの世帯への干渉を最小限にとどめようという考えです。
あるいは建築費用などの経済的観点から、できるだけ優先順位の低いものは共用にして二世帯住宅を建てようと考える人もいます。
何を共用部分にするかは、それぞれの世帯のライフスタイルによって異なってきますが、玄関については共用するのが一般的です。
一部共用型は、物理的に二世帯間を自由に行き来ができるため、玄関を二カ所設けても、防犯的な意味をなさないからです。
また建築基準法上も、ポーチ付きの玄関を二カ所設けると、共同住宅や長屋として取り扱われる可能性があるため、一部共用型である限りは、玄関を1カ所にした方が合理的なのです。
この他の浴室、キッチン、トイレ、洗面所、リビングなどは、それぞれの家族の生活パターンによって、どれを共用にするかを決めていくことになります。
たとえば世帯間で明らかに食事内容が異なる場合であれば、キッチンを共用にすると、それぞれの食事の支度の時間をずらす必要があるため、不便を強いられることになります。
一部共用型は、どの箇所を共用にするのかによって、工事費が大きくことなってきますが、完全同居型よりも、複数の部屋を設けることが多くなるため、工事費の相場は3,600万円~3,800万円になります。
部分共有型二世帯住宅のメリット
部分共有型二世帯住宅のメリットは、ある程度のプライバシーを保ちつつ、気軽にコミュニケーションがとれる点です。程よい距離感で同居することができることから、選択されることの多いタイプです。
また、完全分離型よりも建設費用や光熱費を抑えることができる点もメリットでしょう。
建設費用は各々が必要とした設備は2軒分になるため、約2,500万~4,000万円が一般的ですが、各世帯に設ける設備が多くなればなるほど費用も高くなります。
光熱費は、キッチンやお風呂が各世帯に設けられている場合、ほぼ2軒分必要です。
ただし、契約は2世帯で分けることができないため、基本料金分は節約できます。また、光熱費を分けるために、どちらかに子メーターをつけて料金を分けるという方法もあります。
部分共有型二世帯住宅のデメリット
デメリットは、玄関などの一部の設備を共有しているために、生活パターンの違いや生活音など、ストレスに結びつく可能性がある点です。
例えば玄関を共有している場合、親世帯が就寝してから帰宅が遅い子世帯が玄関を出入りするとなると、その音で目が覚めてしまうことなどもあるでしょう。
また、部分共有型二世帯住宅は売却時に用途が限定されるため、売りにくい物件になる点もデメリットだと言えます。
完全分離型
完全分離型は、構造上は一棟の建物になっているものの、それぞれの世帯のエリアが、独立した住宅として機能します。
このため建築基準法上は、「一戸建ての住宅」ではなく、「長屋」もしくは「共同住宅」として取り扱われます。
長屋の場合、二世帯の住宅の間に界壁という、防火と遮音性能を有する壁を土台から天井裏まで建ち上げる必要があります。
これが棟割でなく1階と2階に世帯を分けた場合でも、長屋の扱いとなり、界壁同様の防火性能を有する床が必要になります。
完全分離型の工事費の相場は約4,000万円です。
横割り型の二世帯住宅と縦割り型の二世帯住宅のそれぞれの特徴を見てきましょう。
【横割り】階で世帯を分ける完全分離型二世帯住宅
2階建て以上の住宅で、階で世帯分けをする完全分離型住宅は、1階は親世帯、2階以上を子世帯のように住み分けされている例が多いようです。
階別で暮らし分けをするので、外玄関は1階に一つあり、階上用の玄関として外階段を設置するなどしてもう一つの外玄関を設けます。
横割り型の二世帯住宅のメリットは、親世帯が階段のない1階に暮らすことで足腰が弱くなっても住みやすいという点が挙げられます。
ただしこのタイプの二世帯住宅は、2階以上で暮らす世帯の生活音が階下に響くという問題がよく起こります。
生活時間帯が異なる子世帯と親世帯が一つの住宅で暮らす場合にはこの騒音問題が顕著になります。
深夜、料理したり入浴をしたりすると、その排水音が階下に響き、階下に暮らす親世帯の生活の妨げになります。
そのため、横割り型の二世帯住宅では、設計段階で排水面での音の問題を配慮することが大切です。
【縦割り】住宅を左右で分ける完全分離型二世帯住宅
住宅を左右で二つに分けて、完全に独立した間取りを設計するのが完全分離型の二世帯住宅です。
二戸一住宅とも呼ばれていて、2戸の住宅を連結させた長屋のような印象の住宅です。
横割り型の二世帯住宅よりも独立性が高く、生活の時間帯が違い、価値観も違う2世帯が暮らすにはメリットの多い住宅です。
庭があればそれぞれが独立した庭を持つことができますし、緊急時には避難しやすいという点もメリットとして挙げられます。
また、将来的に空いた側を賃貸として貸し出しやすいことも縦割り型の二世帯住宅のメリットです。
しかし縦割り二世帯住宅はほぼ二戸分の家を建てるのに変わらない設計となり、建築費用は横割り型の二世帯住宅よりもかかります。
また将来賃貸にすることを考えて内部で行き来ができない設計にすると、親世帯の介護が必要になった時、行き来しにくくなるというデメリットがあります。
分離型二世帯住宅は平屋でも建てられる?
分離型の二世帯住宅を平屋で建てる場合、必然的に左右分離型(もしくは前後分離型)にする必要があります。建てるためのポイントやメリット・デメリットを紹介していきます。
土地面積が必要になる
分離型二世帯住宅を平屋で実現するには、単純に縦割りの住宅を横に延ばさなくてはならなくなりますので、土地が2軒分くらいの広さが必要となります。
目安としては最低でも40坪~50坪くらいは必要です。
メリット
平屋で分離型二世帯住宅には様々なメリットがあります。
まず、同じ敷地で暮らしますので、子育てや急な用事など子世代が困ったときにすぐに親世代を頼ることができるのが二世帯住宅の最大のメリットです。
プライバシーの確保や生活時間の違いなども、分離型であればそれらを解消することができます。
さらに分離型であれば、将来的にどちらかの世帯が住まなくなった場合でも賃貸として貸し出しやすくなり、相続税の「小規模宅地等の特例制度」で土地評価額80%か50%減税適用の対象になるなどのメリットも得られます。
デメリット
分離型の二世帯住宅の最大のデメリットとして挙げられるのがコスト面でしょう。
平屋の相場は設備や面積によりますが、3LDKで約1500万~2000万円と言われています。
それから考えて単純に2軒分となりますので、約3000万~4000万円です。(人件費や材料費などで多少は値引きされるので単純に2倍という事はないと思います)
完全分離型二世帯住宅のメリット
完全分離型の二世帯住宅は、売却のしやすさや賃貸物件としての見込みなど、他の二世帯住宅には見られないようなメリットがあります。
相続税の優遇措置を受けられる
完全分離型に限ったことではありませんが、二世帯住宅ならば相続税の優遇措置である「小規模宅地等の特例」が受けられます。
「小規模宅地等の特例」で宅地の評価額が80%に減る
「小規模宅地等の特例」とは住宅用地なら面積330㎡まで、事業用用地なら面積400㎡までの評価額を80%に減らすことができる優遇措置です。
この特例を受けられる条件は、「相続前から被相続人が同じ住宅で暮らしていたこと」と「相続後も10カ月以上その宅地を利用すること」であり、二世帯住宅はこの条件に該当します。
完全分離型の二世帯住宅も対象に
この「小規模宅地等の特例」は、かつては同居型や共有型の二世帯住宅のみが対象でした。
完全分離型住宅は住宅内で行き来ができるようになっていても一緒に暮らしているとはみなされなかったのですが、2015年度の税制改正により、完全分離型の二世帯住宅も小規模宅地等の特例の対象になりました。
売却時に買い手がつきやすい
完全分離型の二世帯住宅は、いざ売却をしようと思った時に売却しやすいというメリットがあります。
同居型や一部共有型の二世帯住宅は、買い手はそういった住宅で暮らしたい大家族に限定されてしまいます。
しかし現代では、複数世帯が一緒に住むよりも核家族化が進み、一世帯で一戸と考えている人が多いのが現状です。
完全分離型の二世帯住宅なら、買い手は大家族とは限らず、一世帯が買い取り別棟を賃貸として貸し出すなどの活用が考えられます。
そのため完全分離型の二世帯住宅は将来の売買がしやすい住宅とも言えます。
賃貸物件としての需要も見込める
賃貸物件として、親世帯が住んでいた住居部分を賃貸しやすいのが、完全分離型の二世帯住宅です。
賃貸物件のオーナーとなれば、都市圏内でしたら1LDKなら10万円前後、ファミリータイプなら15万円前後の収入が見込めます。
また賃貸として貸し出すことを念頭に入れている場合は、トラブルになりやすい騒音問題に配慮した設計にしましょう。
完全分離型二世帯住宅のデメリット
完全分離型の二世帯住宅のデメリットには、コミュニケーションの問題や費用面での問題が挙げられます。
二世帯間のコミュニケーションが希薄になる恐れがある
独立してそれぞれの生活を尊重できる完全分離型の二世帯住宅ですが、裏を返せば、両世帯の交流が少なく、お互いのコミュニケーションが希薄になることが考えられます。
子世帯は忙しく日々を過ごしていても、親世帯はせっかくすぐそばに住んでいるのに孫に会えないとなれば寂しさがつのるでしょう。
両世帯が納得のいくように、コミュニケーションへの気づかいが必要かもしれません。
二世帯間のコミュニケーションを意識したプランニングの例
完全分離型の二世帯住宅とはいえ、時には交流ができるようにプランニングをすることもできます。
お互いが行き来できるテラスの設置や、庭を共有するような設計をすれば、お互いが顔を合わせる機会ができるでしょう。
また住宅の内部で行き来できるようにドアを設置します。
ただしその場合は施錠ができるように設計をしないと完全分離型の二世帯住宅として認められませんので、注意してください。
同居型と比較して水回りの設備費用が2倍になる
完全分離型の二世帯住宅は、2戸分の住宅を建築するのとほぼ変わらなくなります。
特にキッチンやバスルームなどの水回りは、各世帯分ずつ用意しなくてはなりませんから、その設備費用は、同居型と比べると2倍になります。
同居型二世帯住宅と比較した建設費用
完全に2戸の住宅を建設するのとは違い、総工費用は同居型の二世帯住宅の2倍にはなりません。
同居型の二世帯住宅と比べれば床面積や基礎部分などは広くなるため、その総工費用は1.5~1.8倍程度になるでしょう。
ライフライン設備を共有していると光熱費も共有になる
落とし穴になりやすいのが、ライフラインの設備です。
間取りの面では完全に分離しているにもかかわらず、電気やガス、水道に加えて電話などを共有しているケースが見られます。
そうなると毎月の光熱費を共有することになり、後々どちらがどれだけ支払うのかで揉める可能性があります。
光熱費について家族で話し合った方が良い
光熱費を共有する場合には、どのように各世帯が分担するのか事前によく話し合っておく必要があるでしょう。
この問題で両者が対立する可能性があるようでしたら、最初から別々の設備の導入を検討することをおすすめします。
二世帯住宅のメリット
超高齢社会・少子化など、現代日本を取り巻く問題から注目を集めている二世帯住宅には、たくさんのメリットがあります。
住居の建築費が節約できる
二世帯住宅を建てるのは、普通の戸建てを建てるよりも費用がかかりますが、それでも別々の場所に2軒の家を建てるよりは安く済みます。
どこまで共有スペースとするか、何を分離するかで費用が大きく変わるので、高額になりやすいお風呂やキッチンなどの水回り設備を共有する生活スタイルで問題なければ、建築費負担の大幅な軽減につながります。
さらに、リフォームや建て替えで二世帯住宅をお考えの場合は、土地についてはすでに親世帯が所有しているものを活用する場合が多いため、新たな土地代は必要なく建築費用のみで済むことがほとんどです。
そう考えるとかなりの初期費用を節約できることになります。
生活費が節約できる
電気・水道・ガスなどの水道光熱費は、それぞれ1つにまとめることで基本料金については2世帯で1世帯分となります。
使用量についても、同じ家で暮らす人数が増えたからといって人数分倍増するわけではないので、1つにまとめることで割安になります。
さらに、携帯電話は家族プランなどを利用して費用を抑えられますし、インターネットをどちらも契約している場合は1回線で済むなど、通信費についても大きなコストカットが期待できます。
その他にも同様に細かいところで1つにまとめたり、協力しあったりすることで節約できるものは多くあります。
相続税が節約できることも
親世帯、子世帯で別々の住宅に住んでいる場合、親が亡くなった際にその土地を相続すると、相続税が発生する場合があります。
この相続税が払えないために土地を手放すケースもありますが、二世帯住宅なら、相続税を大きく節約できる場合があります。
例えば「小規模宅地等の特例」という制度は、適用条件を満たせば土地の利用目的と面積によっては、土地評価額が最大80%減額されるという制度です。
土地の評価額が下がるため課税額が下がり、相続税が節約できるのです。
親世帯に子育てを支援してもらえる
夫婦共働きが多い今の時代、子世帯にとっては、親世帯による子育て支援を得られやすいことは、何よりもうれしくて心強いメリットではないでしょうか。
保育園などに預けている間は、急な残業などによってお迎えが難しいときにも頼めたり、病気で預かってもらえないときに見てもらえたりすることもあるでしょう。
しかも、お互いの家を行き来する時間もほとんどかかりません。
小学校に上がってからも、一人でのお留守番などはかなり大きくなるまでは心配なものです。
すぐ近くに祖父母がいる、または学校から帰宅後は祖父母に見ていてもらえるという環境なら安心です。
親の介護が必要になったとき対応しやすい
親世帯の側では、介護という問題がありますが、これも二世帯住宅であることがメリットになります。
親に介護が必要になった場合、ただでさえ大変な介護ですが、離れた家まで介護のために通うのはさらに負担です。
二世帯住宅ならそういった負担もなく、自宅で介護できたり健康状態を見守ったりすることができるのです。
二世帯住宅のデメリット
メリットの多い二世帯住宅ですが、次はどんなデメリットがあるかを見ていきます。
プライバシーの確保が難しい
設備やスペースをどの程度共用するかにもよりますが、離れたところに住んでいるときとは違って、プライバシーの確保は難しくなります。
子世帯にとっては夫婦どちらの親と同居するか、親世帯にとっては、同居するのが娘世帯なのか息子世帯なのかによっても気を使うレベルは変わると思います。
お互いの世帯が全く気兼ねせず、プライバシーを保ちながら暮らすというのは二世帯では難しいことです。
生活リズムが違うとストレスもある
よくあるパターンとして、若い子世帯が遅くまで起きていてテレビ音や生活音が聞こえるため親世帯が眠りにつきにくかったり、早朝から活動する親世帯の生活音で子世帯が起こされてしまったりということが考えられます。
数日程度なら、ちょっとしたこととして我慢もできますが、長く一緒に住むことを考えると、こういった生活リズムの違いは大きなストレスになってしまいます。
生活費の分け方が難しい
メリットのところで触れた水道光熱費は、1つにまとめることでコストメリットがありますが、逆に費用負担の割合などで、不満を抱く要因にもなりかねません。
どちらかの世帯が特に電気や水道を多く使いすぎていれば、それに口出ししたくなったりもして、そこから関係性がこじれるということもあります。
お金の問題はデリケートなので言い出しづらく、不満が積もり積もって、後々大きなトラブルにつながってしまうこともあります。
二世帯住宅は売却しにくい
建て替えやリフォームによって二世帯住宅を建てるときには、それぞれの世帯が費用を分担して建てることが多いと思います。
ですが、例えば親世帯が介護つきの施設に入所することになったり、子世帯が転勤によって引っ越しを余儀なくされたりする場合、ローンの負担が大きくなってしまって売却せざるを得ないという状況も発生するでしょう。
二世帯住宅の場合、親世帯・子世帯共に納得し、了承する形でなければ売却できないのはもちろん、親世帯の状況によっては兄弟姉妹からの了承が必要になる場合もあります。
また、互いに了承していざ売却しようと思っても、二世帯住宅は全体的には需要が少ないためなかなか売却できなかったり、思ったような価格にならかったりすることが多い不利な物件だということも頭に入れる必要があるでしょう。
二世帯住宅の建て替え期間はどれくらいかかるのか?
二世帯住宅では複数の家族が一緒に暮らすため、家事や育児、介護の面でお互いのサポートがしやすくなるという特徴があります。
ある調査によると、住宅購入を検討している人の約6割が二世帯住宅に興味があるという回答をしたとの結果も出ているようです。
この記事の読者の方の中にも二世帯住宅に興味があり、建て替え期間がどれくらいかかるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
既存の住宅を二世帯住宅に変更する場合は、リフォームではなく住宅を一度取り壊して建て替えるのが一般的な方法です。
二世帯住宅に建て替える場合の大まかな流れは次のようになります。
まずは既存の建物を解体して瓦礫等を撤去します。
次に地盤調査を行い、調査の結果によっては地盤改良が必要になるケースもあるでしょう。
その後、ハウスメーカーや工務店などと相談しながら住宅の仕様を決め、建築工事が開始されます。
建物の解体から建築完了までの期間は各工程の条件によって左右されます。
たとえば地盤改良の要否や建築工事を行う時期の天候、建築する二世帯住宅のタイプ、工事を行う業者などの要因によって必要な期間は異なるでしょう。
長い場合は建て替え完了までに1年半ほどかかったというケースもあるようです。
建て替え期間・・・工程ごとにかかる期間は?
二世帯住宅に建て替える際の工程ごとにかかる期間について紹介します。
解体工事
解体工事を行う場合はまず解体工事を依頼する業者を探すところから始まります。
解体業者によっては工事中の養生が不十分で近所に埃などが飛散したりといったトラブルに繋がる恐れもあります。
しっかりとした業者を選定するためにも、少なくとも1カ月以上は業者の選定期間を準備した方が無難でしょう。
解体を依頼する業者が決まったら契約を交わし、工事の日程などを取り決めます。
工事の開始日までの期間はそれまで生活していた住宅の整理に充てることになります。
建て替え中は別の仮住まいへ引っ越すことになるため、引っ越し作業を業者に依頼することもあるでしょう。
その場合は引っ越し業者とのスケジュール調整も必要となるため、工事までの準備期間を更に長く設定する必要があります。
工事開始日までには家具の搬出だけでなく近隣住民への挨拶回りなども行います。
また、電気や水道なども工事開始日までに止めておく必要があります。
うっかり忘れてしまうことの無いように、余裕のあるスケジュールを立てることが重要です。
準備期間としてはできれば1カ月以上、少なくとも2週間は確保すると良いでしょう。
全ての準備が整ったらいよいよ解体工事が始まります。
解体工事は建物の立地や構造によっても必要な期間が異なりますが、10日~2週間程度を想定しておけば問題ないでしょう。
地盤調査(地盤改良)
新たに建物を建てる場合、安全に建てることができる地盤であるかどうかを判断するために地耐力を測ります。
これを地盤調査と言い、地盤調査の結果によっては不同沈下などが発生しないようにするために地盤改良を行う必要があります。
既に建物が建っている土地で建て替えを行うのであれば、ある程度の地耐力は確保されていることが予測できます。
しかし、過去に大きな自然災害や地盤沈下などが起こっていない場合でも地盤が緩んでいる可能性もあるため、地盤改良が必要になるケースがあります。
また、既存の建物よりも重量の重い建物を建てる際にも地盤改良が必要となることがあります。
地盤調査に要する期間は約半日~1日です。
その後、地盤改良を行う場合は約1日~3日で完了することが一般的なようです。
ただし、業者のスケジュールや地盤の条件、地盤改良の方法によっては長い場合で約1カ月かかるケースもあるようなので、事前に業者へ確認しましょう。
建築
二世帯住宅を建てる前に、まずはどのような住宅にしたいかについて居住予定者同士でしっかりとプランを練っておきましょう。
そしてある程度要望が固まったら、次はどの業者に建築を依頼するか決めます。
この時、複数の業者に相談して相見積もりを取得することによって工事費用の相場を知ることができたり、より良いプランと出会える可能性が高くなります。
可能であれば業者を探すための期間として1カ月~2カ月は確保できると良いでしょう。
工事を依頼する業者が決まったら、詳細な仕様について業者と相談しながら設計作業を進めていきます。
間取りなどがある程度規格化された住宅であれば、設計にかかる期間は多少短くなります。
しかし、ほとんどの二世帯住宅は注文住宅となるため、1~3か月程度をかけてプランや仕様を決めることになるでしょう。
この期間中に、業者との契約の締結、必要であれば住宅ローンの手続き等も並行して進めます。
住宅の仕様が決まり、家を建てる準備が整ったらいよいよ建築工事が開始されます。
建築期間がどの程度となるかについては家の仕様や業者によっても異なりますが、約3~4か月の工期となることが一般的なようです。
二世帯住宅に建て替え!工事期間中の仮住まいは
二世帯住宅への建て替えは部分的なリフォームやリノベーションとは異なり、仮住まいへの引っ越しを伴います。
そのため、二世帯住宅の建築費用とは別に仮住まいへの引っ越し費用や居住費を用意しなければなりません。
まず必要となるのが仮住まいの確保です。
仮住まいを不動産業者を通して賃貸する場合、通常は家賃に応じた金額の仲介手数料が必要となります。
物件によっては居住予定期間が僅かな間であったとしても敷金や礼金が必要だというケースもあるでしょう。
仮住まいの物件が決まったら、次に引っ越しの準備を行います。
元々の住居の近隣地域で仮住まいが決まれば引っ越しの負担は少なくて済みますが、遠方へ引っ越す場合はその分引っ越し費用も高額となります。
家族の人数が多くて荷物が多い場合は、費用を抑えるためにもできるだけ近場で仮住まいを探した方が良いでしょう。
近場で仮住まいを見つけることによって小まめに工事の進捗を確認することができるというメリットもあります。
引っ越し業者に依頼する場合、移動距離や日程によっても費用が変わってきます。
引っ越しの準備期間に余裕を持たせて引っ越し業者の繁忙期を避けることで、より費用を抑えることができるでしょう。
また、引っ越し作業についても複数の業者から相見積もりを取得することでより安い金額で作業を依頼できる可能性が高くなります。
引っ越し業者の選定から引っ越し当日までの期間は少なくとも1カ月~2カ月は見ておいた方が良いでしょう。
仮住まいへの引っ越しが無事に完了したら、あとは二世帯住宅の完成を待つのみです。
通常は3~4か月で建築工事は完了しますが、建て替えの期間は工法や建物の構造、建物の大きさなどによっても異なります。
また、工事を行う時期の天候によっても工期に影響が出ることがあるでしょう。
建築期間が長引けば借住まいでの生活も長くなるため、賃貸の場合は家賃も余分に必要となります。
予算を立てる際には工事が長引いてしまう可能性についても想定し、余裕のある予算を用意しましょう。
二世帯住宅を新築する場合の平均予算
二世帯住宅を建てたいと考えている場合、まずは二世帯住宅を新築するときの平均予算がどれくらいなのか知る必要があります。
では、二世帯住宅を新築する場合、どのくらいが平均予算なのか実際の金額を見ていきましょう。
二世帯住宅の平均予算は約2000万円〜約3000万円
二世帯住宅を新築する場合の平均予算は、約2000万円〜約3000万円です。
この予算は、二世帯住宅の規模や仕様などによって異なります。
二世帯住宅を新築する場合の価格相場
次に、二世帯住宅を新築する場合の価格相場をご紹介します。
二世帯住宅を新築する場合の建築費用の目安は、完全同居型・完全分離型・一部分離型のどのタイプの二世帯住宅を選ぶかによって異なります。
しかし二世帯住宅の建築費用の目安は、一般的な一世帯の家を建築する費用の約1.5倍〜約1.8倍と言われています。
完全同居型の二世帯住宅を新築する場合の建築費用相場
完全同居型の二世帯住宅を新築する場合、住宅の仕様は一世帯の住宅とほとんど変わらないため、費用も一世帯用の住宅を新築する費用と同じくらいです。
二世帯住宅で最も費用を抑えることができるタイプですが、それぞれのプライベートを確保しにくいことがデメリットとなる可能性があります。
坪単価を平均的な50万円とした場合、30坪と40坪で新築したときの建築費用の目安は以下の通りです。
- 30坪の場合:坪単価50万円×30坪=1500万円
- 40坪の場合:坪単価50万円×40坪=2000万円
一般的に4人〜5人で居住する場合に必要な面積は30坪〜40坪と言われているため、4人〜5人で居住する完全同居型二世帯住宅を新築する場合は、1500万円〜2000万円が相場と言えるでしょう。
完全分離型の二世帯住宅を新築する場合の建築費用相場
完全分離型とは、親世帯・子世帯それぞれ玄関を別々に設け、居住スペースや水回りなども親世帯・子世帯で分かれているタイプの二世帯住居のことです。
親世帯と子世帯の居住スペースが完全に分離しているため、お互いを気にせずにそれぞれの生活スタイルを尊重することができます。
しかし完全分離型の場合、玄関や水回り、居住スペースなどを世帯ごとに設ける必要があるため、建築費用も一般的な一世帯の住宅の1.5倍〜1.8倍ほどかかります。
では、30坪と40坪で完全分離型の二世帯を新築したときの費用の目安を見ていきましょう。
- 30坪の場合:1500万円×1.5〜1.8=2250万円〜2700万円
- 40坪の場合:2000万円×1.5〜1.8=3000万円〜3600万円
このように完全分離型の二世帯住宅を新築する場合の建築費用は、約2250万円〜約3600万円が目安です。
しかし、設備のグレードが上がったり水回りが増えたりすると上記の金額よりも高くなる可能性があります。
一部分離型の二世帯住宅を新築する場合の建築費用相場
一部分離型とは、玄関や水回りなどは共有し部屋は別々にするなど、共有する部分とそれぞれのプライベート部分が設けられているタイプの二世帯住居です。
一部分離型は、費用などの面から完全分離型が難しい場合や完全同居型よりもプライバシーを確保したい場合に選ばれる二世帯住宅となります。
また、一部分離型において共有部とされやすいのは、玄関やキッチン・お風呂などの水回り、リビングなどが挙げられます。
共有する部分はそれぞれの家庭によって異なりますが、水回りやリビングなどの設備が共有できるため、完全分離型の費用よりも比較的抑えられる傾向にあります。
一部分離型の二世帯住宅の建築費用相場は、完全同居型と大きくは変わらないでしょう。
しかし、共有しない設備を増やせば費用もその分高くなります。
バリアフリーの二世帯住宅を検討すべき理由とは
二世帯住宅を建てるのをきっかけに、将来を見据えた介護をしやすい間取りを設計する必要があるでしょう。
そこで大切なのが、二世帯住宅のバリアフリー化です。
二世帯住宅をバリアフリーにすることは、親も子も安心して快適に暮らせるための秘訣となるでしょう。
二世帯住宅に取り入れたい基本的なバリアフリー間取り案
では、二世帯住宅に取り入れたい基本的なバリアフリーや間取り案とはどのようなことがあるのでしょうか。
具体的な例を見ていきましょう。
二世帯住宅に取り入れたい基本的なバリアフリーとは?
親が高齢になると、足腰が弱くなり転倒しやすくなったり長距離を歩くのがつらくなるなど歩行が困難になる可能性があります。
そうした場合、多くのケースで車椅子が利用することになるため、二世帯住宅でも車椅子の利用を想定した間取り案を練る必要があります。
玄関アプローチのバリアフリー
まず、玄関アプローチには階段などの段差を作らずにスロープを設置します。
スロープがあれば、車椅子で容易に玄関に入ることができます。
また、足腰が弱く歩行が難しい場合でも、段差がないことでつまづきにくくなるでしょう。
廊下のバリアフリー
廊下には手すりを設置することで、手すりに掴まりながら歩行できるため転倒の可能性を軽減できます。
また、車椅子に乗った状態で方向転換できるように、廊下の幅を車椅子で回れる程度の十分な広さが必要となります。
ドアのバリアフリー
多くのドアは手前に押したり引いたりするタイプとなりますが、バリアフリー化するとドアは引き戸のタイプを使用します。
引き戸タイプのドアだと、力をあまりかけずに開閉できたり、通常のドアのように開閉時に体を動かす必要がないからです。
平屋と二階建ての1階に親世帯が住む間取り案
次に、平屋と二階建ての1階に親世帯が住む場合の間取り案をご紹介します。
例1 平屋左右分離型二世帯住宅の間取り案
まず、二世帯住宅が平屋で左右分離型の場合、玄関はそれぞれ別になり廊下やLDKなど全て段差が無いように設計することで、転倒防止や車椅子での往来に配慮します。
また、掃き出し窓にはウッドデッキを設置することで、リビングが広く見え布団や洗濯物が干しやすくなるなどの生活動線に配慮した間取りとなるでしょう。
例2 2階建ての1階に親世帯の居住スペースがある間取り案
2階建ての1階に親世帯の居住スペースがあることで、親世帯は普段から階段を使うことなく、平屋に住んでいるように生活範囲をコンパクトにすることが可能です。
また、廊下自体の距離を短くし生活動線を考えた間取りにすることで、移動距離を最短にすることができ、移動を楽になる間取りとなります。
2階建て二世帯住宅で検討したいバリアフリー間取り案
2階建ての二世帯住宅を建てる際、親が2階へ行き来する可能性も大いにあるでしょう。
そのため、親が住む1階のみをバリアフリー化すればいいわけではありません。
では、2階建て二世帯住宅で検討したいバリアフリーとはどのようなことがあるのでしょうか。
2階建て二世帯住宅に取り入れたいバリアフリー
2階建て二世帯住宅に取り入れたいバリアフリーは以下の通りです。
階段のバリアフリー
2階へ行くために階段を上ることは避けられません。高齢になって足腰が弱くなった場合、まず考えられるのが転倒や階段からの転落です。
それらを防ぐためには、階段に手すりを設置することが重要となります。
階段に手すりを設置する際、片側だけに取り付けるケースが多いのですが、階段を上り下りすることを考えると、両側に手すりを設置するのが最も有効だと言われています。
また、階段の足元は一般的にフローリングと同じ床材のケースが多いのですが、滑りやすいため高齢者には危険です。
バリアフリー化にするならば、階段に滑り止めを貼るなどして転倒を防止する対策をしましょう。
車椅子利用者や階段を上ることができない場合、階段に昇降機を設置することも有効です。
昇降機とは椅子のようなリフトに乗り、レールに沿って階段を上り下りする機械のことで、ホームエレベーターよりも安価で設置することができます。
階段以外のバリアフリー
階段以外のバリアフリーだと、ホームエレベーターの設置も検討対象となります。ホームエレベーターであれば、足の不自由な人や車椅子であっても簡単に2階へ上ることができます。
初期費用は手すりなどに比べると高額になりますが、荷物なども2階に運びやすくなるためバリアフリー化の設備として導入を検討しても良いのではないでしょうか。
2階建て二世帯住宅の間取り案
2階建て二世帯住宅の場合、一般的には1階に親世帯があるケースが多くなります。
しかし、1階の場合は陽当たりがあまり良くないことがあり、日中は2階のスペースに滞在するケースも少なくありません。
一方、2階で住んでいる子世帯は、日中働きに出ていたり学校などで在宅していないため、日中は親世帯が2階で滞在するということも可能です。
ただ、そこで気になるのが階段の上り下りです。
しかし、ホームエレベーターを設置することで上記の悩みも解消できる可能性があります。
もし、親世帯が施設に入ったり子世帯が転勤になったとしても、完全分離型の2階建て二世帯住宅であれば、エレベーターを完備した賃貸物件にすることもできるでしょう。
二世帯住宅のバリアフリーに補助金などの制度はあるのか
二世帯住宅を新築で建てる際に、条件を満たしていれば適用可能な補助金や税制の優遇があります。
国で行っている税制の優遇は、新築時の要件を満たすことで適用される可能性があります。
- すまい給付金
- 地域型住宅グリーン化補助金
上記の補助金制度はバリアフリーに特化した制度ではありませんが、二世帯住宅の新築時に要件を満たすことで適用される可能性があります。
また、二世帯住宅のバリアフリーに特化した補助金制度は、各自治体で行うところもあります。
全ての自治体でバリアフリーの補助金制度がある訳ではありません。
また、補助金制度があったとしても、各自治体ごとに要件が異なりますので、詳細は二世帯住宅を建てる予定の自治体に確認してみると良いでしょう。
中古の二世帯住宅の価格の相場は?
中古住宅として販売されている一戸建て住宅の中には、数としては少ないですが中古の二世帯住宅もあります。
では、中古の二世帯住宅の価格相場はどのくらいでしょうか。一般的な相場について紹介していきます。
中古の二世帯住宅の費用について、相場という形で紹介することはとても困難です。
というのは、住宅の販売価格というのは様々な条件により大きく異なるからです。
例えば、どの地域で中古の二世帯住宅を探すのか、築年数や間取り、広さなどの条件により、中古の二世帯住宅の価格は数百万円~数千万円と大きな幅があります。
そのため、予算の中で最も納得のいく物件を探すことが大切です。
また、中古で二世帯住宅を購入する場合、よくあるケースが全ての条件を満たす物件を探してしまい、結局時間だけが過ぎてしまうことです。
中古の二世帯住宅を検討する場合、全て納得のいく条件の物件を探すことは難しいため、いくつか最低限必要な条件を決め、その中での予算を立てておきましょう。
購入した後に、リフォームやリノベーションでより納得のいく形に改装することをお勧めします。
また、この場合の改装費用もきちんと最初の予算に組み込んでおくことが重要になります。
分離型二世帯住宅の中古で買うには?
分離型二世帯住宅は中古でも販売しています。しかし、売りに出されている数は少数でしょう。
それは現在、核家族化の進行が顕著で二世帯住宅を希望する人が減っており、二世帯住宅事態が少ないのが理由です。
では、中古住宅はどれくらい安いのかや注意するべきポイントを紹介していきます。
分離型二世帯住宅を中古で購入するときの相場は?
二世帯住宅は新築時の工事費が高くなるため、中古住宅でも中々安く売りに出されている場合が少ないようです。
中古費用は基本的に土地価格と原価法で求めた建物価格の合計で売却費用を決定するので、売り出し価格が割高になることがあります。
例えば、築10年の3LDK(分離型のため、実質2軒)で購入価格が3700万円です。これは地域や状態によっても大きく変わりますので参考程度ですが、あまり大きく値段は下がりません。
生活スタイルを検討する
2世帯住宅の場合、自分たちに使いやすい住宅が必ずしも親世代が使いやすいわけではありません。
特に分離型二世帯住宅は同じ作りの住宅の場合が多いですので、しっかりと自分たちと親世代の生活スタイルにマッチする間取り、設備などを確認する必要があります。
幸い、中古の場合は実際の建物を見ることができますので、検討する際はなるべく全員で建物の確認と話し合いをしていきましょう。
売りに出されている理由を確認する
中古住宅は様々な理由から売りに出されています。特に築年数が浅いと負の要因を想像する人もいますので、後でもめないためにも売りに出されている理由を確認してから納得して購入するようにしましょう。
一世帯の戸建て住宅を二世帯にリフォームする場合の価格相場
次に、一世帯の戸建て住宅を二世帯にリフォームする場合の価格相場をご紹介します。
一世帯住宅の2階部分を二世帯住宅にリフォームする場合の価格相場
もともと一世帯用の住宅として建てられた住宅の2階部分を使用していない場合、2階部分をリフォームして二世帯仕様にすることができます。
リフォームならば、建て替えよりも費用を大きく抑えることが可能です。
築年数が古い場合は水回りの劣化が進んでいる可能性があるため、二世帯で共有して使用できるようにリフォームを行うのが一般的です。
また、子世帯が2階に居住する場合は、2階部分に子世帯用の玄関を設けるといいでしょう。
【2階を二世帯住宅へとリフォームした場合】
- リフォーム費用相場:約1000万円〜
- リフォーム箇所:浴室、キッチン、リビング、ベランダ、玄関など
離れを完全分離型二世帯住宅にリフォームする場合の価格相場
所有する敷地内に倉庫などの離れがある場合、離れをリフォームすることで完全分離型の二世帯住宅にすることができます。
離れにキッチンや浴室があれば、水回りを設置する費用などのコストを削減できます。
また、リフォーム時には親世帯、子世帯のどちらが離れに住むかで間取りや仕様が変わってくるでしょう。
その場合、離れは広さが限られるため、人数の少ない世帯に向いています。
【離れを完全分離型へリフォームした場合】
- リフォーム費用相場:約1100万円〜
- リフォーム箇所:キッチン、トイレ、収納、外壁など
二世帯住宅へのリフォーム費用を抑える方法
二世帯住宅へのリフォームは、一般的な住宅よりリフォーム費用が高くなるケースがよくあります。
ですので、二世帯住宅へのリフォーム費用を抑える方法をいくつか紹介していきます。
まず、二世帯住宅の中でも完全分離型の二世帯住宅を避けることです。
完全分離型の二世帯住宅にすると、一つの住宅にキッチンやトイレ、浴室がそれぞれの世帯に必要となり、その分リフォーム費用が高くなります。
そこでリフォーム費用を抑える方法として、一部共有型の二世帯住宅にするという方法があります。
水回り設備を世帯間で共有にすることで、リフォーム費用を大きく抑えることができます。
ただし、トイレについては各世帯に一つはあった方が良いかもしれません。
また、このような二世帯住宅は、リフォーム費用は抑えることができますが、生活上制限が出てきますので、事前にきちんと世帯間で話し合いましょう。
また、リフォーム工事を内装工事のみにすることで、リフォーム費用を抑えることが可能です。
それには、外装の工事を極力省き、玄関も世帯間で共有します。
二世帯住宅へのリフォーム費用を抑える方法は、物件の状態や二世帯住宅への要望により、他にも様々あります。
二世帯住宅へのリフォームをする際は、業者に相談して無駄のないものにしましょう。
二世帯住宅購入に関わるその他の費用
二世帯住宅購入に関わる費用は建築費用だけではありません。
その他の費用も合わせると大きな金額になるため、どのような費用があるのかを知っておきましょう。
申し込み証拠金
申し込み証拠金とは、二世帯住宅など建物を購入する意思があるということを表すために不動産会社などに渡す金銭のことです。
金額の目安は約2万円〜3万円で、この時点ではまだ契約は成立しておらず、契約の撤回も可能です。
契約を撤回した場合、申し込み証拠金は必ず返済されるため、あくまでも「購入の意思を表すための預かり金」ということになります。
仲介会社が間に入る中古物件などの場合は、申し込み証拠金は必要ありません。
また、そのまま建物を購入するときは物件の購入代金から申し込み証拠金を引いた額が請求されます。
手付金とは
手付金とは、不動産の売買契約の際に売主に支払うお金のことです。
申し込み証拠金と混同されがちですが、申し込み証拠金は不動産を購入する意思表示なのに対し、手付金は売買契約に際して支払う金銭です。
そして、不動産の売買契約後は手付金も申し込み証拠金と同じく、支払う代金の一部となりますが、何らかの理由で契約が履行できなかった際には違約金として返金されない場合もあります。
また手付金の金額の目安は購入費用の約5%〜10%ですが、基本的に売主と買主の合意で金額は決められるため、売主によっては高くなる可能性もあります。
手付金は下限がないため、もし自己資金が少なく手付金が用意できない場合は、売主との合意があれば0円にすることもできるようです。
印紙税とは
印紙税とは、不動産売買時に交わす売買契約書に印紙を貼り支払う税金のことです。
1万円未満は非課税ですが、それ以上を超える金額の取引の場合は必ず印紙税を支払わなければなりません。
印紙税の金額は費用によって異なります。
また印紙税は不動産の売買契約書の他に、住宅ローンの契約時にも必要です。
不動産仲介手数料とは
不動産仲介手数料とは、仲介する不動産会社から不動産を購入するときに支払う手数料のことです。
不動産仲介手数料は売買契約が成立した際に支払うため、売買契約が不成立だった場合は支払う必要はありません。
不動産仲介手数料は以下の式で目安の金額を算出できます。
- (売買価格×3%+6万円)×消費税
不動産仲介手数料の金額は、「不動産価格の3.24%+6万4000円」が上限となり、不動産仲介手数料を支払う時期は物件引渡し時または契約時に半分、引渡しの際に残りを支払うというケースがほとんどでしょう。
固定資産税とは
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物などの不動産を所有する人に対して請求される税金のことです。
固定資産税の税額は、固定資産税評価額に税率をかけたもので各市町村によって異なります。
二世帯住宅の場合、固定資産税の軽減措置を受けられる可能性があるため、同じ広さの住宅であっても二世帯住宅にすることで固定資産税の節税が可能です。
不動産取得税とは
不動産取得税とは、住宅を取得する際に土地・建物にかかる税金のことです。
不動産取得税額は不動産が所在する都道府県がその所有者に課す租税のことで、税額は不動産価格(固定資産税評価額)に3%を掛けて算出されます。
新築する住宅の場合、不動産価格から1200万円控除してから税率を掛けますが、二世帯住宅で独立性が認められた場合は、この控除を2戸分受けることができます。
登記費用とは
住宅の購入や建設の際には登記が必要となり、そのための費用がかかります。
新築時に必要な登記は以下の通りです。
- 建物表題登記:建物の構造や床面積、所在地などを記載する「表題部」を作成する登記
- 所有権保存の登記:不動産の所有者やどのような建物なのかを記録する登記
- 抵当権設定の登記:住宅ローンを借りる際に必要になる登記
【購入する土地に建物があり取り壊す場合】
- 建物滅失登記:建物を解体した際に行う登記
登記で必要になる費用はそれぞれの登記に課せられる税金、登録免許税の費用ですが、登記を司法書士などに依頼した場合は、全て合わせて約17万円〜24万円を目安に依頼料を支払う必要があります。
登記に関しては自分で行うこともできるため、費用を抑えたい場合は自分で調べて登記を行う方法もあります。
住宅ローン借入費用
住宅ローンを借り入れる際に必要になる費用もあり、想定よりも高額になるケースがあります。
では、具体的な諸経費の内容と相場の目安を見ていきましょう。
- 住宅ローン事務手数料:約3万円〜70万円
- 収入印紙費用:約1万円〜3万円
- 住宅ローン保証料:約0円〜70万円
- 団体信用生命保険費用:約10万円〜12万円
上記の費用は借入金額や金融機関によっても異なるため、詳細な金額が知りたい場合は住宅ローンを希望する金融機関に確認しましょう。
家具や家電購入費用や引っ越し費用
二世帯住宅を新築したら、新しい家具や家電をそろえたいと思っている方も少なくありません。
その場合、ソファーやチェスト、大型冷蔵庫や大型家具などを購入することになるため、費用も高額になることでしょう。
また、忘れてはいけないのが引っ越し費用です。引っ越す時期や移動距離によって費用は異なりますが、同一都道府県内程度の移動で家族4人分の引っ越しを行うときの費用は、約14万円前後が相場です。
しかし、今住んでいる家を取り壊して二世帯住宅に建て替えする場合は、引っ越しを2回行う必要があります。
今の住まいから仮住まい先への引っ越しと、仮住まい先から新居への引っ越しです。
当然ながら、2回分の引っ越し費用がかかるため、その分の費用を用意しておかなければなりません。
二世帯住宅の価格や建築費用を抑える方法
通常の一戸建て住宅を建てるよりも何かと費用がかかる二世帯住宅ですが、できるだけ建築費用を抑えるためにはどうしたらいいのでしょうか。
二世帯住宅の価格や建築費用を抑える方法をご紹介します。
比較的安価な住宅メーカーを選ぶ
二世帯住宅を建てる際には二世帯住宅を取り扱う住宅メーカーを探しますが、費用を抑えたい場合にはローコスト住宅を取り扱う会社を見つけるようにします。
ローコスト住宅メーカーでは、決まったデザインや構造の建材や建具などをあらかじめ工場で作ってから使用するため、住宅の建築費用を抑えることができるのです。
キッチン・トイレ・水回りなどの設備やデザインはある程度決まってしまいますが、お気に入りが見つかれば割安に二世帯住宅を建築できるでしょう。
共有スペースを増やす
共有スペースを増やすことも、二世帯住宅の建築費用削減に繋がります。
共有スペースを増やすことで、それぞれに必要な設備が最小限に抑えられるからです。
特に、キッチンやお風呂などは大きな設備が必要になるため費用がかさんでしまいますが、共有にすることでそれぞれ1つの設備で済み、より費用を抑えることができます。
また、共有スペースを増やすと部屋数が自然と減り、1部屋あたりに十分な広さを確保することもできるでしょう。
二世帯住宅を建てる前にどの部分を共有するのかをよく話し合って決めておくと、間取りがスムーズに決められます。
収納スペースをまとめる
二世帯それぞれの収納スペースを確保しようとすると、かなりの面積の収納スペースが必要になります。
二世帯共用で収納しても支障のないものを納める共用の収納スペースを確保することで、収納スペース総体の面積を減らすことができます。
階段を共用にする
二世帯住宅で、それぞれの世帯に専用の階段を設けると、工事費がアップするのはもちろんのこと、スペース的にもロスが生じます。
完全分離型はそれぞれ専用の階段が必要ですが、一部共用型や完全同居型では、階段を共用にして1カ所にまとめることで、工事費の削減ができます。
さらにスケルトンタイプのリビング階段にすると、より安価に仕上げることができます。
シンプルな形状にする
住宅をシンプルな形状にすることも建築費用削減に有効です。
正方形の総二階建てにする
住宅の工事費は、外壁や屋根の面積を減らしたり、基礎の長さを減らしたりすることで削減することができます。
同一の延べ床面積で最も効率がいいのが、正方形の総二階建てです。
この形状にすると、外壁と屋根の面積、基礎の長さを最小に抑えることができます。
実際には正方形の住宅プランが困難であっても、できるかぎり正方形に近づけることで工事費の削減になります。
間取りをシンプルにする
二世帯住宅では、それぞれの世帯の思いが交錯して、一般的な住宅に比べて、プランが複雑になることがあります。
プランをシンプルにすることで、家全体を圧縮できるとともに、内壁の面積や建具の数を減らすことができるので、工事費の削減になります。
屋根形状をシンプルにする
屋根形状は寄棟、入母屋など様々ありますが、最も工事費が安く施工できるのが、切妻と片流れです。
ただし片流れは、あまり勾配が急であったり、梁間方向の距離が長すぎたりすると、棟高が高くなって、外壁面積が増加します。
却って工事費がアップすることがあるので注意が必要です。
設備配管をまとめる
二世帯それぞれにキッチン、トイレ、浴室を設ける場合でも、それぞれの水回りの位置を近接させることで配管長さが節約でき、工事費の削減になります。
水回りの部屋を減らす
配管をまとめる以上に、トイレ、キッチン、浴室の数を減らした方が工事費の削減効果があります。
完全同居型、一部共用型においては、本当に2カ所以上の設置が必要であるかを検討し、ある程度の妥協点を見出しながら、設置数を削減すれば、大幅に工事費を削減することができます。
内外装でコストを下げる
仕上げ材を統一する
二世帯住宅では、親世帯と子ども世帯では、デザインセンスが異なることもあるため、それぞれのプライベートスペースでは、自分の好みの仕上げにする方も少なくありません。
しかし床材や壁材は仕上げの方法を統一していた方が、職人や材料のロスを最小限に抑えることができるので、結果的に工事費の削減になります。
内部建具を減らす
二世帯住宅ではプライベートの確保を意識するあまり、各部屋すべてに建具を設ける傾向があります。
しかしリビングやキッチンなど多くの人が使用する部屋では、必ずしも建具を必要としないことがあります。
工事費削減の観点から、建具が不要な部屋は、オープンな開口部にするという方法があります。
既製品のサッシを使う
外部のサッシは既製品の汎用型サイズのものを使用することで工事費が削減できます。大きなサッシは、引き違い戸が最も安価です。また小窓は滑り出し窓を採用することで安く仕上げることができます。
複数の業者から相見積もりを取る
住宅メーカーは1社からのみ見積もりを取るのではなく、建築費用が適切なのかを判断するためにも、複数の業者から相見積もりを取る必要があります。基本的には3社くらいが目安です。
複数社から同じ条件で相見積もりを取ることで、費用がより安価な業者を選べるだけでなく、各社間に競争意識が芽生え、より費用を抑えた見積もり額になることも期待できます。
ただし、相見積もりは費用だけではなく、中身や業者の対応を見ることもとても重要です。
費用は安いが、キッチンは選べずに最低ランクのシステムキッチンになってしまったなど、費用だけではわからないことがあるため、設備がオプションではないかなど詳細を担当者に良く確認しながら業者を決めていきましょう。
相見積もりを取るときのポイント
相見積もりを取るときのポイントは、見積もり依頼をする各業者に同じ内容で見積もり依頼をすることです。
内容が異なる見積もりでは価格の比較や検討ができません。
工事業者にとって相見積もりは常識ですので、あえて表明する必要はありません。むしろ相見積を嫌がる業者には要注意です。
相見積もりを取り相場価格を知ることで予算の目安が付くだけでなく、二世帯住宅の設計や建築プランがより現実的になります。
二世帯住宅を得意とする業者を選ぶ
業者選びで大切なことは、二世帯住宅の設計・建築に関して実績があることです。
二世帯住宅の設計プランや施工でもすでにノウハウのある業者なら、二世帯が一緒に暮らして居心地がよくなる設計を組むことができるでしょう。
二世帯住宅の設計経験がない業者にはそうした二世帯住宅のためのアドバイスは難しく、満足のいく仕上がりにならない可能性があります。
また依頼者の要望を聞いて応えるための努力を惜しまず、かつ業者側から依頼者の要望に合ったアドバイスなどをしてくる業者なら信頼できます。
業者はインターネットで探す
業者探しはインターネットで探すことが最も手っ取り早い方法です。所在地となる地域名と二世帯住宅、建設業者などのキーワードを使って検索すれば、いくつかの業者が見つかるはずです。
インターネットでの業者探しのメリットは自宅にいながら複数の業者を探し出せるだけでなく、各業者のホームページから二世帯住宅の建設の実績等を知ることができることです。
特に縁のある業者がない場合には、インターネットで業者を探してみましょう。
一部共有型で共有することの多い場所
一部共有型の二世帯住宅で間取りを決める際、どこを共有スペースとするかは大切なポイントです。
共有スペースとされることの多い場所をご紹介します。
玄関は共有するのが一般的
一部共有型では、玄関は共有するのが一般的です。
玄関を共有することで、家族の外出や帰宅時に顔を合わせる機会が多くなり、家族間のコミュニケーションが増えますし、留守中の宅配便の預かりを頼みやすいというメリットもあります。
ただし、同居前から頻繁に友人を招いていた家庭の場合は気軽に人を呼びづらくなったり、どちらかの世帯の外出や帰宅が深夜・早朝という場合は玄関ドアの開閉や出入りの音が気になったりするというデメリットもあります。
リビングを共有
リビングは、家の間取りの中でも広いスペースを取る部屋です。
そのリビングを1つにすることで、大空間の広々としたリビングスペースを確保しやすくなります。
また、食事時間や夜のリラックスした時間に家族がリビングに集まることで世代間のコミュニケーションが取りやすくなるのもリビングを共有することのメリットです。
特に、親世帯が独り身の場合などにおすすめといえるでしょう。
その一方、生活スタイルが違いすぎる場合は寝室の場所を遠くにするなど配慮が必要になりますし、友人などを招くこともハードルが高くなってしまいます。
浴室と洗面所を共有
浴室と洗面所を合わせると、物によっては本体価格だけでも優に100万円を超える費用がかかります。
それぞれ2つずつ設置することは、それだけ大幅な建築コストのアップにつながるので、浴室と洗面所を共有するということは建て替えやリフォーム費用の削減になります。
また、特に浴室を共有することで、水道光熱費の大幅な節約にもなります。
一方で、家族が浴室や洗面所を使う時間帯は同じ場合が多いです。
お互いの世帯に気を遣いながらの生活はストレスがたまってしまうかもしれません。
そのようなわけで、浴室と洗面所の共有はプライバシーを確保したいスペースの最たるもの、と思っている方にはおすすめできません。
キッチンとダイニングを共有
浴室同様、キッチンも本体価格が高額な設備機器です。
キッチンを共有することで、建築コストを大きく削減することができます。
また、二世帯で食事を一緒に取る家庭なら、料理や後片付けにかかる時間や手間を分担することができるので、家事負担が減って楽になるというメリットもあります。
逆に、味やメニューの好みが違う、食事時間が違うという家庭や、キッチンを主に使う方に強いこだわりがある場合などはキッチンの共有はストレスになります。
来客が多い家庭の場合も、気軽にキッチンを使えないという点でデメリットになります。
二世帯住宅を建てる時の注意点
二世帯住宅に住み始めてから「失敗した」と思ったときには、家族の関係がすでにこじれてしまっていたり、売却が難しくなっていたりします。
そこで、二世帯住宅で後悔しないための注意点を以下にまとめました。検討の参考にしてみてください。
生活のルールを決めておく
家の間取りや設計について考える前に、まずはしっかり、お互いの世帯の現在および理想とする生活スタイルについてよく話し合い、ルールを決めておきましょう。
特に浴室や洗面所を共有する場合は、特定の時間帯に集中して混み合う可能性が高くなるので、共有スペースの利用時間帯については、よく相談しておくことをおすすめします。
その他にも、例えばお互いのプライベート空間へは勝手に立ち入らない、郵便や宅配の荷物などを勝手に開けないといった他人だったら当たり前に感じられるようなことも、家族だとルーズになりがちです。
お互いのプライバシーを尊重して暮らせるようなルールについての話し合いの時間を、しっかりもちましょう。
費用負担について決めておく
建築費については、見積もりによって業者や金額が決定した段階で、どちらがいくら負担するか、おそらく明確に決めることになると思います。
しかし、忘れてはいけないのが生活していく上でかかる水道光熱費などのランニングコストの費用負担です。
水道光熱費に関しては、メーターを完全に分ける場合は別々に請求が来ることになるので問題ありませんが、1つにまとめる場合は、どんな割合で負担するかを事前にしっかり話し合っておきましょう。
その他にも、以下のような費用の負担割合を決めておくことが、後々トラブルや不満の種にならないためには大切なことです。
- 食費(食事を一緒に取る家庭の場合)
- インターネットなどの通信費
- サブスクリプション動画や音楽配信サービスなどの費用(一緒に利用する場合)
間取りは二世帯が話し合って決める
二世帯住宅では、それぞれの世帯の生活スタイルに合わせた間取りが、何よりも重要です。
どこまでを共有するか、どこからは分けたいか、それぞれの世帯の居室のスペースや数はどれくらい必要か…多くの場合、敷地の広さも予算も限りがあります。
どちらか一方の希望を叶えようとすると、片方の希望は通らなくなってしまうということも往々にしてあるでしょう。
そういった問題は、全て二世帯による話し合いでクリアにしておくことが、今後一緒に生活していく上では必要になります。
住居の登記方法についてしっかり決めておく
二世帯住宅を建てるとき、可能な登記方法は「単独登記」「共有登記」「区分登記」「非区分登記」の4つがあります。
登記の方法によっては登記費用に差が生じたり、節税効果の高いものや相続で有利となるものもあります。
不動産関連の登記は子や孫の世代まで影響がある重要な資産管理制度です。
自分に適した登記方法を選ぶためにも、それぞれの登記の内容について知っておきましょう。
単独登記とは
「単独登記」とは二世帯住宅を1戸の住宅とみなし、親か子どちらか片方の名義で登記する方法のことです。
一般的な一世帯住宅はこの単独登記とされている場合が多く、最もシンプルな登記方法であるといえるでしょう。
単独登記のメリットは住宅の名義人が一人のみであるため、誰の所有物であるかが明確であるという点です。
住宅を担保にしてローンを組んだり、将来的に賃貸や売買などを行う際でも、他の登記方法のように手続きが複雑ではありません。
しかし注意したいのは、基本的には住宅の購入資金を提供した人の名義にしなければ贈与税が課税される可能性があるという点です。
仮に子が資金の一部を支払ったにも関わらず親名義で単独登記してしまうと、子から親へ贈与があったと見なされることがあります。
また、親名義の住宅を子が相続した場合には、相続税が課税されます。
共有登記とは
「共有登記」とは二世帯住宅を1戸の住宅とみなし、親と子が共有名義で登記する方法のことです。
家を建てる際の出資率に応じて登記の割合を決めるのが一般的です。
共有登記の場合は名義人の両方が住宅ローン控除を受けることができるため、単独登記よりも節税効果が高くなります。
しかし、仮に親が子よりも多く出資したにも関わらず親子で半々の共有とすると、親から子へ贈与があったとみなされ贈与税の課税対象となることがあるには注意が必要です。
区分登記とは
「区分登記」とは二世帯住宅を2戸の住宅とみなし、親子がそれぞれの名義で登記する方法のことです。
区分登記とすることによって親世帯と子世帯の両方が住宅ローン控除を受けることができます。
また、区分登記の場合は住宅ローン控除だけでなく固定資産税や不動産取得税の軽減措置も親子それぞれが受けることができるため、さらに節税効果が高まります。
ただし、二世帯住宅で区分登記を行う場合は住宅のタイプが完全分離型である必要があります。
仮に住宅内部でそれぞれの世帯の居住スペースを行き来できるような間取りである場合、鍵付きの扉などで通路が仕切れることが条件として求められます。
もちろん完全分離型だからと言って必ずしも区分登記とする必要はありません。
完全分離型の二世帯住宅であっても単独登記や共有登記とすることも可能なため、自分の状況に最適な登記方法を選ぶと良いでしょう。
非区分登記とは
建物の登記をする場合、対象となる建物は「非区分建物」と「区分建物」に分けられます。
まず非区分建物とは建物を1戸とみなし、登記をする際には1戸の建物に対し1つの権利を設定します。
非区分建物については上で紹介した単独登記や共有登記を行います。
一方、区分建物とは1戸の建物をさらに複数の専有部分に分けて、登記をする際には各専有部分ごとにそれぞれ権利を設定します。
区分建物には分譲マンションや完全分離型の二世帯住宅などが該当し、上で紹介した区分登記などを行います。
住宅を建てる際の登記方法の選び方
二世帯住宅を新築するとき、住宅の所有権を設定するために「所有権登記」を行います。
登記方法にはいくつもの種類があるため、どの方法で登記すればよいかわからずに迷ってしまうこともあるでしょう。
ここでは自分にあった登記するために必要な情報についてご紹介します。
基本となるのは共有登記
二世帯住宅は親と子の二世帯が暮らすための住宅であるため、親と子の双方が出資して新築するケースが一般的です。
もしくは、親の所有している土地を無償で提供する代わりに、子がローンを組んで出資するというケースも考えられます。
いずれにしても二世帯が何らかの形で自分の資産を提供するケースが多いでしょう。
そのため、二世帯住宅の登記においては親子が共有名義で行う共有登記とすることが一般的です。
共有登記ではお互いの世帯が住宅ローン控除を受けることができるため節税効果も期待できるでしょう。
節税を重視するなら区分登記
住宅ローン控除だけでなく固定資産税や不動産取得税での控除も受けようとする場合は、区分登記を行うと良いでしょう。
ただし、区分登記を行うためには完全分離型の二世帯住宅でなければならないという条件があるため、区分登記できるケースは限られています。
注意が必要なのは、完全分離型の二世帯住宅であれば必ず区分登記できるというわけではないという点です。
内部の間取りによっては区分登記できない場合もあるため、区分登記して節税効果を高めたい場合は事前に間取りについて良く検討しましょう。
親が亡くなったあとの相続も見据えて登記方法を選ぶ
「小規模宅地の特例」を利用して、相続税を軽減するという方法があります。
小規模宅地の特例とは、亡くなった被相続人の土地を相続人が相続した場合に、要件を満たしていれば該当する宅地の評価額を80%まで減額するという特例制度です。
土地を相続する際にかかる相続税は、土地の評価額から基礎控除額を差し引き、そこに相続税率の30%を乗じたものから控除額を差し引いて算定されます。
もし小規模宅地の特例が適用されれば土地の評価額が80%減額されるため、場合によっては相続税が非課税となるケースもあるでしょう。
この特例を利用するためには二世帯住宅の建っている土地を誰名義にしておくか等、よく検討する必要があります。
二世帯住宅の登記をする際には建築費用や翌年以降の節税対策だけでなく、将来的な相続についても考慮しましょう。
建て替えとリフォームではどちらがよいか
既存の敷地と建物があって二世帯住宅を建てる場合、建て替えたほうがよいのか、リフォームしたほうがよいのかについて、解説します。
建て替えるのがよい場合
完全分離型、一部共有型、完全共有型と3パターンある二世帯住宅ですが、完全分離型にしたい場合は、やってできないことはないかもしれませんが、快適で暮らしやすい家をつくるためにはおそらくリフォームでは対応しきれません。
完全分離型の二世帯住宅を検討する場合は、まず建て替えを選択したほうがいいでしょう。
部分共有の場合でも、水回りの設備機器を入れ替えたり追加したり間取りを大きく変更したりすることが必要になる場合は、リフォームでも、建て替えほどではないにせよ工事費がかなり高額になることが予想されます。
それだけ高額な費用を出すなら、安心して長く住める家にすることを考えると、建て替えてしまったほうが長い期間のメンテナンス費用のことまで考えると安く済むという場合もあるかもしれません。
リフォームがよい場合
完全共有型や、多くの水回りを共有するような部分共有型の二世帯住宅の場合は、トイレや洗面所の取り替えや追加工事など簡単なリフォームで済ませることができます。
建て替えに比べ格安の工事費で済ませることができるので、リフォームを選択したほうがよいでしょう。
二世帯住宅の建設費用がいくらかかるか分かったうえで検討すべきこととは
二世帯住宅の建設費用がいくら必要であるかが分かったら、次は建築に向けてより具体的な内容について検討していきます。
たとえば、控除額を含めた支払額の検討をしてみましょう。
二世帯住宅を建てる際に住宅ローンを利用する場合、ローンの内容によっては翌年からの所得税が控除されることがあります。
本来支払う予定であったはずの税金が控除されるため、予算に余裕が生まれてより希望に沿った住宅を建築できるようになるかもしれません。
希望通りの住宅を建てようとすると予算をオーバーしてしまうこともあるでしょう。
そのような時には減額調整を行い、限られた予算内でいかに希望を反映させることができるかも重要なポイントとなります。
選んだタイプの二世帯住宅が実際に入居する家族の生活に合っているかどうかも事前にシミュレーションしておきましょう。
無事に家が建ち、入居した後に思っていた生活と違うと後悔しても手遅れです。
二世帯住宅を建てること、またほかの家族と同居することについて、精神的、経済的に無理がないかどうかについては事前によく検討しましょう。
二世帯住宅だと補助金を受けられる?
二世帯住宅の場合に受けられる補助金は4つありますので、しっかりと確認を行い、受けられる補助金は受けていきましょう。
地域型住宅グリーン化事業
木造住宅の生産体制の強化や環境負荷の低減を目的として、定められた条件をクリアすると交付される補助金です。
ただし、「地域の中小工務店など中小住宅生産者が連携する制度」なので認定されていない工務店は対象になりません。利用を検討する際は、事前に工務店に対象になっているかを確認する必要があります。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
既存住宅の性能向上や良好なマンション管理のためのリフォームを支援する制度です。
住宅の性能を高めるリフォーム工事が対象のため、リフォームの履歴や維持保全計画の作成が必要となりますので、内容をしっかりと確認して申請をする必要があります。
地域の住宅補助
これは住んでいる地域によるものですが、地域独自で住宅補助を受けられる場合があります。しかし、地域によってはないところもありますので、あらかじめ役所などに確認をしておきましょう。
すまい給付金
消費増税による住宅購入の負担軽減を目的に作られた補助金です。収入によって給付基礎額が異なり、さらに収入額が一定以下という条件があるため、基準を確認して申請する必要があります。
どんな会社に依頼する?満足できる二世帯住宅を建てるために
ハウスメーカーの選び方で家づくりが決まる
ハウスメーカーと一概に言っても、それぞれ得意とすることが違います。
デザインの提案の仕方、建築工法など、各社に特徴がありますので、どのハウスメーカーに住宅建設を依頼するかで家づくりのほとんどが決まってしまうと言っても過言ではありません。
業者選びは「経験」と「実績」で
特に二世帯住宅の建設は、それぞれの家庭の事情に合わせた間取りや工夫が必要となるため、二世帯住宅建設を得意としている業者を選ぶことが大切です。
各業者の経験と実績を比較して、特に二世帯住宅の建設に実績のある業者を選びましょう。
各ハウスメーカーの特徴
二世帯住宅の建設を依頼できるハウスメーカーは、大手の住宅メーカー、工務店やローコスト住宅メーカー、そして建築士事務所の3つです。
その中でご自身が希望される二世帯住宅に最適な業者はどれなのか、それぞれの特徴を見ていきましょう。
大手住宅メーカーは安心感がある
大手住宅メーカーは全国的に事業を展開しているため倒産のリスクが少なく、安心感があります。
最新の技術や品質の良い商品を安定して提供できる点や、豊富な住宅建設の経験から工期も比較的短いといったメリットがあります。
ただし、大手住宅メーカーは注文住宅であっても標準仕様を設けていて、その範囲以外の注文に対してはオプションとして加算されるので、総じて建設費用が高くなるようです。
工務店やローコスト住宅メーカーなら建築費用が安価
工務店やローコスト住宅メーカーなら、大手住宅メーカーよりも2割~3割ほど建設費用が安く済むでしょう。
その一方で、工務店ならばプランニングの提案力が弱く、工期が長めになりやすいようです。
ローコスト住宅メーカーの場合には規格住宅のため、自由に家を設計することは難しく、注文を受け付けてもオプションとして上乗せされるので、結果的に予算オーバーしてしまうといったデメリットがあります。
建築士事務所なら設計に自由がきく
建築士事務所のメリットは設計の自由度の高さです。
ご自身に理想の家の明確なイメージがあり、大手住宅メーカーやローコスト住宅メーカーでは受け入れにくいようなデザインであってもプランニングに入れてもらえるでしょう。
建築士事務所に住宅建設を依頼する場合、建築士事務所は設計と施工の監理を行うことになり、「設計監理料」が必要になります。
大手住宅メーカーでは標準仕様などを設けて設計料は安く済むのに対して、建築士事務所の場合に支払われる設計監理料は高額です。
加えて工務店に支払われる建築費用がかかりますので、住宅建築の総額は一般的に高額になります。
建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?
ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。
注文住宅の設計プランや費用は、施工店によって大きく異なることがあります。
そのときに大事なのが、複数社に見積もりを依頼し、「比較検討」をするということ!
実際に注文住宅を建てるには時間がかかるので、この記事で大体の予想がついた方は早めに次のステップへ進みましょう!
「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」
「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」
そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
一生のうちに注文住宅を建てる機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!
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