2024年04月11日更新
3階建て住宅で注意したい建築基準法の制限と構造計算義務について解説!
3階建て住宅を建てる際に注意が必要な建築基準法の制限
3階建て住宅を建てる際には平屋住宅や2階建て住宅には無いような法令上の制限を受けることがあります。
住宅の建築後には修正が難しい内容のものもあるため、どのような制限があるかについて事前にしっかりと理解しておきましょう。
軒高9mまたは最高高さが13mを超えると構造計算適合判定の対象になる
建築基準法第20条の定めにより、特定の要件を満たす構造物は構造計算を行う必要があるとされています。
「構造計算」とは建物の自重や強風、地震などによる加重に対して必要な耐力を計算し、安全性を確保するために行われる計算です。
構造計算の対象となるのは3階建ての構造物や、軒高が9m超もしくは建物の最高高さが13mを超える構造物です。
最高高さが10mを超えると日影制限の対象になる場合がある
建てられる建物の高さに関する制限として「日影制限」というものがあります。
これは建物によって発生する日影を制限することで、周囲の日照を確保して快適な暮らしを確保することを目的としています。
日影を制限するためには建物の高さを低く抑える必要があり、制限の程度は都市計画で定められる用途地域によって異なります。
最も制限の厳しい地域は第一種・第二種低層住居専用地域で、3階建て住宅もしくは軒高が7mを超える場合に日影制限の対象となります。
また、その他の用途地域では建物の高さが10mを超える場合に日影制限の対象となる場合があります。
3階に非常用進入口を設ける必要がある
3階建て住宅には火災などが発生した際に外部から消防隊員等が進入できるようにするために非常用進入口を設置することが義務付けられています。
非常用進入口のサイズは幅750mm以上かつ高さ1,200mm以上、もしくは直径1.0m以上の円が内接できる大きさでなければなりません。
ほとんどの3階建て住宅では道路に面したバルコニーの掃き出し窓を非常用進入口として設定するケースが多いようです。
ただし、バルコニーを非常用進入口とする場合はバルコニーの幅が4.0m以上かつ奥行が1.0m以上でなければなりません。
1階は採光に注意した設計にする
リビングや寝室といった居室には採光のために床面積の7分の1以上の有効開口面積が必要であるとされています。
有効開口面積は計算式によって算出されますが、単純に床面積に7分の1を乗じれば良いというわけではありません。
用途地域ごとに定められた採光補正係数と、軒高から開口部中心までの垂直距離、軒先から敷地境界までの水平距離によって決まる採光関係比率を乗じて算出する必要があります。
3階建て住宅の場合は1階建てや2階建て住宅の場合よりも、1階部分の居室に必要となる有効開口面積が大きくなります。
1階部分を駐車場などの居室以外として利用する場合は問題ありませんが、1階部分を居室として利用したい場合は採光にも注意して設計しましょう。
容積率を超えないように注意
容積率とは土地面積に対する建築可能な延べ床面積の比率ことを言い、容積率が高いほど建てられる建物の延床面積が大きくなります。
たとえば敷地面積が100平方メートル、容積率が200%の地域である場合は延べ床面積が200平方メートルまでの建物を建てることができます。
3階建て住宅を建てる場合はどうしても敷地面積に対して延べ床面積が大きくなるため、容積率の大きな地域を選ぶと良いでしょう。
1階の一部を車庫にする場合は耐力壁の量に注意
「耐力壁」とは、地震や強風などの水平方向から伝わる力に耐えることができる壁のことです。
耐力壁は主に筋交いや金具等で強化された壁で、建物の形状や階数によって必要な耐力壁の量は異なります。
3階建て住宅の場合は平屋住宅や2階建て住宅よりも1階部分にかかる力が大きくなるため、必要な耐力壁の量も多くなります。
しかし、1階部分を車庫にする場合は広い空間を確保するため、居室を設ける場合よりも壁の量が少なくなってしまいます。
具体的な耐力壁の必要量については構造計算で求めることになりますが、必要な量の耐力壁が無い場合、地震や台風などによって倒壊の危険性が高まってしまうため、3階建ての場合は必要な耐力壁の量に注意しましょう。
排煙計算が必要
3階建て住宅の場合は排煙計算が必要です。「排煙計算」とは、万が一火災が発生した際に建物内の煙を外に排出できるような構造となっているかどうかを判断するための計算です。
各居室ごとに床面積の50分の1以上の開口部が、天井から下方に80cmまでの範囲内にあるかどうかを計算します。
たとえば居室の面積が20平方メートルである場合、20平方メートルに50分の1を乗じた0.4平方メートルの開口部が必要です。
建築基準法改正で容易になった3階建て住宅の宿泊施設化
2018年1月に建築基準法が改正されたことにより、3階建て住宅を宿泊施設に転用することが容易になりました。
改正前の建築基準法では2階建てで延べ床面積が100平方メートルを超える建物を宿泊施設として利用する場合、安全面の理由により建物を耐火構造とすることが義務付けられていました。
しかし、木造住宅を耐火構造とするためにはほとんどの壁を耐火仕様にする必要があり、費用面の負担が大きくなるためにあまり現実的ではありませんでした。
今回、建築基準法が改正され耐火規制の内容が緩和されたことにより、3階建て住宅を宿泊施設に転用する際に一定の条件を満たせば建物を耐火構造としなくても良いことになりました。
その要件とは、建物が3階建てで延べ床面積が200平方メートル未満の戸建て住宅であるということです。
規模の比較的小さな建物であれば、仮に火災が発生してもすぐに避難することができるという理由から規制が緩和されたようです。
建物を耐火構造にする必要はありませんが、床面積や建物の構造により警報設備や消火設備等を設置することは義務付けられています。
もし3階建て住宅を宿泊施設として利用したいと考えている場合は管轄の消防署へ相談してみると良いでしょう。
このように3階建て住宅には多種複雑な建築基準が適用され、素人では判断は困難でしょう。
先ずは当該地自治体の建築課への相談から始めることをお勧めします。
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