高気密住宅のC値の基準は?機密性能を分かりやすく紹介!

高 気密 住宅 c 値

C値は住宅の気密性能を示す重要な指標です。C値について理解することは、快適で省エネな住まいを実現する上で欠かせません。
この記事では、C値の意味や計算方法、理想的な数値を詳しく解説します。また、断熱性能を表すUA値や熱損失を示すQ値との関連性もわかりやすく説明していますので、ぜひ参考にしてください。

2025年01月16日更新

監修記事
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C値とは住宅の気密性能を示す値!

C値は「相当隙間面積」を表し、住宅の気密性能を示す指標です。

C値は住宅全体の隙間面積を延べ床面積で割った数値を指し、数値が低いほど気密性能が高いことを意味します。

高気密住宅ではC値が低く保たれており、外気の侵入や室内の暖かい空気の流出を防ぎます。

これに対して、UA値は「外皮平均熱貫流率」、Q値は「熱損失係数」を表し、どちらも断熱性能を示す指標です。

UA値やQ値が同じでも、C値が高いほど冷暖房効率が向上し、省エネルギー効果が期待できます。

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C値の計算方法

C値は以下の式で計算されます。

C値の計算式

C値(単位:㎠/㎡)= 住宅全体の総隙間面積÷気密測定床面積

この計算式からもわかるように、住宅の隙間面積が小さければ小さいほどC値は低くなります。

隙間面積は、専用の機器を用いて工事現場で測定し、その結果からC値を算出します。

C値は実測してわかる!

C値は工事現場で実際に測定した結果から得られるため、UA値やQ値とは異なり、設計段階では正確な数値を把握できません。

施工後に行う気密測定によって初めて明らかになります。

気密測定は専門の機器を使用して住宅全体の総隙間面積を算出する手法です。

家の内部と外部の気圧差を一定に保ちながら空気の流出量を計測して、住宅全体の総隙間面積を算出します。 

UA値・Q値とは断熱性能を示す値!

UA値とQ値は、住宅の断熱性能を示す重要な指標です。

これらは気密性能を表すC値とは異なり、建物の熱損失に焦点を当てており、設計の段階で数値を設定できます。

どちらの値も小さいほど断熱性能が高く、快適さや省エネルギー効果が期待できます。

UA値とは?

UA値(外皮平均熱貫流率)とは、建物の外皮を通して逃げる熱量を外皮面積で割った値です。

単位はW/(m²・K)で、外皮面積1m²当たり、内外温度差1℃当たりの熱損失を表します。

外皮面積とは屋根や外壁、床、窓やドアなどの開口部など、建物が外気に面する部分の面積をすべて合計したものです。

計算式は以下の通りです。

UA値の計算式

UA値 (単位:w/m2・k) =建物の熱損失量の合計 ÷ 外皮面積

UA値は純粋に建物の外壁や窓などの断熱性能を表し、換気による熱損失は含みません。

純粋に断熱性能を評価しやすいため、現在ではQ値に代わって断熱性能を示す主要な指標となっています。

Q値とは?

Q値(熱損失係数)は、建物全体の熱損失を床面積で割った値です。

単位はW/(m²・K)で、床面積1m²当たり、内外温度差1℃当たりの熱損失を表します。

計算式は以下の通りです。

Q値の計算式

Q値 (単位:w/m2・k)= (各部の熱損失量の合計 + 換気による熱損失量) ÷ 延べ床面積

Q値は換気による熱損失も含むため、換気設備の仕様によって変動します。また、壁や床などの断熱性能が同じでも、建物の床面積によって値が変わります。

2013年の省エネ基準改訂に伴って、より断熱性能を評価しやすいUA値が主流になりました。

ただしQ値も、換気性能を含む総合的な断熱性能の指標として活用されることがあります。

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理想のC値とは? 基準値のポイント

C値の理想的な値と基準

高気密住宅のC値は1.0㎠/㎡以下であることが1つの基準と言われています。

C値の基準は法令や省エネ基準で明確には設定されていませんが、以下に一般的なC値のめやすを紹介します。

C値(単位:cm2/m2)  概要
0.5以下高気密住宅として理想的な水準
北海道の寒冷地住宅や高性能住宅では この値を目指すことが一般的
1.0以下一般的な高気密住宅として十分満足できる水準
多くのZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や省エネ住宅で目標とされる数値
2.0~5.0 一般的な住宅のC値の範囲
気密性が高い住宅とは言えないが地域や建設会社によっては許容される場合がある
C値のめやす

長期優良住宅やZEHの基準にも具体的なC値基準は設けられていないものの、断熱性能が高い住宅ほど優れた気密性が求められます。

また、地域ごとの基準も設けられていませんが、気密性能の影響を受けやすい寒冷地では、より厳しい基準が求められる傾向があります。

UA値の理想的な値と基準

UA値は長期優良住宅やZEHの基準により、地域ごとに明確な数値基準が設けられています。

以下に、一般的なUA値の例を紹介します。

UA値(W/m²・K)概要
0.4以下ZEH基準(地域区分1・2)
高い断熱性能を持つ住宅として理想的な水準
0.5以下ZEH基準(地域区分3)
一般的な高断熱住宅として十分満足できる水準
0.6以下ZEH基準(地域区分4〜7)
多くの省エネ住宅で目標とされる値
0.87以下H28省エネ基準(地域区分5・6・7)
最低限クリアすべき基準値
UA値の主な基準

Q値の理想的な値と基準

高断熱住宅のQ値は、1.6W/㎡・K以下であることが1つの基準です。

現在の省エネ基準では主要な指標として扱われていませんが、総合的な断熱性能を示す補助的な指標として使用されています。

以下に、一般的なQ値の例を紹介します。

Q値(W/m²・K)概要
1.0以下高断熱住宅として理想的な水準
寒冷地の高性能住宅ではこの値を目指すことが一般的
1.6以下一般的な高断熱住宅として十分満足できる水準
多くの省エネ住宅で目標とされる値
2.0〜2.7旧省エネ基準(平成4年基準)の範囲
現在の基準からすると断熱性能が不十分
Q値のめやす

C値とUA値、Q値の関係

C値、UA値、Q値は住宅の性能を評価する上で重要な指標です。これらは互いに関連しながら、住宅全体の省エネ性能や快適性に影響を与えています。

C値と断熱性能(UA値・Q値)にはある程度の相関関係はありますが、必ずしも比例するわけではありません。

C値が低く、UA値とQ値も低い住宅は、高気密・高断熱で省エネ性能が優れていると言えるでしょう。

一方で、UA値やQ値が低くてもC値が高い場合もあります。このような状況では、断熱性能は良好ですが気密性に課題があると考えられます。

高性能な住宅では、これらすべての指標をバランスよく改善することが大切です。

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気密性が上がるメリット

高気密住宅には多くのメリットがあります。以下に5つの主なメリットについて解説します。

1. 省エネ効果が高まる

高気密住宅では、冷暖房の効率が向上し、光熱費の削減につながります。

隙間風が少ないことにより、冬は暖かく夏は涼しい室内環境を少ないエネルギー消費量で維持できるため、年間を通じて光熱費を大幅に削減できる可能性があります。

また、環境に配慮した生活が送れることも大きなメリットです。

少ないエネルギー消費量で快適な生活ができるため、CO2排出量を減らし、地球温暖化対策にも貢献できます。

2. 断熱性・防音性が向上する

高い気密性により、快適性が向上することも大きなメリットです。

隙間風が入らず、外部環境からの影響を受けにくいため、室内の温度差が少なくなり季節を問わず快適に過ごせます。

また、高気密性によって外部からの騒音も軽減し、静かで快適な居住空間を実現できます。

3. 空間デザインの自由度が向上する

高気密住宅では、空間デザインの自由度が大幅に向上します。

吹き抜けやロフト、高い天井などを設けても上下の温度差が少なく、部屋ごとの温度差も少なくなるため、間仕切り壁や扉を減らした広々としたワンルーム空間も実現しやすくなります。

4. 結露を防止できる

気密性能が高い家は、壁や天井裏への湿気の流入を防ぐため、内部結露の発生が少なくなります。

これにより、カビや腐朽菌、シロアリ被害のリスクを減らし、建物の耐久性や寿命の向上にもつながります。

5. 空気質が改善される

高気密住宅では外部からの汚染物質の侵入を防ぐため、室内の空気質改善にもつながります。

隙間風に頼らず計画的な換気システムによって新鮮な空気を居住空間に供給することで、室内の空気質を維持できるのです。

また、適切なフィルターを設置することで花粉やハウスダストなどのアレルゲン物質を室内に取り込むリスクが低くなり、アレルギー症状の軽減にもつながります。

ハウスメーカー各社のC値の調べ方

ハウスメーカー各社のC値を調べる際は、最初に公式ウェブサイトやカタログを確認してみましょう。

また、住宅展示場での直接対話や、メールや電話での問い合わせを行って、より詳しい情報が得られることもあります。

ただし、C値の調査には注意が必要です。商品のグレードやプラン、地域特性によって数値や条件が異なる場合があり、他社との単純比較が難しい場合もあります。

C値だけでなく、UA値やQ値など他の性能指標もあわせて調査し、総合的に評価することをおすすめします。

ハウスメーカーごとに断熱性能を比較する際の注意

C値の測定は義務ではないため、公表をしていないメーカーも少なくありません。

わずかな差を気にするよりも、各ハウスメーカーの考え方を知る参考値と考えるほうが良いでしょう。

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C値を改善する方法とは?

C値を向上させるためには適切な施工方法や材料の選択が重要です。

その中でも、とくに効果的な4つの方法をご紹介します。

1 正しく気密施工を行う

まず第一に重要なのは、正しい気密施工です。

気密シートやテープなど適切な材料を使用し隙間なく施工することで、高い気密性を実現できます。

柱や梁などの構造体のほか、換気口やエアコンの配管などの貫通部の気密処理も重要です。

この段階で施工ミスや不備があると、その後改善することは難しくなるため、慎重さが求められます。

2 滑り出し窓やFIX窓を選ぶ

窓選びも大切です。滑り出し窓やFIX窓など開口部に隙間が少なく空気漏れが少ないタイプを選ぶことで、全体的な気密性向上につながります。

また、窓枠の周囲をテープやシーリングを使用してしっかりと気密処理することも忘れてはいけません。

3 玄関ドアは片開きを選ぶ

気密性を重視する場合は片開きタイプがおすすめです。

このタイプは構造上、片引き戸や両開きタイプに比べて隙間ができにくく、高い気密性を確保できます。

4 外壁面のスイッチ・コンセントを減らす

外壁の室内側にあるスイッチやコンセントなど電気設備の開口部は、気密性に関して弱点となりやすい部分です。

設置する場合には必要最低限の数として、気密テープなどで隙間を適切に気密処理します。

シックハウス症候群と高気密住宅の関係

2003年の建築基準法改正により、いわゆる「シックハウス法」が施行されました。

この法改正は、住宅の気密性向上に伴う室内空気質の悪化を防ぐことが主な目的です。(出典:シックハウス対策のための規制導入改正建築基準法)

現在の高気密住宅では、適切な換気システムの運用や建材の選択により、シックハウス症候群のリスクは大幅に軽減されています。

以下に高気密住宅におけるシックハウス症候群のリスクを軽減する方法と、注意点を紹介します。

適切な機械換気設備を導入する

現在では、建築基準法によって24時間換気システムの設置が義務付けられています。

部屋の内容積に応じた適切な換気設備や給気口を適切に設計・施工することにより、窓を閉め切った状態でも室内の空気を常に入れ替え、空気質の劣化を防ぎます。

また、機械換気に加えて、1時間に5分~10分程度、窓を開けて自然換気を行うことも効果的です。

有害な化学物質が含まれない建材を使用する

ホルムアルデヒドなど、シックハウス症候群の原因となる化学物質の使用が制限された建材や内装材を選択します。

現在国内で販売される建材のほとんどは問題ありません。

しかし古い家のリフォームや輸入建材、造作家具などでは、使用されている材料の確認をおすすめします。

適切な湿度管理を行う

シックハウスの原因にもなるカビやダニの繁殖を防ぐため、室内の湿度管理を行いましょう。

過度な加湿や、水蒸気を発生する調理器具や暖房器具の使用を少なくし、湿度計を設置して40〜60%を保つような管理をおすすめします。

また、必要に応じて空気清浄機を使用することで、空気中の粉塵や雑菌を減らし、空気質をさらに改善できます。

>>高気密住宅はカビが生じやすい?

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よくある疑問に答えます! C値のQ&A

C値の基準は法律で決まっている?

現在、日本国内ではC値に関する明確な法的基準は設けられていません。

また、省エネ基準においても明確な基準はなく、ハウスメーカーや工務店の考え方に委ねられています。

新築やリフォームを検討する際には、各社の基準を確認し、自分に合った住宅性能を選ぶことが大切です。

C値は低いほど良い?

C値が低いほど気密性が高く、省エネ性能が向上します。

ただし、C値の低さを求めるほど工事費用が増加する傾向があり、窓やドアの選択肢が制限される場合もあります。

理想的なC値は0.5以下とされていますが、費用と性能のバランスを考慮し、自分たちの希望やライフスタイルに合った数値を目指すことが大切です。

C値は後から改善できる?

C値を後から大幅に改善することは困難です。

気密施工の多くは壁や天井、床下で行われるため、完成後にできる改善の方法は限られます。

また既存住宅をリフォームする場合は、部分的な隙間をふさぐ工事によってある程度は改善できますが、全体的な気密性を大きく向上させるためには大掛かりな工事が必要です。

気密性が高すぎると問題はある?

気密性が高すぎること自体は問題ありませんが、同時に適切な換気システムの導入が必要です。

隙間風の出入りが少ないため、換気が不十分だと室内空気質が悪化し、カビやアレルギーの原因になることがあります。

また機械換気設備が適切に運転されるように、定期的なメンテナンスを行うことも大切です。

C値はどうやって測定するの?

C値は専用機器を使用し、家の内部と外部の気圧差を一定に保ちながら空気の流出量を計測して、住宅全体の総隙間面積を算出します。

この測定は、断熱工事と気密工事の施工後に専門知識を持つ業者によって実施され、設定された目標値に達しない場合は気密工事の手直しを行うこともあります。

C値を測定する住宅会社は信頼できる?

C値の測定によって施工品質を確認できるため、信頼できる住宅会社選びにも役立ちます。

気密性の高い住宅を作るには、高度な設計・施工技術と丁寧な作業が欠かせません。

高いC値を達成している住宅会社は、その施工技術や材料選定にも自信があることがわかります。

建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?

ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。

注文住宅の設計プランや費用は、施工店によって大きく異なることがあります。

そのときに大事なのが、複数社に見積もりを依頼し、「比較検討」をするということ!

実際に注文住宅を建てるには時間がかかるので、この記事で大体の予想がついた方は早めに次のステップへ進みましょう!

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一生のうちに注文住宅を建てる機会はそこまで多いものではありません。

後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】タクトホームコンサルティングサービス

タクトホームコンサルティングサービス

亀田融

一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。

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