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2024年12月24日更新
震度7にも耐える家は?耐震等級ごとの耐震性を紹介
耐震等級の最も高い耐震等級3の住宅は、最大震度7の熊本地震でも倒壊を免れました。この記事では、震度7でも耐える住宅にするための対策や、耐震等級の他「耐震」「免震」「制震」の違いについても解説します。
目次
耐震等級3の家は震度7に耐えられる?
耐震等級3は耐震等級の中でも最も高いレベルで、大きな地震が発生しても耐えられるように設計されています。
耐震等級1と比較すると、耐震等級3は、1.5倍の耐震性能を持っており、大きな地震が着た後でも使用し続けられるほどの強度で設定されています。
防災の拠点となる警察署や消防署などの建物は、耐震等級3で建設されている場合が多いです。
熊本地震における耐震等級3の建物の被害

国土交通省の調査によると、2016年に発生した最大震度7の熊本地震では、耐震等級3の建物はほとんど被害がありませんでした。
無被害の建物は87.5%、軽微・小破の建物は12.5%で、倒壊した建物はゼロです。
なお被害が最も大きかった益城町では、耐震等級1の住宅はほとんど倒壊しています。
耐震等級2は、震度6強~7の地震でも倒壊しない前提で設計されていました。しかし、熊本地震では、耐震等級2の住宅も倒壊しています。
住宅強度を表す耐震等級とは?震度いくつまで耐えられる?
耐震等級1 | 数百年に1度発生する地震力に対し、倒壊・崩壊しない程度 |
耐震等級2 | 耐震等級1の1.25倍の耐震力 |
耐震等級3 | 耐震等級1の1.5倍の耐震力 |
耐震等級とは地震の大きさに対して、建物がどの程度耐えられるかを表した指標です。
等級は1~3に分類され、数字が大きいほど耐震力が上がります。
耐震等級3
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震力を持ち、耐震等級の中で最も高いレベルです。
大きな地震が発生してもダメージを受けないように設計されており、大きな地震の後も軽微な修復のみで住み続けられることを基準に設定されています。
警察署や消防署、または官公庁の建物などは災害復興の拠点としても重要な役割を果たすため、耐震等級3で設計されていることがあります。
耐震等級2
耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の耐震力を持っています。
災害時に避難所として使用される公共施設は、耐震等級2以上であるのが必須です。
耐震等級2は長期優良住宅として認定される条件にもなっており、震度6~7クラスの地震が来た後も、修復して住み続けられる可能性があります。
耐震等級1
耐震等級1は建築基準法の耐震基準と同等の基準となっており、建物を建築する際には必ずこの基準を満たす必要があります。
ポイントは【数百年に1度発生する震度6~7クラスの地震に対しても、倒壊・崩壊しない設計】とされている点です。
大きな地震でも倒壊のリスクは下がりますが、建物自体の損傷については許容されています。
そのため地震の後に修復が必要になったり、酷い場合には建て替えが必要になることも想像できます。
耐震・免震・制震の違いとは?
建物の地震対策には、「耐震」の他にも「免震」「制震」の3種類があります。
ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。
「耐震」の特徴
耐震構造は、地震の揺れに耐えるように作られた構造です。
壁に筋交いを入れたり、部材の接合部を金具で補強したりする他、耐力壁などを使用します。
また特殊な工事もないため、比較的工期も短くすみます。
一方耐震は地盤の揺れが建物に直接伝わるため、大きな揺れが伝わりやすいです。
上の階になるほど大きく揺れるため、家具の転倒などに注意が必要です。
また繰り返しの揺れに弱く、大きな地震が続けて発生した場合は倒壊の可能性があります。
「免震」の特徴
免震構造は地震の揺れを受け流す構造で、建物の基礎にゴムなどの免震装置を設置し、地震の揺れを建物に直接伝えにくくします。
免震は耐震や制震と比較して、地震の揺れを小く抑えやすいです。
通常は確認しにくい建物内部の損傷も起こりにくいため、損傷のリスクを小さくできます。
一方で、免震装置は縦揺れには効果を発揮しません。また設置費用が高く、定期的なメンテナンスや交換なども必要です。
免震装置自体の歴史もまだ浅いため、施工会社も限られているのが現状です。
「制震」の特徴
制震構造は建物地震の揺れを吸収して揺れを抑制します。
建物内部にダンパーや重りなどで作られた装置を設置し、地震の揺れを小さくする仕組みです。
制震は費用が比較的安く、メンテナンスも簡単にできるため、費用面ではメリットが大きいです。
また免震は繰り返しの揺れにも強く、台風など地震以外の揺れにも効果を発揮します。
ただし、免震は地盤の影響を受けやすく、地盤が弱い土地に住宅を建てた場合は十分な効果が出ない場合もあります。
また、装置の数や場所によって効果が異なるため、適切な位置への設置や数に注意する必要です。
耐震等級を調べる方法は?
耐震等級を調べるには、主に2通りの方法があります。
- 住宅性能評価書から調べる
- 耐震証明書から調べる
住宅性能評価書を取得する
住宅性能評価書を取得すると、住宅の耐震等級がわかります。
住宅性能評価書は、第三者の登録住宅性能評価機関が、法律に基づいて住宅を評価した際に交付される評価書です。
評価書を取得するには、申請が必要なため、ハウスメーカーや工務店に申請を相談するのが一般的です。
耐震証明書を取得する
耐震証明書は「耐震基準適合証明書」と呼ばれています。
耐震証明書は、指定性能評価機関や建築士に依頼して発行できます。
震度7の地震にも耐える住宅にするには?
震度7の地震に耐えるための住宅にする、確実な方法はありません。
ただし、住宅の耐震性を上げるために、できる対策は多くあります。
ここでは震度7でも耐えられる耐震性を持つ住宅にするために、できる対策をご紹介します。
建物を軽くする
建物が軽くなると揺れを小さく抑えやすくなり、地震に対して強くなります。
とくに重い瓦屋根などの場合は、屋根が重くなり地震の際に揺れやすいです。
瓦屋根からスレート屋根やガルバリウム鋼板製など、軽い素材の屋根にすると、揺れが小さくなり耐震性能を上げるための対策になります。
壁の量を多くする・耐力壁にする
壁の量を増やしたり、耐力壁など強い壁にするのも耐震性を上げるのに効果的です。
注意点として、壁を増やす際はバランスが偏らないようにします。
たとえば、四隅を支えるように耐力壁を配置するなど、バランス良く設置するとより効果を期待できます。
耐力壁は地震や風圧などの水平方向の力に耐えるために必要な壁のことで、木造建築では筋交いを入れた壁を指します。
鉄筋コンクリート造や2×4工法などでは、構造用合板などの面材が使用されます。
床や基礎を強くするには、基本的に壁とセットで行います。壁を強くしないで、床や基礎だけ強くしても、効果は期待できない点に注意が必要です。
免震・制振技術を導入する
免震や制振は、耐震よりも地震の際に揺れにくい構造です。
建物の構造や土地の状況に合わせ、適切な構造を採用しましょう。
1階と2階で窓の位置を揃える
窓の位置を1階と2階で揃えるのも耐震性の向上に効果的です。
窓を設置する場所は大きな開口が必要となり、耐力壁にできません。
耐力壁は窓のない位置に配置されるため、窓の位置を上下階で揃えると自然に耐力壁の位置も揃います。
直下率とは、建物の柱や壁の位置がどれだけ上下階で一致しているかを示す割合です。
直下率の高い方が一般的に地震に強い建物とされています。
耐震等級3の家の建築費用
耐震等級3の家の建築費用相場 | 70万~100万円/坪 |
耐震等級3の住宅を建築するのにかかる総費用は、2500~4000万円程度が一般的です。
坪単価に直すと一坪あたり70万~100万円が目安です。
耐震等級3の建築費用は、耐震等級1と比べて20~30%程度追加コストがかかると言われています。
ただし、免震や制震の技術を取り入れる場合は、耐震性は非常に高まりますが、さらに費用がかかります。
耐震等級3の住宅のメリット
耐震等級3の住宅で得られるメリットは耐震性だけではありません。
ここでは、耐震等級3の住宅で得られるメリットをご紹介します。
大きな地震への耐久力が強くなる
大きな地震への耐久性強化が最も期待されるメリットです。
震度6~7クラスの大きな地震の際も、住宅の損傷が少なければそのまま住み続けられます。
大きな地震への耐久力が強いのは、一番のメリットだと言えるでしょう。
地震保険が安くなる
耐震等級3の住宅であれば、50%の地震保険割引が適用されます。
耐震等級による地震保険の割引率のめやすは以下の通りです。
- 耐震等級1 10%
- 耐震等級2 30%
- 耐震等級3 50%
耐震等級3であれば、年間の地震保険料が6万円だった場合、年間3万円の割引が受けられます。
住宅ローンで優遇される
耐震等級3の住宅は、住宅ローン金利で優遇されるのもメリットです。
たとえば、住宅金融支援機構が運用するフラット35の金利Aプランでは、5年間で金利を0.5%引き下げる優遇制度があります。
住宅の資産価値が高くなる
耐震等級3の住宅は、耐震性の高さが客観的に証明されています。
そのため、住宅の資産価値は高くなり、将来売却する際にも高く売れやすいのがメリットです。
耐震等級3の住宅のデメリット
耐震等級3の住宅では、いくつかのデメリットもあります。
コストがかかる
耐震等級3の住宅を建築するためには、耐震等級1と比べて20~30%程度の追加コストがかかります。
他にも耐震等級の認定を受けるために、耐震基準をクリアするだけではなく、第三者評価機関による性能の評価を受ける必要があります。
評価と申請のためにかかる費用は合わせて10万~40万程度です。
耐震等級3の評価を受けるには、建築費用のほかにも諸費用がかかるため注意しましょう。
希望通りの間取りにできない場合がある
耐震等級3の条件を満たすためには、耐力壁の量や配置、柱の位置やバランスなどが重要です。
そのため、必ずしも希望通りの間取りにできるとは限りません。
たとえば、リビングを広くしたいと考えていた場合、広くしたい空間に耐力壁を入れなければならない場合などが考えられます。
他にも、大きな吹き抜けや窓などを設置できない可能性もあり、希望通りにならない場合があります。
Q&A 住宅の耐震についてよくある質問
ここでは住宅の耐震についてよくある質問をまとめています。
- 新耐震基準の家は震度7でも倒壊しない?
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新耐震基準では、震度6~7の揺れでも倒壊・崩壊しないことを基準としています。ただし、絶対に倒壊しないという保証はありません。
※建築基準法の耐震基準は、耐震等級1相当です。
- 耐震等級3の住宅は震度7の地震に耐えられる?
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2016年に発生した最大震度7の熊本地震では、耐震等級3の住宅は倒壊を免れました。
ただし、地盤の状態などによっても状況は変わるため、必ず耐えられる保証があるわけではありません。
- 耐震性の低い住宅の特徴は?
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3階建てや4階建てなどの縦長、または横長の細長い形の住宅は地震に弱いです。
他にも複雑な形をしていたり、掃き出し窓など大きな開口部がある場合も耐震性が低くなりやすいです。
- 耐震基準と耐震等級の違いは?
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耐震基準が「人の命を守る目的」なのに対し、耐震等級は人の命を守る目的に加え「建物そのものの被害を抑えて守る目的」という違いがあります。
建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?
ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。
注文住宅の設計プランや費用は、施工店によって大きく異なることがあります。
そのときに大事なのが、複数社に見積もりを依頼し、「比較検討」をするということ!
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