2023年12月14日更新
注文住宅購入費用は消費税増税で変わる
目次
注文住宅購入のタイミングと消費税
引き渡し日と請負契約日によるリミットの違い
消費税が8%から10%に上がるのは、2019年10月1日と予定されています。
その影響を考慮し、8%のうちに注文住宅を購入したい場合、引き渡し日と請負契約日とで異なるリミットになる計算です。
具体的に見ていきましょう。
引き渡し日による8%のリミット
消費税が8%のうちに住宅の引き渡しを完了するとします。
期限は2019年9月30日ですので、逆算して不動産を決めなければなりません。
契約から引き渡しまで数ヶ月かかるのが普通ですので、余裕を持って売買契約を締結し、決算などの手続きを済ませる必要があります。
請負契約日による8%のリミット
注文住宅の工事請負契約自体は、2019年3月31日がリミットです。
それまでに契約が締結されていれば、引き渡しが2019年10月以降にずれ込んでも、消費税は8%が適用される経過措置になります。
請負契約日が3月31日、4月1日以降に追加契約した場合の例
ただし、請負契約の後に契約変更や追加契約があった場合、消費税は10%が適用となります。
3月31日に請負契約をギリギリ完了できたとしても、4月1日以降に変更や追加が出るケースなどです。余裕を持って請負契約を締結させておきましょう。
注文住宅購入費用は消費税増税で上がる
当然ですが、注文住宅の購入費用は消費税増税後に上がることになります。
引き渡しと請負契約日のリミットのみならず、他の費用にかかる消費税にも注意が必要です。
建築費以外にも影響あり
注文住宅を建てる際、建物の価格だけでなく仲介手数料や登記手数料、住宅ローンや事務手数料といったさまざまな費用に消費税がかかります。
増税後にはこれらの費用にも影響が及ぶのです。
また、引っ越し費用や新しい住宅で使う家具や家電なども新たに購入することを考えると、かなりの金額が増税の対象となります。
増税前にあらかじめ購入しておくのも有効な対策となるでしょう。
具体的なシミュレーション
具体的に金額をシミュレーションしてみましょう。
注文住宅の建物自体が、売買金額5,000万円だったとします。消費税増税による建物自体への課税金額はそれぞれ次のとおりです。
- 5,000万円×8%=400万円
- 5,000万円×10%=500万円
したがって、消費税のみで100万円増額することになります。
次に仲介手数料の差額についてです。仲介手数料は上限が決まっており、計算式は下記のようになります。
- (5,000万円×3%+6万円)×1.08=168.4万円
- (5,000万円×3%+6万円)×1.1=171.6万円
仲介手数料だけでも3万円以上多く支払うことになるのです。
引っ越し費用や新しい住宅に必要な費用についても同じように算出すると、このようになります。
- 150万円+消費税8%=162万円
- 150万円+消費税10%=165万円
建物に比べると少額ではありますが、引っ越しや家具などの費用として考えると3万円は大きい額ではないでしょうか。
このように、消費税の影響は小さくないということを覚えておく必要があります。
注文住宅購入で消費税増税への経過措置
注文住宅費用の増額に打つ手はないのか、というとそうではありません。
公的な経過措置も申請が可能です。消費税増税に関して、利用できる制度を詳しくご説明していきます。
住まい給付金の増額
「住まい給付金」は、マイホームを購入する人への救済措置として設けられている制度で、消費税増税の負担を軽減させるのが目的です。
消費税8%時では最大30万円が給付されることになっていますが、10%になると最大50万円へと変更になります。
つまり、消費税増税に伴い給付額も増額される可能性が高くなるわけです。
ただ、給付額は年収によって異なり、消費税8%時は収入額が510万円以下の場合で最大30万円受け取れたのに対し、消費税10%時では、収入額も増え775万円以下の人が最大50万円給付される対象となります。
もちろん、この場合も引き渡しや請負契約日の期限が関係していますので、注意してください。
贈与税非課税枠の拡大
「贈与税非課税枠」は、住宅を購入するための資金を両親などから贈与してもらう際、かかってくる贈与税を一定の金額まで非課税にできる制度です。
期限が2021年12月31日までと決まっているので、利用したい場合は注意しましょう。
現在は最大で1,200万円までが非課税枠とされていますが、消費税が10%へ増税された後は、最大3,000万円に変更が予定されています。
今の時点で3,000万円の贈与を受ける場合、
- 3,000万円-(基礎控除110万円+非課税枠1,200万円)=1,690万円
が課税対象という計算になります。
課税額を算出すると、税率45%で
- 1,690万円×45%-(控除額265万円)=499.5万円
かなりの税額になることがわかります。
ところが、増税後だと非課税枠は3,000万円ですから、贈与全額が非課税対象となり、税額はゼロ円となるので非常に大きな差がでます。
このように、贈与税非課税枠が拡大されると、注文住宅購入時にかかる税金を軽減できるのです。
政府は追加措置を検討中
これらの措置以外にも、政府が追加措置を検討しているというニュースもあります。
今後は、消費税増税の具体的な実施と、追加措置の決定に関する情報をしっかり追っておく必要があるでしょう。
消費税増税後の注文住宅購入費用
消費税増税が行われた後の注文住宅購入費用について、もう少し詳しくみていきましょう。住宅ローン控除や、過去の消費税増税での駆け込み需要も参考にできます。
住宅ローン控除が利用できる
「住宅ローン控除」は、住宅取得から半年以内に入居してから以後住み続ける場合に、入居した年から10年間所得税が軽減される制度です。
入居から10年間に渡り、所得税からローン残高の1%相当額、最大で400万円までが控除されます。
これを2019年10月から2020年末までに住宅を購入した場合に限り、控除期間が3年間延長されます。
所得税、そして住民税の軽減にも役立つので、負担が軽くなるでしょう。
ただし適用となる条件が細かく決まっています。控除を申請する年の収入が合計で3,000万円以下、住宅ローンの返済期間は10年以上、などです。
確実に利用できるよう、事前に確認しておきましょう。
駆け込み需要と反動減の可能性
実際に消費税が5%から8%へ増税された2002年は、駆け込み需要と呼ばれる現象が発生。
消費税増税による費用の増額を前に新築住宅の着工数が急激に増え、前年度比約10%もの伸びが見られました。
それに伴い、建築費用や販売価格が高騰する結果となったのです。
消費税が低いうちに、と建て始めたものの住宅を建てること自体高額になってしまいました。
その次の年には、着工数は反動減で大幅な需要減少が起こりました。すると、住宅購入にも値引きが見られるようになったのです。
場合によっては、消費税増税後の方が安く購入できていたかもしれません。今振り返ると、消費税増税前と後でどちらが得だったかは、結局ケースバイケースなのです。
住宅の購入額のみでなく、世の中の流れや公的制度とも消費税増税は深く関わっています。
駆け込み需要に惑わされず、情報収集とシミュレーションをしながら注文住宅を検討するのがベストといえます。
注文住宅の購入費用に消費税は必要?
注文住宅を購入する場合でも各種税金はかかってきます。消費税も例外ではありませんが全てにかかるわけではありません。
そこで消費税が関わってくる費用を紹介していきます。一口に消費税といってもいろいろな面で負担になりますので、予算の計算の時にはかかる費用をしっかり確認しておきましょう。
建物本体
まず、消費税が必要なものは住宅費用です。
消費税は物やサービスを購入するにあたり必要になる税金のため、住宅費用にもかかります。これは建売住宅を購入するのにあたっても必要ですが、個人(事業主は除く)が売り主の中古住宅にはかかりません。
家具・家電
注文住宅を購入した場合、当然家具や家電を準備する必要があり、それらを準備する費用にも消費税はかかります。
特に家具、家電は費用も大きいので購入の際は、しっかりと消費税を計算に入れましょう。
余談ですが、引っ越し費用にも消費税はかかりますので、新生活をスタートさせる費用も計算しておくと良いでしょう。
金融機関の融資手数料・登記手数料
金融機関に融資を依頼している場合は、手数料にも消費税は発生しています。
また、登記にかかる登録免許税以外の手数料にも消費税はかかってきますので、手続きの際には注意しておきましょう。
注文住宅の購入時に消費税がかからないものは?
前述では消費税がかかるものを紹介してきましたが、では逆に、消費税の影響を受けない費用も紹介しておきたいと思います。
土地の購入費用
先ほど、建物本体には消費税が必要と紹介しましたが、土地の部分にはかかりません。
土地代に消費税が課税されない理由として「土地は消費するものでなく資本の移転」とみなされるからです。つまり土地は、消費される品物ではないので消費税は発生しません。
印紙
住宅の購入にあたり必ず必要となる印紙ですが、印紙には消費税はかかりません。それは印紙を購入する際、印紙そのものが印紙税という税金のため、さらに消費税をとってしまうと二重課税になってしまうからです。
ただし、金券ショップなどで購入すると消費税が発生してしまうので注意しましょう。
登録免許税・不動産取得税
保存・移転登記や抵当権設定登記、不動産を取得する際に発生する税金には消費税はかかりません。
先ほども述べた通り二重課税になってしまう関係で税金には消費税は不要です。
保険料
プランに応じて加入する保険料にも消費税はかかりません。基本、加入は任意のため自由ですが、大半の人が加入しています。保険料は非課税取引にあたりますので、消費税は不要です。
建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?
ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。
実際に建て替えをするべきなのか、リフォームをするべきなのかを検討するためには、プロに現状を相談し、「プランと費用を見比べる」必要があります。
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一生のうちに建て替えをする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール
タクトホームコンサルティングサービス
亀田融一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。
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