2023年12月15日更新

監修記事

【バリアフリー住宅への建て替え】補助金についても解説!

バリアフリー住宅に建て替える場合、どのようなパターンがあるでしょうか。また、バリアフリー住宅への建て替えで利用できる住宅ローンや補助金制度についても解説します。

まずは
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バリアフリー住宅への建て替えを検討したいケースとは

「バリアフリー住宅」とはもともと高齢の方や身体的に障害のある方がスムーズに暮らせるよう、段差などの障壁を無くした住宅を指していました。

その歴史を少し辿ってみましょう。

1994年に、高齢の方や身体的な障害を持つ方がスムーズに使える特定建築物の建築を促進するための「ハートビル法」が施行されました。

これをきっかけに、日本でも「バリアフリー」の概念が認知され始めます。

1996年には住宅金融公庫が、バリアフリー住宅に対しても基準金利の適用を開始しました。

これが、住宅においてもバリアフリー化が進むきっかけになったとされています。

近年では「バリアフリー住宅」も広義になり、高齢の方や身体障害のある方だけでなくお子さんや妊婦の方などにも優しい住宅を指すようになりました。

老朽化による建て替え時期が来ている

バリアフリー住宅に建て替える時期の目安としてお伝えしたいのが、築30年を越えたタイミングです。

住宅の仕上げに使われる屋根材や外壁材、床材の交換時期の目安であり、雨水などの影響で外壁や柱などが腐敗し老朽化している場合もあります。

また、1981年より前に建てられた木造住宅は旧耐震基準に従い建てられているので、耐震性を強化する意味でも建て替えを検討する時期と言えます。

二世帯住宅への建て替え時期

親御さんとの同居や介護を開始するタイミングで、バリアフリーの二世帯住宅へ建て替える方もいらっしゃいます。

たとえば車椅子生活の親御さんと同居する場合、段差がなく各所に手すりなどを設けた二世帯住宅に建て替えると介助する側もされる側もスムーズに暮らしやすくなります。

また、寝室からお手洗いまでの距離が近い間取りにしたり、車椅子で移動しやすい導線を確保したり、建て替えでは間取り変更を伴うバリアフリー化も可能です。

家族構成やライフスタイルが変わった

お子さんが独り立ちすると、子ども部屋がいらなくなったり家が広く感じたりします。

また、自分自身が高齢になり階段の上り下りが辛くなると、いっそのこと生活空間を一階に限定しようと考えることもあるでしょう。

このように家族構成や生活スタイルが変わるタイミングでバリアフリー住宅への建て替えを検討する方も多くいます。

もともと二階建ての住宅を段差のない平屋に建て替えたり、子ども部屋だった空間をバリアフリー化したりと、多様なパターンがあります。

バリアフリー住宅に建て替える際のポイントとは

玄関アプローチのポイント

バリアフリー住宅に建て替えるとき、玄関先に設置するスロープは車椅子の方などがスムーズに出入りできるかどうかに関わる大きなポイントです。

新バリアフリー法による「建築物移動等円滑化基準」では、スロープの勾配が12分の1以下と定められています。

これだけなだらかな勾配のスロープを設置するとなると、玄関ポーチも低く設定する必要があります。

玄関ポーチの階段の高さは、地面から30cm以上で階段1段の高さが16cm以下に設定するのが理想です。

スロープを設置する際に手すりも取り付けておくと、より出入りがスムーズになります。

廊下のポイント

バリアフリー住宅に建て替える場合、廊下は車椅子でも通れるよう幅を広めに取るのがポイントです。

車椅子で通るために最低限必要な幅は90cmほどで、Uターンすることも考慮する必要があります。

また、廊下の床材には車椅子を使用しても傷がつきにくく、転倒しないよう滑りにくい素材を採用しましょう。

さらに、移動しやすいよう寝室から浴室や玄関までの導線を短く曲がり角のないよう設計するのもポイントです。

廊下に設置する手すりは、使う人が握りやすい幅を選びましょう。

ドアのポイント

バリアフリー住宅に建て替える場合、ドアは「吊り戸」を採用するのがおすすめです。

「ハンガー引き戸」ともいい、ドアの上枠にレールが付いている引き戸を指します。

レール部分が上枠にあるため床がフラットで、つまづく危険性が少なくなります。

また、引き戸は押し戸や開き戸に比べて少ない力で簡単に開閉できる点でもおすすめです。

水回りのポイント

トイレや浴室などをバリアフリー化する場合は、介助する可能性も想定して設計するのがポイントです。

車椅子でもトイレや浴室に入れるよう広さを確保しましょう。

トイレの場合、便器からドアまでの距離が85cm程度あると、二人入ることが可能で介助できます。

また、ドアの取り付け位置を便器の正面ではなく横にすると、出入りがスムーズになり介助もしやすくなります。

続いて浴室は、転倒しないよう滑りにくくクッション性のある床材を採用しましょう。

また、身体を洗いやすいようにベンチカウンターを付けるのもおすすめです。

浴槽は溺れないよう40cm程度の深さにし、浴槽にもベンチカウンターがあると座ったままスライドするように湯船に入れます。

さらに、浴室内外の温度差によるヒートショックを防ぐ意味でも浴室と洗面所には暖房設備を導入すると良いでしょう。

間取りのポイント

バリアフリー住宅に建て替える場合、間取りは各部屋への移動距離を短くするのがポイントです。

生活する上で必要な動線をできるだけ短くし、移動をスムーズにしましょう。

特に、寝室からトイレ、浴室までの移動距離を短くしておくと生活しやすくなります。

また、生活動線は曲がり角がないよう直線に設定するのもポイントです。

生活動線上に曲がり角があると、車椅子で移動しにくかったり死角ができたりして事故の危険性が高まります。

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二階建てのバリアフリー住宅に建て替えは可能?

二階建てのバリアフリー住宅に建て替えるのは可能ですが、二階建てに建て替える場合は一階をバリアフリースペースにするパターンが多く見られます。

このパターンにおける一階部分の間取りは、平屋に建て替える場合とほぼ同じと捉えて構いません。

また、一階部分だけで生活が済むようにトイレや浴室などを配置するのもポイントです。

一階と二階、どちらもバリアフリー化する場合には階段昇降機や家庭用エレベーターを導入すると良いでしょう。

これらの設備は、高齢の方だけでなく妊婦の方やお子さんの移動にも便利です。

また、二階建てのバリアフリー住宅に建て替える場合のメリットには、災害が起きた際に垂直避難できる点が挙げられます。

水害が起こり一階部分が浸水した場合、二階へ避難できます。

家庭用エレベーター

家庭用エレベーターとは、二階建て以上の住宅でリビングが上の階にある場合や、店舗兼住宅において住居スペースが上の階である場合などに導入される設備です。

二階建て以上のバリアフリー住宅に建て替える場合に取り入れたい設備でもあります。

家庭用エレベーターは車椅子で一階から二階へ移動する場合にも便利で、導入すると介助する方の負担も減ります。

階段昇降機

階段昇降機とは斜行機ともいい、身体が不自由で階段の上り下りが難しい方が安全に階を移動できる機械です。

階段の横や手すり部分などに取り付けられたレールによって、利用する方が椅子に乗った状態で階段を昇降できるつくりになっています。

バリアフリー住宅の建て替えに有利なローンはあるの?

バリアフリー住宅に建て替える場合、一般的な住宅ローンに加えて、低金利な住宅ローンも利用できる可能性があります。

住宅を新築、建て替えする場合に利用できる住宅ローンに「フラット35」があります。

フラット35は、金利が長期間固定される住宅ローンです。

住宅金融支援機構と民間の銀行などが共同提供しています。

フラット35の中でも一定の条件をクリアした長期優良住宅は「フラット35 S」と呼ばれる制度を利用できるようになります。

フラット35 Sは、フラット35の借り入れ金利を一定の期間引き下げられる制度です。

バリアフリー住宅もフラット35 Sが指す長期優良住宅に該当しています。

気になる適用条件ですが「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に従って評点された高齢者等配慮対策等級が、4以上の場合に10年間、3以上の場合に5年間、フラット35の借り入れ金利よりも0.25%引き下げられる仕組みです。

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バリアフリー住宅の建て替え費用を軽減する補助金や税制優遇とは

バリアフリー住宅に建て替える場合、補助金や税制優遇は受けられるのでしょうか。

建て替えはリフォームと違い、受けられる補助金や税の優遇制度が異なるため理解しておきましょう。

バリアフリー住宅の建て替え時に申請可能な補助金

一般的な住宅をバリアフリー化するリフォームでは、介護保険を活用した補助金や住宅特定改修特別税額控除などを受けられる可能性があります。

しかし、いずれもバリアフリー化するリフォームが対象であり、新築や建て替えは対象外です。

近年では住宅のバリアフリー化が特別なものではなくなってきており、一般的な住宅にもバリアフリー仕様が標準装備されている場合が多くあります。

この点から、一般的な住宅を建てる場合と比較して、バリアフリー住宅に建て替える場合に建築費用が跳ね上がるとは言えないでしょう。

以上のような理由もバリアフリー住宅への建て替えで、前述した補助金が適用されない一因となっているようです。

しかし、自治体によっては建て替えであっても独自の補助金を打ち出している可能性があります。

適用条件や金額など気になる点は自治体に問い合わせてみましょう。

※2021年9月17日時点での情報です。

バリアフリー住宅の建て替えに受けられる税制の優遇制度

こちらも補助金と同様に、バリアフリー住宅の建て替えに受けられる税制の優遇制度はありませんが、バリアフリー住宅へリフォームする場合には対象となる税制があります。

まず、固定資産税の減税制度です。

築10年以上の住宅をバリアフリー仕様にやリフォームする場合に受けられる減税制度です、以下の方が対象となります。

  • 65歳以上の方
  • 介護保険の要介護、要支援認定を受けている方
  • 障害のある方

対象の方ご本人がお住まいの住宅をバリアフリー仕様の住宅にリフォームする場合、リフォーム工事の翌年1年間、固定資産税が3分の1軽減されます。

詳しくは住んでいる地域の自治体や、建て替えを依頼する業者に問い合わせてみましょう。

また、業者選びの際には補助金制度や税の優遇措置などに詳しく、費用の面でも親切に対応してくれるかどうかについても見極めたいところです。

※2021年9月17日時点での情報です。

続いて、バリアフリー住宅へ改修する場合に利用できる可能性のある減税措置に「住宅特定改修特別税額控除」があります。

住宅特定改修特別税額控除とは、住宅のリフォーム工事をする場合に受けられる所得税の特別控除です。

自分が持っている居住用の住宅をバリアフリー仕様にリフォームする場合に利用できます。

この減税措置は住宅ローンを組んでいなくても利用可能です。

住宅ローンを組んでいる場合には「住宅ローン控除」や「特定の増改築に係る住宅ローン控除」とは併用できず、選択制の方法が取られます。

また、住宅特定改修特別税額控除には適用期限があり、令和3年12月31日までに工事を完了させ住み始めなければなりません。

住宅特定改修特別税額控除の適用条件は以下のとおりです。

1.対象となる工事の範囲

  • 平成26年3月31日までにリフォーム工事をしたあとの床面積50㎡以上
  • 床面積の1/2以上が居住スペースである場所の30万円超の改修工事
  • 平成26年4月1日以降に改修工事をしたあとの床面積50㎡以上
  • 床面積の1/2以上が居住スペースである場所の50万円超の改修工事

2.特定居住者が実施する以下の工事

  • 浴室やトイレの改良
  • 廊下の拡幅
  • 階段の勾配の緩和
  • 手すりの設置
  • 住宅内の段差の解消
  • 引き戸へ取り替える工事
  • 床の滑り止め

ちなみに、特定居住者にあたるのは以下に該当する方々です。

  • 50歳以上の方
  • 要介護または要支援認定を受けている方
  • 障害者の方
  • 居住者または親族のうち、要介護または要支援認定を受けている方
  • 居住者または親族のうち、障害者の方

注意点として、バリアフリーリフォーム工事などを行った特定居住者が、その年の前年より3年以内に実施したバリアフリー改修工事などについて住宅特定改修特別税額控除が適用されている場合には、その年に申請しても控除は受けられません。

控除対象限度額は200万円で、控除が受けられる期間は居住年が平成26年4月1日〜令和3年12月31日の方です。

また、控除が適用される期間はバリアフリー仕様の住宅へ建て替えたあと、住み始めた年のみであるため理解しておきましょう。

建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?

ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。

実際に建て替えをするべきなのか、リフォームをするべきなのかを検討するためには、プロに現状を相談し、「プランと費用を見比べる」必要があります。

そのときに大事なのが、複数社に見積もりを依頼し、「比較検討」をするということ!

この記事で大体の予想がついた方は次のステップへ行きましょう!

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一生のうちに建て替えをする機会はそこまで多いものではありません。

後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】弘中純一

一級建築士事務所アルド住宅研究所

弘中純一

一級建築士、宅地建物取引士。プレファブ住宅の開発からスタートし、以来40年にわたり住宅産業に従事。建築設計事務所・住宅リフォーム会社の経営を経て、現在は住宅の悩みを解決する、コンサルティングを中心に活動中。

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