2023年12月12日更新
建物の建築には工事請負契約書が必要!契約タイミングや確認すべき事を解説
工事請負契約書とはどのようなものかご存知でしょうか。本記事では、工事請負契約書や約款において確認すべき点や約款なしで契約を行うリスクなどを紹介します。工事請負契約書について疑問がある方は、ぜひチェックしてみてください。
「工事請負契約書で重要なポイントを知りたい」
「特約なしで契約を結んでも大丈夫?」
上記のように工事請負契約に疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、工事請負契約書について確認すべき点や工事請負契約書の危険負担などについて紹介しています。
この記事を読むことで、工事請負契約書の重要なポイントを把握することができ、疑問が解消した状態で契約を進めることができるでしょう。
工事請負契約書について疑問点がある方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
工事請負契約書とは
工事請負契約書とは工事の際に交わされる契約書のことをいい、請負契約であるため「一方が工事の完成を約束し、もう一方がその工事の完成に対して報酬を支払う」という形式の契約になります。
よって工事が完成しない場合には、業者側は報酬を受け取ることができません。
契約自体は口頭でも成立しますが、工事請負契約書は建設業法19条によって契約書の作成から、双方の署名が義務付けられています。
工事請負契約書を締結する目的は3つあります。1つ目が工事の内容を事前に明確にしトラブルを防ぐため、2つ目がトラブルが発生した場合の規則を定めるため、3つ目が訴訟などの際の証拠資料にするためです。
工事請負契約書を交付するタイミングも、災害時などの例外を除き工事の着工前に交付する必要があります。
工事請負契約書が扱われる場面としては、新築工事や増改築工事、改装工事、外構の整備工事などを行う際です。
工事請負契約に基づいて新築された建物の所有権については、材料を提供した者に帰属するとされており、施工業者が材料を調達した場合は代金の支払いを行ったタイミングで所有権が移転します。
工事請負契約を交わす前に確認すべき事
工事請負契約を締結する際に、確認すべき点があります。
ここでは工事請負契約を締結する際に確認すべき点について紹介します。
支払金額と支払時期
工事請負契約を締結する際に、代金の支払い時期とその時期ごとの金額については事前に確認が必要な重要事項となります。
支払い時期については、一般的なタイミングとしては3つのタイミングがあります。
1つ目に建築工事の請負契約締結時(着手金)、2つ目に着工前や上棟時(中間金)、3つ目に引き渡し時(支払いが残っている代金)です。
支払う金額は契約締結時に10%、工事開始時に30%、上棟時に30%、建物が完成し引き渡しを行う際に30%という配分が一般的です。
契約解除の条件や違約金
工事請負契約を締結する際に、契約解除の条件や違約金の金額についても事前に確認を行いましょう。
契約解除は工事が始まっていても可能であることが一般的ですが、キャンセルすることでそれまでに行った建築の費用を施主が負担しなければならないため注意が必要です。
金額については契約書に定めがあるか確認しましょう。
工事契約を締結してから解除する場合には条件が定められています。
基本的に違約金を支払うことによって契約は解除することができます。
契約を締結し、工事に着手する前の違約金は建築費用の約10%であることが一般的です。
引渡しまでのスケジュール
工事請負契約時には、引き渡しの日程までのスケジュールを確認しましょう。
確認すべき項目としては工事が開始される着工日、工事が完了する完成日、建物が引き渡しされる引き渡し日の3項目です。
表記は一般的には2種類で、日付が記載されている場合と着工日から◯日以内と表記される場合です。
ここでは組まれている日程が現実的なものかどうかを確認し、要相談などのような記載がある場合にはしっかりと業者に確認を行いましょう。
工事が大きく遅延した場合の違約金についても、この時点で確認を行いましょう。
大きな遅延が起きてしまうことで交渉なども長引くことがあるためです。
保証やアフターサービスの内容
工事請負契約締結時に、保証やアフターサービスの内容についても確認を行いましょう。
工事を行っている最中や引き渡しを行った後に不具合が起きた場合に保証内容がどのような条件で適応されるか、保証内容はどのようなものか確認しましょう。
注文住宅を建築した場合にはハウスメーカーや工務店には瑕疵担保責任があり、最低でも10年の保証を行う必要があります。
保証内容や範囲は事前に把握しておきましょう。
見積りの内容
工事請負契約時には見積もり内容が適切であるか確認を行いましょう。
見積もりを確認する際には総額のみではなく、内訳までしっかりと確認を行いましょう。
特に複数の会社から見積をもらう相見積の場合、見積もりの形式は統一されておらず、会社によってそれぞれ異なる形式である可能性があるため、見積もり内容の確認は手間がかかります。
建築費用は、本体工事費や配管工事、付帯工事費用、諸費用などの様々な項目があります。
金額を見る際には建物が完成するまでに必要な費用が全て含まれているか、予算との照らし合わせをしながら確認を行いましょう。
設計図面の内容
工事請負契約時に設計図面の内容を確認しましょう。
工事請負契約時に記載される設計図面や、より詳細が記載されている仕様書が見積もり内容と差異がないか確認する必要があります。
設計図面は、工事の発注者と工事の請負者との間に齟齬がないかを確認するために非常に重要になります。
自分の希望に近い建物であるか、設計図面をよく確認しましょう。
特約に関する記載
工事請負契約時には特約に関する内容を確認しましょう。
特約にはローン特約などがあり、ローン特約とは住宅ローンの本審査が通らなかった場合には工事請負契約を白紙にすることができるというものです。
また、事前に支払った契約金も返金されます。
このローン特約は請負人と発注者が合意することによって定められるものです。
工事請負契約の際にはこの項目が入っているか確認してください。
工事請負契約を交わすまでの流れ
工事請負契約を交わすまでの流れを知りたいという方もいるでしょう。
ここでは工事請負契約までを円滑に進めるために、契約を交わすまでの流れを紹介します。
施工会社選び
施工会社選びは工事の質や費用にも関わる非常に重要な段階です。工事を依頼する業者によって工事の仕上がりが異なります。
技術が高く、施工実績が豊富な会社は仕上がりも良く工事スピードも早い傾向にあります。
また、工事の費用は依頼する会社によって異なります。
下請けの業者が工事をする会社では中間マージンが入り工事費用の総額が高くなってしまいます。
依頼する会社によって費用が異なるため、費用を抑えて施工したいと考えている方には複数の会社の見積もりを比較する相見積もりがおすすめです。
見積もりを比較することで価格だけでなく保証なども比較できます。
「ハピすむ」を活用することで複数の会社から無料で見積もりを取得することができます。
費用をなるべく抑えて建てたいと考えている方は、ぜひハピすむを活用してみてください。
施工会社からプランや見積りの提示
施工会社選びが終了すると、その選んだ会社からプランや見積もりが出ます。
ここでは自分の希望が正確に伝わっているか、それぞれの業者の見積もり金額や保証内容は自分の希望に近いかなどを確認しましょう。
またプランや見積もりを確認する際は「一式」などの表記が使用されていないか確認し、曖昧な表記については会社に確認を行い、不明な点がないようにしましょう。
工事請負契約
プランや見積もりが希望に近いもので、依頼をする会社が決まったら工事請負契約を行います。
契約後に契約書の内容を変更し、工事を追加する場合などは追加の費用が発生することが多いため、契約の内容をしっかりと確認しておく必要があります。
工事請負契約を交わすタイミング
工事請負契約を交わすタイミングがわからないという方もいるでしょう。
ここではスムーズに契約を進めるためにも工事請負契約を交わすタイミングについて紹介します。
契約は見積金額に納得してから
工事請負契約は見積もりの金額に納得してから行いましょう。
見積もりの金額項目で不明な点がある場合には依頼した会社に確認を行い、不明な点がない状態で契約を行いましょう。
住宅ローンなどを利用して工事を行う場合には工事の価格が高額であればその分、借入金額も高くなり支払いの負担も変わります。
見積もりは金額だけでなく、毎月の借入を返済することも検討する必要があります。
契約は建築プランを固めてから
工事請負契約は建物の建築プランを固めてから行いましょう。
建物の間取りや住宅の設備、内装などが決定してからでないと正確な金額も把握することができません。
契約を行ってから工事を追加するとその分費用が上乗せされることになります。
住宅ローンを利用する場合は再審査を行わなければならないなどの手間が増えてしまう可能性もあります。
建築プランは事前に希望の内容をまとめておき、会社に正確に伝えることが重要です。
なるべく早い段階から希望をまとめるなどの準備を進めておきましょう。
工事請負契約書や約款が無くても契約できる?
工事請負契約書や約款がなくても契約をすることができるのか疑問に感じている方もいるでしょう。
ここでは工事請負契約書と約款について紹介します。
工事請負契約は書面での締結が必要
工事請負契約は書面にて締結する必要があります。工事請負契約書は建設業法19条によって契約書の作成から、双方の署名が義務付けられています。
また、工事請負契約を書面で残さなければ工事でトラブルが発生した場合の訴訟などの際に証拠となるものがなく不利になってしまうこともあります。
工事請負契約書には記載しなければならない事項も決められており、工事の内容や、請負代金の金額、工事の着手〜完成の時期などが記載しなければならない事項です。
約款がない場合は注意
約款は、契約を結ぶ際に当事者のトラブルを避けるために記載します。
約款とは取引を効率的にするため、あらかじめ定められた契約条項に対して拘束力を認めるものです
約款は工事の際に想定されるトラブルについてなどの記載を行うため、もしもの時に備えて確認を行う必要があります。
約款がない場合は、例えば自然災害などで工事が遅延するなどの際に違約金についての取り決めがないため、取引を円滑に進めることができません。
工事請負契約に必要なものや契約金
工事請負契約を締結する際に、用意するべきものがわからないという方もいるでしょう。
ここでは工事請負契約時に必要なものを紹介します。
印鑑
工事請負契約を行う際に、必要となるのは認め印です。
工事請負契約を締結する際には業者から工事の説明を受けた後に、契約書に署名、捺印を行います。
契約のシーンでは実印でなければならないと考えている方もいるでしょう。
工事請負契約では、実印でないといけない決まりはないため認め印でも可能です。
ただし、住宅購入の際には、ハウスメーカーが実印を勧めるケースもあります。
契約金
工事請負契約を締結する際には契約金が設定されており、手渡しで支払いを行う場合には準備が必要です。
契約金が高額である場合には、手渡しではなく振り込みになるケースが一般的です。
契約金が10万円以下などの場合には手渡しで支払うケースが一般的です。
この契約金の支払いの際には、支払いの証明として領収書の受け取りは必ず行いましょう。
収入印紙
工事請負契約を締結する際に、契約書や領収書などに伴って作成した書類に課せられる税金のことを印紙税といいます。
その手数料を支払うための証票を収入印紙といいます。
税額としては、契約金額が500万円〜1,000万円の場合は5,000円、1,000万円〜5,000万円の場合は10,000円、5,000万円〜1億円以下のものは3万円です。
契約後によくあるトラブル
契約後によくあるトラブルを知りたいと考えている方もいるでしょう。
ここでは契約後に良くあるトラブルについて紹介します。
工期が遅れ引き渡しに間に合わない
契約後に良くあるトラブルとして工期が遅れてしまい引き渡しに間に合わないケースがあります。
工期は工事が始まってから完成した建物の引き渡しを行うまでの期間を指します。
工事請負契約書には着工日と引き渡し日が記載されているため、請負人はその期日までに作業を完了しなければなりません。
しかし天候や天災などのトラブルによって予定通りに工事が進まないケースがあります。
災害時は物流の優先順位が変わり、資材が届かない状況に陥るからです。
基本的に工事に遅れが出ることは少ないですが、うまく進行していないと感じた際には確認を行いましょう。
契約した間取りと違う
契約後にあるトラブルとして、契約をした間取りと完成した物件に違いがあるというケースもあります。
かなり珍しいケースですが、請負者は施主の合意なく間取りを変更してはいけません。
細かい部分の設計を変更する場合でも打ち合わせを行い合意を得てから行います。
この打ち合わせ時に変更した内容は書面にしてもらいしっかりと確認を行っておきましょう。
住みだしてから雨漏りが起きた
契約後にあるトラブルとして住み出してから雨漏りが起きてしまうというケースがあります。
引き渡し後すぐに雨漏りが起きてしまうことの原因は施工ミスや手抜き工事の可能性が高いです。
すぐに修繕を依頼しましょう。
このようなトラブルを避けるためには施工実績が豊富な業者に依頼することや引き渡し時にしっかりと確認を行うことが重要です。
工事請負契約は途中解除できるのか
工事請負契約後にトラブルが起きてしまい解除を行いたい場合には、解除が可能かどうかご存じでしょうか。
ここでは2つの状況別に工事請負契約の解除について紹介します。
施工業者の契約違反による解除
施工業者の契約違反による解除は可能です。
契約違反とは工期を過ぎても完成しないことや施工内容が指示書と異なることをいい、このような場合は施工業者の契約違反となります。
この際に契約違反によって施主側に損害が発生している場合には損害賠償請求が可能になります。
また、引き渡し後の施工不良によって解除を行う場合には期間の制限があります。
ただし、施工業者の責任によって契約を解除する場合であっても、施主は完成部分の割合に応じた請負代金を支払う必要があります。
注文者の都合による契約解除
工事請負契約後に注文者の都合による契約解除も可能です。
請負人に契約違反がない場合では、工事開始前まで注文者の都合に合わせた契約解除が可能です。
注文者の都合による解除の場合、完成部分の割合に応じて代金の支払いの義務を負います。
また請負人に対して契約解除によって発生する損害を賠償する義務を負います。
基本的に工事請負契約後のキャンセルはデメリットとなるため、キャンセルを避けるためにも契約前にしっかりと確認を行いましょう。
もしもに備えて危険負担を確認しよう
引き渡しの前に自然災害などによって物件が倒壊してしまった場合には民法によって定められた「危険負担」のルールによって支払いを拒否することができます。
ここでは危険負担について紹介します。
危険負担とは、契約成立後にどちらにも責任がない不可抗力によって商品などが滅失した場合に適応されます。
一般的には物件の引き渡し前では売主が責任を負い、引き渡し後では買主が責任を負います。
危険負担には発注者側に責任を負わせる条項が追加されているケースがあるため、もしもの場合に備えて確認を行いましょう。
建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?
ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。
実際に建て替えをするべきなのか、リフォームをするべきなのかを検討するためには、プロに現状を相談し、「プランと費用を見比べる」必要があります。
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この記事で大体の予想がついた方は次のステップへ行きましょう!
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一生のうちに建て替えをする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール
2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。
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