2024年12月24日更新
1,000万円以下で20坪の平屋は建つ?間取りの例も紹介!
20坪の平屋は1,000万円以下では建てられません。人件費や建築資材の高騰により、建築費は年々上昇しており平屋の下限建築価格は2,000万円と言われています。
当記事では、20坪平屋の費用内訳をはじめ、20坪平屋における住みやすい考え方、間取りの例を解説します。
これから平屋を建てたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
20坪平屋は1,000万円以下で建てられない
近年では人件費や建築資材の高騰により、20坪の住宅も1,000万円以下での建築は難しくなりました。
国土交通省が発表している「令和5年度 住宅市場動向調査」によると、令和5年度の建て替えにおける平均費用は5,745万円であり、令和3年度の3,299万円と比較すると2年間で建築費は74%も上昇しています。
その中でも平屋は基礎部分が大きいため、2階建てよりも建築費用が高くなる傾向にあります。
平屋を建てる際には、下限価格として2,000万円程度の費用を見込んでおくと良いでしょう。
家を建てる場合、本体工事費のみではなく、付帯工事費や諸経費も見込まなければなりません。
坪単価80万円で20坪平屋を建てた場合、総費用はどの程度になるかシミュレーションを確認してみましょう。
項目 | 費用 |
---|---|
本体価格 | 1,600万円 |
付帯工事費 | 320万円 |
諸経費 | 160万円 |
合計 | 2,080万円 |
自己資金が足りない場合、住宅ローンの活用を視野に入れましょう。フラット35などの長期ローンを組めば、月々の返済負担を抑えつつ理想の住宅を建てられます。
借入可能額シミュレーション
住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なり、詳細は明らかにされていません。
しかし、借入可能額の目安は年収である程度確認できます。
年収300万円で35年ローンを組む場合の借入可能額をシミュレーションしてみましょう。
金利タイプ | フラット35 |
借入期間 | 35年 |
借入可能額 | 2,313万円 |
返済方法 | 元利均等返済 |
上記のとおり、年収300万円で35年ローンを組んだ場合、借入可能額の目安は2,313万円となります。
10年以上の住宅ローンは月々の返済額を抑えられるだけではなく、住宅ローン控除も受けられます。
住宅ローン控除については、こちらの記事で詳しく解説しているで参考にしてみましょう。
20坪の平屋の特徴
20坪の平屋を建てる前に、まずはその特徴を理解する必要があります。
家族構成やライフスタイルに適した平屋を建てるためにも、それぞれの特徴を確認しておきましょう。
特徴1 全体の広さは床面積50~67平米
20坪の平屋を建てる場合、全体の広さは床面積50~67平米程度となります。
50平米と聞くと狭く感じるかもしれませんが、広めの1LDKやコンパクトな2LDKの間取りが考えられます。
2階建てや3階建てに必要な廊下や階段などのスペースが不要であるため、広さを十分に居住空間に充てられるでしょう。
20坪とは平米にすると約67㎡、畳に換算すると約36畳です。
特徴2 単身世帯や2人暮らしに最適
20坪の平屋は単身世帯や2人暮らしに最適な広さです。
1LDKや2LDKであれば、10畳以上の広々としたリビングの他にそれぞれの居室を設けられ、プライバシーを確保できるでしょう。
一方、3~4人で暮らす場合には間取りの工夫が必要です。
ロフトベットや仕切り壁を活用し、窮屈に感じないための配慮が必要となります。
20坪の平屋のメリット
20坪平屋におけるメリットは以下のとおりです。
- 維持費が安い
- 生活動線が整う
- 土地探しに難航しにくい
メリットから20坪平屋が自身に適しているか確認してみましょう。
メリット1 維持費が安い
一般的に2階建てや3階建てより、平屋の方が維持費は安いと言われています。
上階のない平屋では、2階建てや3階建てと比較すると家の躯体への負担が少なく、家が痛みにくくなっています。
家の躯体に負担がかかり、傾きや歪みが生じる心配はほとんどないと言えるでしょう。
修理の必要なタイミングが来ても、大掛かりな足場を組む必要もないため、修繕における費用を抑えられます。
初期費用のみでなく、維持費を含めたトータルコストで考えると後々の負担を抑えられます。
メリット2 生活動線が整う
平屋には、生活動線が整うメリットもあります。
2階建てや3階建ての場合、洗濯機のある部屋から洗濯物を干す場所が離れていることも少なくありません。
キッチン・浴室・洗面所などの水回りが離れていると家事効率が落ちることもあるでしょう。
しかし、無駄なスペースを省いた平屋では自然と生活動線が整います。
部屋と部屋の距離も近くなるため、掃除もしやすく生活しやすい家となります。
生活するにあたり、人が行き来するスペースを言います。生活動線が整わないと無駄な動きが増え、ストレスに感じることもあるでしょう。
20坪の平屋のデメリット
20坪平屋にはさまざまなメリットがある一方で、見逃せないデメリットもあります。
メリットとデメリットの双方をよく理解してから平屋を検討しましょう。
デメリット1 家族構成の変化に対応しにくい
20坪平屋は家族構成の変化に対応しにくいデメリットがあります。
国土交通省が発表している「住生活基本計画(全国計画)」によると、4人家族が一戸建で快適に暮らすために必要な面積は125㎡とされています。
20坪平屋の広さは約67㎡であるため、家族で快適に住めるほどの広さでないことがわかるでしょう。
20坪平屋は単身世帯や2人暮らしには適していますが、それ以上の家族構成の変化には対応しにくいと言えます。
デメリット2 災害に見舞われるリスクがある
平屋は地震や台風などに強いとされる一方で、水害や土砂災害への注意が必要です。
上階のない平屋では、床下浸水などの水害時に逃げ場がありません。
水害と同時に起こる可能性のある土砂災害時にも、上階へ移動できないデメリットが挙げられるでしょう。
しかしこのようなリスクも、ハザードマップを確認しながら土地選びをすれば回避しやすいです。
自治体から指定されている土砂災害特別警戒区域を避ければ、安全な平屋が建てられるでしょう。
ハザードマップや土砂災害特別警戒区域は各自治体のHPなどで確認できます。
20坪の平屋の建築費用を抑えるコツ
1,000万円で20坪の平屋は建てられませんが、費用を抑えるいくつかのコツはあります。
希望を叶えながらも費用を抑えたい人は、参考にしてみましょう。
コツ1 設備のグレードを上げすぎない
建設費用を抑えるためには、設備のグレードを上げすぎないことが重要です。
キッチンや浴室をはじめとした水回りの設備には、複数のグレードがあります。
グレードが上がるほどに機能や性能も上がりますが、一方で費用も高くなるため、必要最低限のものに抑えましょう。
キッチンはハイグレードのものを導入し、トイレは低グレードのものにするなど、設備ごとでグレードを変えるのも費用を抑える手段です。
コツ2 間取りはシンプルにする
間取りをシンプルにまとめることで、資材費用と人件費の両方を抑えることが可能です。
部屋数が多く複雑な間取りは、資材や工期がかかるため費用のかさむ原因となります。
家の間取りを考える際には、家で暮らす人数や生活スタイルを加味したシンプルな間取りを目指しましょう。
コツ3 建て替えやリフォームも視野に入れる
将来的な建て替えやリフォームを視野に入れて平屋を建てる考え方もあります。
家族構成などが変わり、暮らし方に変化が来た際にリフォームや建て替えを行います。
最初はシンプルな間取りの平屋にすることで費用を抑えられるので、家族構成に変化があるかもしれない人におすすめの方法です。
コツ4 外壁費用は抑えない
家の建設では、外壁費用を無理に抑えない方が良いでしょう。
なぜなら外壁には、住宅の基礎や躯体部分を守る重要な役割があるためです。
住宅を守るための大切な役割を担う設備は、必要以上に質を下げたり無理に費用を抑えないようにしましょう。
20坪の平屋における間取りの例
一口に20坪平屋と言ってもさまざまな間取りがあります。
この項では、ハウスメーカーや設計事務所による20坪平屋の間取りの例を解説します。
なお、ここで解説する費用とは希望価格であり、売値の目安であることを理解しておきましょう。
それぞれの居室スペースを設けた3LDK


モデル費用 | 1,738万円(税込) |
延床面積 | 66.24m2 |
間取り | 3LDK |
エラボのいえの平屋では、家族それぞれに居室と収納を設けた3LDKプランがあります。
プライバシーに配慮しながらも12.50畳のリビングを確保しているため、家族の時間も大切にできます。
玄関横の独立した居室は来客スペースとしても活用可能です。
来客時も安心な大きな和室のある2LDK


モデル費用 | 1,000万円台 |
延床面積 | 約69m2(20坪) |
間取り | 2LDK |
玄関横に大きな8畳の和室がある平屋では、来客の際リビングに人を通さずとも対応できます。
浴室やトイレなどの生活動線も確保されているため、介護が必要になった際や足腰が悪くなった際の将来的な寝室としても利用可能です。
大型ランドリールームのある2LDK


モデル費用 | 1,000万円台 |
延床面積 | 約60m2(20坪) |
間取り | 2LDK |
20坪の平屋では、3畳の大型ランドリールームのある2LDKも実現可能です。
ランドリールームには物干し竿が設置されているため、雨の日には部屋干しもできます。
十分なスペースと作業台、そして収納を設けているため、物干し場だけではなくマルチスペースとして活用できます。
大容量の収納を設けた3LDK

延床面積 | 66.1m2 |
間取り | 3LDK |
大容量の収納を設けた3LDK間取りの例では、主寝室に大型の収納とWIC(ウォークインクローゼット)を設けることにより収納を1箇所に集約しています。
LDK部分はカウンターキッチンを採用し、広々とした空間を演出しています。
廊下をなくした17.9帖のゆとりの1LDK

モデル費用 | 1,110万円(税込) |
延床面積 | 57.96m2 |
間取り | 1LDK |
廊下を最小限にすることで、17.6畳の広々としたLDKの平屋が建てられます。
リビング窓の先にはウッドデッキが設置されているので、より広い空間の演出が可能です。
水回りを1箇所にまとめており、家事動線にも気を配った間取りとなっています。
20坪の平屋で快適に暮らす考え方
20坪の平屋でも考え方1つで快適に暮らせます。
この項では、快適に暮らせる間取り作りの考え方について解説します。
考え方1 空間を有効活用する
平屋で快適に暮らしたい場合、空間の有効活用がおすすめです。
平屋は2階建てのように上階がないため、屋根の形状を活かした勾配天井を採用すれば開放感を演出できます。
また小屋根裏(ロフト)を採用すれば、収納が不足による部屋の圧迫感を軽減できます。
天井高や面積などの一定の条件を満たすと、小屋根裏は延床面積に含まれず、固定資産税がかかりません。
考え方2 無駄を減らして最小限に暮らす
無駄を減らして最小限に暮らすのも、平屋暮らしにおける考え方の1つです。
物を減らすことはもちろんですが、収納スペースを1箇所にまとめる、本棚や書類を1箇所にまとめるなどすれば間取りの無駄を減らせるでしょう。
考え方3 間仕切りを少なくする
間仕切りを少なくすれば、小さな空間でも開放感を演出できます。
洗面所など、どうしても間仕切りが必要な箇所は、すりガラスの壁にすることでプライバシーを確保しながらも開放感が出せます。
可動式のパーテーションを活用すれば、来客時におけるプライベートゾーンの確保や、家族構成の変化にも対応できるでしょう。
20坪の平屋における注意点
20坪の平屋を建てる場合、2階建てや3階建て住宅にはない以下の注意点があります。
【平屋における注意点】
- プライバシーの確保ができるか
- 防犯や災害面のリスク
- 土地によっては採光が得られない
平屋の場合、採光を得るため1階部分に大きな窓を設けるケースがあります。
大きな窓は採光のみでなく開放感も得られますが、プライバシーの確保の難しさや防犯面のリスクが高くなる可能性もあるため注意が必要です。
平屋における注意点については、下記の記事で詳しく解説しているので確認してみましょう。
【Q&A】20坪の平屋に関するよくある質問
- ローコスト住宅の平屋なら1,000万以下で建てられる?
-
ローコスト住宅に平屋の建築を依頼しても、1,000万円以下での建築は難しいです。
前途したとおり、現在の市場では平屋を建てる際の下限価格は約2,000万円となっています。
ローコスト住宅についてはこちらの記事で、詳しく解説しています。
- 20坪の平屋をおしゃれにするポイントはある?
-
20坪の平屋をおしゃれにする場合、下記の方法がおすすめです。
平屋をおしゃれにする方法- 勾配天井を設ける
- ウッドデッキを設置する
- 窓を大きくする
- 天窓をつける
- ロフトを設ける
空間が限られる20坪の平屋では、縦の空間をどう活かすかがポイントとなります。
勾配天井や天窓はおしゃれなだけではなく、開放感も得られるためぜひ取り入れてみましょう。
建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?
ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。
注文住宅の設計プランや費用は、施工店によって大きく異なることがあります。
そのときに大事なのが、複数社に見積もりを依頼し、「比較検討」をするということ!
実際に注文住宅を建てるには時間がかかるので、この記事で大体の予想がついた方は早めに次のステップへ進みましょう!
「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」
「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」
そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
一生のうちに注文住宅を建てる機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール

タクトホームコンサルティングサービス
亀田融一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。
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