2024年04月11日更新
建て替えた建物の取得価格に入る?建物の取り壊し費用
社屋など事業と関わりのある建物を取り壊す場合、その目的によって取り壊し費用の経理上での扱い方も違ってきます。
建物を取り壊して新しい事業用の建物を建設する予定であったり、更地にして親族などの第三者に譲渡する予定であったりと、土地が使われる目的はさまざまでしょう。
また、建物付きの土地を事業用に新たに購入して建物を取り壊す場合もあるでしょう。
建物の取り壊し費用の税務上の取り扱い方
まず、取り壊し費用の税務上の取り扱い方について、詳しく見ていきましょう。
建物を取り壊した後、同じ目的(社屋、貸付物件等)で建て替えた場合
古くなった社屋や所有していたアパートを、建て替え前と同じ利用目的で建て替えるために取り壊す場合、その取り壊し費用は「必要経費」として計上します。
必要経費とは所得を生み出すために必要とされる経費で、これには税金がかかりません。
所得税は、収入金額から解体費用などを含めた必要経費分を引いて残った額に課せられるうことになります。
このケースでは取り壊した後の土地の利用目的が、以前と変わらない事業目的となるため、取り壊し費用も事業の一環とみなされ、必要経費としての扱いになるのです。
建物を取り壊した後、第三者に敷地を譲渡する場合
必要がなくなった建物を取り壊し、更地になった土地を第三者に譲渡する場合、その取り壊し費用は「譲渡費用」として扱われます。
不動産を譲渡する場合、売却して得た所得(譲渡所得)に対して税金が課せられますが、この譲渡所得とは、売却金額から該当する不動産を得た際にかかった費用(取得費)と譲渡するのにかかった費用(譲渡費用)を差し引いた額のことです。
また、譲渡所得にかかる税額を計算する際には、この譲渡所得にさらに控除の特例等が適用されるケースがあり、場合によっては譲渡所得がマイナスになることもあるでしょう。
第三者が所有する土地付きの建物を購入した後、取り壊した場合
建物付きの土地を購入し、その建物を取り壊して新しく社屋やアパートなどの事業目的の建物を建てる場合には、その取り壊し費用は「土地の取得価額」とみなされます。
土地付きの建物を購入したにも関わらず、すぐに建物が取り壊されるということは、「建物」の取得が目的だったのではなく、「土地」の取得が目的だったとみなされるため、取り壊し費用も経費としては扱われないのです。
ただし建物を購入してからほぼ1年以上が経過すると、その建物は所有者の所有物としてみなされるため、取り壊し費用も必要経費として計上することができます。
しかし、購入から1年以内であったとしても、不慮の火事や天災などで建物を壊さなくてはならない場合、その取り壊し費用は経費として計上することができます。
取り壊し費用を建て替えた建物の取得価格に入れる?入れない?
取り壊し費用を必要経費として計上することができるのか、それとも取得価額として取り扱うのかは、購入した建物をもともと所有していたかどうかがポイントです。
それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
事業用の建物を建て直すための取り壊し費用なら必要経費
すでに所有している事業用の建物を新しい事業用の建物を建てるために取り壊した場合には、その取り壊し費用は「必要経費」として扱われます。
なぜなら取り壊しは、事業の運営に必要なこととしてみなされるからです。
自宅に建て替えるなら家事費
ただし所有していた建物でも、その建物を取り壊した跡地に建てられるものが自宅や別荘などの住宅で非事業目的の場合には、取り壊し費用は「家事費」として取り扱われ、経費としては認められません。
家事費とは、家族の生活費や医療費、自宅の電気代やガス代、水道代などの個人的支出のことです。
個人の居住目的として建物を取り壊す場合には、取り壊し費用もこの生活費用の一部として取り扱われ、経費とはなりません。
自宅兼業務用の建物を建てるなら家事関連費
また建物が壊された後の土地に自宅兼業務用の建物を建てる場合には、「家事関連費」として扱われます。
家事関連費は原則必要経費として計上できませんが、業務遂行上必要だと認められると必要経費として計上することもできます。
新しく建てる建物が、自宅としてよりは業務用資産としての価値が高いと認められれば、取り壊し費用も必要経費として計上できる可能性があります。
しかしこの判断は難しいため、不動産関連に詳しい税理士などに相談すると良いでしょう。
新しく購入した建物の取り壊し費用は取得費
一方、第三者が所有していた土地と建物を購入して、その建物を建て替える場合の取り壊し費用は、上述の通り必要経費ではなく土地の取得価額として扱われます。
この場合の取得価額とは、不動産を購入したときにかかった費用のことで、消費税などの税金や取得に際しての諸経費も含まれます。
土地の利用目的が事業用であったとしても経費としてはみなされず、また、個人の住宅を建てるために取り壊した場合でも、その取り壊し費用は所得価格に入れられることになります。
建て替えのための取り壊し費用の取り扱いについて
建て替えを第一目的として建物を取り壊すことになったとしても、取り壊し費用の経理上の取り扱い方は上記の説明と変わりはありません。
つまり、会社やアパートなどの業務用の建物の建て替えのための取り壊し費用は必要経費として計上されます。
なぜなら取り壊された後に建つ建物が、それ以前と同じように業務用としての資産だからです。
もしもその建物が共有名義であったとしても、必要経費として扱われることに変わりはありません。
共同名義の物件の建て替えには共有名義者全員の同意が必要ですが、取り壊し費用を名義人それぞれがどれくらいずつ負担するかについては法律上の規定はありませんので、共有者と話し合って配分が決められることになるでしょう。
一方、建て替えで取り壊される建物が自宅や別荘などの業務目的ではない建築物の場合は、取り壊し費用は家事費としての扱いになり、経費としては計上されません。
このように取り壊し費用は取り壊した後に建つ新しい建築物の目的によって取り扱い方が変わってきます。
業務用に土地が使われれば取り壊し費用は経費として、非業務用であれば家事費として取り扱われるというように整理しておくと覚えやすいでしょう。
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この記事の監修者プロフィール
タクトホームコンサルティングサービス
亀田融一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。
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