2025年01月21日更新

監修記事

市街化調整区域の宅地に家を建てる!条件や手続き方法・注意点を解説

市街化調整区域には原則として住居や商業施設を建てられません。
しかし、都市計画法における開発の許可を受ければ、家を建てることも可能です。
当記事では、市街化調整区域に家を建てる方法や建築の制限、条件を詳しく解説します。市街化調整区域に家を建てたい人は参考にしましょう。

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市街化調整区域の宅地は自由に建築できる?

市街化調整区域は原則として、住宅や商業施設などの建設は認められていないため、宅地であっても自由な建築はできません。

しかし、市街化調整区域であっても、要件を満たし開発許可を得ることで建築が可能です。

都市計画法第34条によると、市街化調整区域の宅地で建築できる建物は、分家住宅や住宅兼用店舗とされています。

出典:都市計画法|第三章 都市計画制限等

宅地でも建築許可が必要

宅地利用の認められた土地は開発許可申請の必要はありませんが、建築許可は必要となるため注意しましょう。

市街化調整区域とは

市街化調整区域とは、都市計画法に基づいて定められた区域区分の1つです。

この区域では国が管理を行なっており、さまざまな規制がかけられています。

市街化調整区域においては、市街化を抑制する区域であり、原則として住宅やビル、商業施設などの開発行為は禁止とされています。

>>市街化調整区域について詳しくはコチラ

市街化調整区域に住宅を建てられる地目

市街化調整区域に住宅を建てられる地目は、宅地・山林・原野・雑種地の4種類です。

山林・原野・雑種地は、一般的な住居ではなく農林漁業を営む人の住宅や公共施設の用地として例外的に認められます。

このため、市街化調整区域において一般的な住居を建てられる地目は宅地のみと言えるでしょう。

所有地の地目は、土地の登記簿から確認可能です。

地目(じめ)とは?

地目とは土地の現状や使用目的などによって、その種類を示すための分類名のことを言います。

市街化調整区域の地目は宅地に変更可能

市街化調整区域でも地目を宅地へ変更可能です。

地目が宅地ではなく農地などの場合には、住居は建てられないため、まずは変更手続きを行いましょう。

地目変更には転用申請許可書の提出など、開発許可とは別の手続きが必要となります。

土地の広さが4ヘクタール以下の場合には都道府県知事の許可、それ以上の場合には農林水産大臣の許可が必要です。

なお、登記簿謄本もしくは固定資産税評価証明の地目のいずれかが宅地である場合、地目を変更できる可能性は高いでしょう。

地目変更はどのように行う?

土地を管轄する法務局から地目変更登記申請書をもらい記入し、必要書類を添付して法務局へ提出します。手続きは司法書士や土地家屋調査士へ依頼可能です。

地目の種類

地目は法律上23種類に分けられています。

宅地 建物の敷地およびその維持若しくは効用を果たすために必要な土地
農耕地で用水を利用して耕作する土地
農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
牧場 獣畜を放牧する土地
原野 耕作の方法に寄らないで雑草・灌木類の生育をする土地
塩田 海水を引き入れて塩を採取する土地
鉱泉地 鉱泉の湧出口およびその維持に必要な土地
池沼 灌漑用水でない水の貯留池
山林 耕作の方法に寄らないで竹木の生育をする土地
墓地 人の遺骸、遺骨を埋める土地
境内地 社寺の境内に属する土地
運河用地 運河法第12条第1項第1号または第2号に掲げる土地
水道用地 給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水池、濾水場、そく水場、水道線路に要する土地
用悪用地 灌漑用または悪水排泄用の水路であり、耕地利用に必要な水路
ため池 耕地灌漑用の用水貯溜池
防水のために築造した堤防
井溝 田畝(でんぽ)または村落の間にある通水路
保安林 森林法に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地
公衆用道路 一般交通の用に供する道路
公園 公衆の遊楽のために供する土地
鉄道用地 鉄道の駅舎、付属施設および路線の敷地のすべて
学校用地 校舎、附属施設の敷地および運動場
雑種地 以上22の地目のどれにもあてはまらない土地
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市街化調整区域の宅地に建築する方法

市街化調整区域に建築を行う際、宅地利用の認められている土地であることが大前提です。

しかし、前途したように宅地でも自由な建築ができるわけではなく、建てられる家は都市計画法第34条により下記に限定されます。

住宅の種類概要
住宅兼用店舗自宅と店舗が一体型の建物
既存住宅の建て替え同規模・同程度の住宅への建て替え
分家住宅農林漁業を営んでいる本家から分家した人の家
市街化調整区域の宅地に建てられる住宅

上記の他にも、都市計画法第34条11号で定められた「市街化区域との境界付近にある土地」では建築可能なケースがあります。

出典:青森県平川市|都市計画法第34条11号

市街化調整区域に建築するメリット・デメリット

市街化調整区域に建築するメリットとデメリットは下記のとおりです。

メリットデメリット
・土地が安い
・固定資産税が安い
・静かな環境であるケースが多い
・新築や建て替えに許可が必要
・売却が難しい
・住宅ローンに通りにくい
・インフラ整備が遅れやすい
・学校や病院などの公共施設から遠い可能性がある
市街化調整区域におけるメリット・デメリット

市街化調整区域は、土地や固定資産税などの費用を抑えられるメリットがあります。

具体的には、市街化区域の半分以下の費用で土地購入が可能です。

その一方で、売却の難しさや住宅ローンが通りにくいデメリットも挙げられます。

市街化調整区域の購入時には、メリットとデメリットをよく理解して検討しましょう。

>>市街化調整区域のメリット・デメリットについて詳しくはコチラ

市街化調整区域の宅地に建築物を建てる流れ

市街化調整区域で建築物を建てる場合の手続きの流れは下記のとおりです。

なお、この項では土地の地目は宅地として流れを解説します。

地目変更手続きの流れは、当記事「市街化調整区域の地目変更は可能」を参考にしましょう。

STEP
自治体に相談

家を建てるための許可を得るためには、市街化調整区域の土地を管轄する自治体に相談を行います。

STEP
事前相談所の提出

自治体ごとによって手続きの流れや方法などは異なりますが、一般的には相談の後に事前相談書を提出します。

事前相談書に記載する内容は?

開発・建築計画の内容、所在地、面積、土地の所有者などの情報を記載します。

STEP
建築確認申請

事前相談書の判定の結果、許可が不要となった場合、建築確認の申請に進みます。

一方で、許可が必要となった場合は、開発許可申請・建築許可申請を行い、開発審査会にて議決する必要があります。

建築確認申請とは?

建築する建物が法令に適合しているかを確認するための申請です。

STEP
建築開始

開発許可が降りると建築開始です。

都市計画法第34条によって定められた要件に沿った建築を行います。

市街化調整区域は改築・建て替えでも許可が必要

市街化調整区域では建て替えの際にも許可が必要です。すでに住宅がある市街化調整区域の土地を購入した場合や、家族から引き継いだ住宅を建て替える際には許可を受けましょう。

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市街化調整区域の宅地で建築費用以外にかかる費用

市街化調整区域では、建築費用以外にさまざまな費用を見込んでおく必要があります。

中には、土地の状態によっては発生しない費用もありますが、この項では建築費用以外にかかる可能性のある費用をご紹介します。

費用1 インフラ整備費用

インフラ整備のない土地では、インフラ整備費用が必要となります。

インフラ整備費用は国や自治体ではなく、一般的に家主が支払います。

費用は整備内容によって数百万円に及ぶこともあるでしょう。

市街化調整区域ではインフラ整備の整っていないケースが大半です。

1つの目安として、購入する土地にすでに住宅がある場合はインフラ整備されている可能性は高いと言えます。

過去に住宅のなかった土地は、購入前に必ずインフラの確認を行いましょう。

インフラとは?

インフラにはガス・水道・電気・浄化水槽などが挙げられます。

費用2 開発許可申請の手数料

市街化調整区域における開発許可申請の手数料は、開発する面積や自治体によって異なります。

下記に、具体例として神奈川県川崎市の自己居住用住居における開発許可申請手数料をまとめました。

開発の面積手数料
0.1ヘルタール未満8,600円
0.1ヘクタール以上、0.3ヘクタール未満22,000円
0.3ヘクタール以上、0.6ヘクタール未満43,000円
0.6ヘクタール以上、1.0ヘクタール未満86,000円
1.0ヘクタール以上、3.0ヘクタール未満130,000円
3.0ヘクタール以上、6.0ヘクタール未満170,000円
6.0ヘクタール以上、10.0ヘクタール未満220,000円
10.0ヘクタール以上300,000円
出典:川崎市|開発行為・宅地造成工事に関する各種申請手数料について

開発許可申請の手数料はあからじめそれぞれの自治体のものを確認しておきましょう。

費用3 建築許可申請の手数料

市街化調整区域における建築許可申請の手数料も、自治体により異なります。

神奈川県川崎市を例に挙げると、建築許可申請の手数料は土地の規模に関わらず1件あたり46,000円です。

出典:川崎市|(3)都市計画法第41条第2項ただし書(同法第35条の2第4項において準用する場合を含む)の規定に基づく建築の許可の申請について

こちらについても、開発許可申請の手数料と同様にそれぞれの自治体における費用を確認しておきましょう。

費用4 地盤改良費用

地盤調査の結果、脆弱な土地と判断された場合には地盤改良の費用も見込む必要があります。

地盤改良は工法や坪数により費用が下記のように異なります。

工法1坪あたりの費用
表層改良工法約3万円
柱状改良工法4〜5万円
鋼管杭工法5〜7万円
地盤改良における費用の目安

地盤改良にどの工法を用いるかは地盤調査の結果です。

地盤調査や地盤改良について詳しく知りたい人は下記の記事を参考にしてみましょう。

>>地盤調査・地盤改良について詳しくはコチラ

【Q&A】市街化調整区域の宅地に関するよくある質問

市街化調整区域を宅地に変更する方法はありますか?

市街化調整区域を宅地に変更するためには、地方自治体による開発許可を得たのち、地目変更登記申請書を提出する必要があります。

地目変更登記申請書は、市街化調整区域のある土地を管轄する法務局で申請可能です。

市街化調整区域は買わない方が良いというのは本当ですか?

市街化調整区域であるからといって、一概に買わない方が良いわけではありません。

資産価値のみで話すと、売却しにくく価値が上がる可能性は低いためおすすめできないでしょう。

しかし、市街化調整区域は相場より安く税金も抑えられる利点があります。

市街化調整区域のメリットデメリットについては当記事内の「市街化調整区域に住むメリットとデメリット」で詳しく触れています。

市街化調整区域で家の建て替えはできますか?

市街化調整区域にある家の建て替えは、都市計画法第34条における開発の許可を受けることで可能です。

地方自治体によって開発許可を受ける要件は異なり、専門的な知識や多岐にわたる書類が必要となります。

このため、開発許可を受ける際には行政書士など専門家への依頼がおすすめでしょう。

市街化調整区域の土地は建築許可を貰えますか?

市街化調整区域の土地では一定の要件を満たした場合のみ建築許可を貰えます。

詳しい要件については、当記事内「市街化調整区域に建築する方法」で解説しているので参考にしてみましょう。

市街化調整区域の土地は売却できますか?

市街化調整区域の土地だからといって売却できないということはありません。

しかし、市街化調整区域は通常の土地と比較すると買主が見つからないケースや、納得できる価格で売買できないケースは可能性として考えられます。

市街化調整区域の土地の売買は、難易度が高くトラブルにも陥りやすいため、専門業者へ相談してみましょう。

市街化調整区域の土地は資産価値が低くなりやすいですか?

市街化調整区域の土地は資産価値が低くなりやすい傾向にあります。

元々、市街化調整区域は資産価値が低く、流通価格は市街地の半分以下であることも少なくありません。

開発が制限されたエリアであるため、今後発展する見込みも低く、資産価値の下がる可能性は高いでしょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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