2025年01月16日更新
建て替えと買い替えメリットデメリットを解説!どちらが向いている?
建て替えは、現在の土地を活用しながら最新設備や理想の間取りを実現できます。一方買い替えは、新しい地域や利便性の高い環境に移り住むことで生活の質を向上させられる点がメリットです。
本記事では、住まいのニーズや費用、生活スタイルに合わせてどちらが向いているかをわかりやすく解説します。
目次
建て替えか買い替えかどちらが適している?
住まいを変える際の選択肢として、建て替えと買い替えがあります。
どちらが適しているかを判断するためには、それぞれの特徴を理解することが重要です。
建て替えとは、現在の住居を解体して新たに建て直すことを指します。
建て替えは長年住み慣れた土地にそのまま住み続けられる点が特徴です。
たとえば、地元のコミュニティや学校区を変えたくない場合には建て替えが適しています。
買い替えとは新しい物件を購入し、現在の家を売却または手放して新たな住居に移り住むことです。
生活環境を一新したい場合や、より広い土地や利便性の高い地域に移住したい場合に向いています。
それでは建て替えか買い替えか考えるうえで、事前に考えておくべきことを2点ご紹介します!
1 建て替え・買い替えの目的を明確にする
建て替えや買い替えを成功させるためには、まず目的を明確にすることが大切です。
目的としては、家族構成の変化やライフスタイルの変化が主な要因です。
たとえば子どもが独立した後には、広すぎる家の管理の負担を軽減するために買い替えを検討するケースがあります。
また、高齢者の場合、バリアフリー化を目的として平屋への建て替えを選ぶこともあります。
将来の生活をイメージして、より快適な住まいにするためにはどちらが向いているか検討することが大切です。
2 ローンを活用するか検討する
建て替えや買い替えには多額の費用がかかるため、ローンの活用を検討しましょう。
自己資金だけでまかなうのが難しい場合、住宅ローンや買い替えローンを利用する選択肢があります。
まずは、現在の住宅ローンの残債を確認しましょう。残債が多い場合、新たなローンの審査に影響を与えることがあります。
新たなローンを利用する際には、月々の返済額や利率をシミュレーションし、無理のない返済計画を立てることが大切です。
建て替えのメリット・デメリット
建て替えには、現在の土地や環境を維持しながら新しい住まいを手に入れる魅力があります。
一方で、特有の課題や費用が発生するため、事前の十分な検討が必要です。
以下では、建て替えのメリットとデメリットを整理し、それぞれを詳しく解説します。
建て替えのメリット
建て替えの大きな利点は、既存の間取りの制約を受けずに理想の間取りや設備を実現できる点です。
建物を解体することで地盤調査や改良工事が行えるため、安心して長く暮らせる環境を整えられます。
では、建て替えのメリットについて、以下に解説します。
メリット1 同じ地域に住み続けられる
建て替えを選ぶ最大の魅力は、住み慣れた地域にそのまま住み続けられることです。
とくに、子どもの学校や職場、地域コミュニティを変えたくない場合には最適です。
また、上下水道やガスといった既存のインフラを活用できる場合があり、新たな工事費用を抑えられる可能性もあります。
メリット2 建て替え際に家のサイズを比較しやすい
同じ土地の形状や面積内で建築するため、建て替え時には家のサイズ感や間取りの比較が簡単にできます。
新しい家がどの程度の広さでどのような構造になるのかをイメージしやすい点は、設計時の大きなメリットでしょう。
建て替えのデメリット
建て替えには上記の魅力的な点が多いものの、特有のデメリットも存在します。
デメリット1 解体費用がかかる
建て替えを行う場合、既存建物の解体費用がかかります。
解体作業では廃棄物処理や安全基準の遵守が必要なため、時間と費用がかさむ可能性もあります。
デメリット2 建て替え工事の間、仮住まいが必要になる
建て替え中は現在の家に住めないため、仮住まいへの引越しが必要です。
仮住まいの家賃や引越し費用が追加で発生し、金銭的な負担が増加します。
また、仮住まいへの移動や生活環境の変化がストレスになることもあるため、これらの点を考慮して計画を進めましょう。
>>建て替えで仮ぐらしが必要な期間・費用の目安はこの記事で紹介!
買い替えのメリット・デメリット
買い替えは、生活環境を大きく変えることで新たな可能性を生み出せる方法です。
以下では、買い替えのメリットとデメリットを表にまとめ、それぞれ詳しく解説します。
買い替えのメリット
買い替えは新しいライフスタイルや地域に適応するための優れた手段で、住環境の改善や資産価値の向上を目指す目的として大きな魅力があります。
メリット1 今の物件の売却費用を新居の購入費用に充てられる
買い替えでは現在の物件を売却し、その売却費用を新居の購入費用に充てることが可能です。
たとえば土地だけでなく建物にも売却価値がある場合、その資金を新たな住宅資金に組み込むことで、経済的な負担を軽減できます。
メリット2 より生活しやすい住環境にできる
買い替えは現在の住居を売却して新しい土地や地域に移るため、ライフスタイルや家族構成に合った環境を選べます。
交通アクセスが良い場所や買い物が便利な地域、または自然に囲まれた静かな土地など、個々の好みに応じた選択が可能です。
メリット3 仮住まいの必要がない場合がある
建て替えの場合と異なり、買い替えでは仮住まいが必要ない場合があります。
旧居の売却後に新居へ直接引越しが可能なスケジュールで進めると、二重の引越し費用や仮住まい費用が発生しません。
この点は費用面での大きなメリットです。
メリット4 不動産の資産価値を高めやすい
現在の物件よりも利便性が高く人気のある地域に移ることで、不動産の資産価値が向上する可能性もあります。
商業施設が充実しているエリアや、将来的に地価が上昇すると予測される土地を選ぶことで、資産としての価値を高められます。
メリット5 住み替えローンを活用できる
住宅ローンに残債がある場合でも、住み替え専用のローンを活用することで、新しい住まいの購入が可能になります。
このローンは、現在の家のローン残債と新居の購入資金を一本化できるため、資金計画を立てやすい点が特徴です。
買い替えのデメリット
買い替えは多くのメリットがある一方で、独自のデメリットも存在します。
とくに、土地探しの手間や旧居の処理に関する課題は慎重な対応が求められます。
では、買い替えのデメリットについて確認してみましょう。
デメリット1 土地を探す手間がかかる
買い替えでは新しい土地や物件を探す必要があるため、手間と時間がかかります。
家族のライフスタイルや通勤・通学の利便性に合った場所を見つけるのは容易ではありません。
また、希望条件を満たす物件が市場に出回るタイミングも重要です。
デメリット2 旧居を売却したり解体しないと空き家として手元に残る
買い替えをして旧居を売却または解体しない場合、空き家として手元に残ることがあります。
空き家の維持には管理費用がかかるだけでなく、放置すると資産価値が低下するリスクもあります。
買い替えする場合は、旧居の処理計画を早めに立てることが重要です。
建て替え・買い替えで知っておきたい注意点
建て替えや買い替えを検討する際には、それぞれの特性や課題を事前に把握することが重要です。
以下では、建て替えと買い替えに共通する注意点や、それぞれ特有の課題を解説します。
建て替えの注意点
建て替えは、現在の土地に理想の住まいを建設できる一方で、法律や資金計画に関する注意が必要です。
【建て替えの注意点】
- 再建築不可物件に注意する
- 容積率や建蔽率、高さ制限に注意する
- 土地・建物の名義が誰になっているか確認する
- 無理のない資金計画を立てる
建て替えの注意点については、以下のページで詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
買い替えの注意点
買い替えをスムーズに進めるためには、いくつかの重要な注意点があります。
【買い替えの注意点】
- 信頼できる不動産会社を選ぶ
- 査定額を参考程度に考える
- 売却期間に余裕を持つ
- 総合的なサポート体制を確認する
では、一つずつ解説します。
注意点1 信頼できる不動産会社を選ぶ
買い替えを成功させるには、地域に精通し、実績のある不動産会社を選ぶことが不可欠です。
媒介契約を結ぶ際には、提供されるサービス内容や手数料を確認し、自分に合った会社を慎重に選択しましょう。
注意点2 査定額を参考程度に考える
複数の不動産会社に査定を依頼するのは一般的ですが、査定額は目安であり、必ずしもその価格で売れるとは限りません。
近隣の類似物件の売却価格を調べるなどして、相場感をつかむことが重要です。
提示された査定額にこだわりすぎると、売却のタイミングを逃す可能性もあるため、柔軟な対応を心がけましょう。
注意点3 売却期間に余裕を持つ
物件の売却が短期間で完了するとは限りません。
売却までに数か月から1年以上かかる場合もあります。そのため、スケジュールには余裕を持たせることが必要です。
「買い先行」で買い替えを行う場合は、売却が長引くと資金計画に影響を与える可能性があるため、不動産会社と相談しながら「売り先行」も視野に入れると良いでしょう。
注意点4 総合的なサポート体制を確認する
買い替えでは、売却と購入のスケジュール調整や手続きや住宅ローンの見直しなど、さまざまな工程があります。
これらをトータルでサポートしてくれる不動産会社を選ぶことで、スムーズな進行が期待できます。
担当者との信頼関係を築き、疑問や不安を早めに解消することで、効率よく買い替えを進めましょう。
建て替え、買い替えにかかる費用
建て替えと買い替えの費用を比較すると以下の通りです。
項目 | 建て替え | 買い替え |
全国平均費用 | 約5,745万円 | 約5,963万円 |
解体費用 | 100~200万円 | – |
住宅建築費用 | 3,000~4,000万円 | 約4,034万円 |
土地費用 | – | 約1,929万円 |
諸費用 | 約100万円 | 不動産仲介手数料など |
平均延床面積 | 約136.3㎡(約41.23坪) | 約116.2㎡(約35.15坪) |
建物坪単価 | 約139万円 | 約114万円 |
総額では買い替えの方が約218万円高いですが、自宅の売却益によって実際の負担額は異なるため、あくまで参考にしましょう。
ではそれぞれの費用相場の内訳を見てみましょう。
建て替えにかかる費用の内訳
建て替えにかかる費用の内訳は以下の通りです。
費用の種類 | 費用の相場 |
---|---|
本体工事費 | 3,000万〜5,000万円 |
付帯工事費 (外構工事や上下水道の引込み費用など) | 200万〜600万円 |
設計監理費 | 100万〜300万円 |
地盤調査費 | 5万〜20万円 |
地盤改良工事費 | 50万〜200万円 |
解体工事費 | 120万〜300万円 |
測量費 | 10万〜30万円 |
税金 (印紙税、登録免許税、不動産取得税など) | 10万〜80万円 |
登記費用 | 15万〜30万円 |
引越し・仮住まい費用 | 100万〜150万円 |
家具・備品の購入費用 | 100万〜300万円 |
合計 | 3,710万~7,010万円 |
それぞれの項目の詳細は以下のページで解説していますので、参考にしてみてください。
買い替えにかかる費用の内訳
買い替えにかかる費用相場は以下の通りです。
費用の種類 | 費用の相場 |
---|---|
住居購入費 | 3000万円〜6000万円 |
不動産仲介手数料(売却) | 売却額の3~5%+6万円 |
不動産仲介手数料(購入) | 購入額の3%+6万円 |
税金 (印紙税や登録免許税など) | 10万〜80万円 |
登記費用 | 15万〜30万円 |
その他諸経費 | 購入額の5〜8% |
引越し・仮住まい費用 | 100万〜150万円 |
買い替えの方法(売り先行、買い先行、同時進行)や物件の状況、地域によって変動します。
建て替え・買い替えどっちが向いている?
建て替えと買い替えは、将来の生活基盤を大きく左右する選択です。
それぞれのケースにおいてどちらが向いているかを具体的に解説します。
建て替え向いている場合
建て替えが向いているのは、現在の住環境や土地を維持しながら、住まいを新しくしたい場合です。
以下のような方は建て替えに適しています。
- 間取りやデザインを一新したい人
現在の家が古く、家族構成や生活スタイルに合わない場合や、最新の住宅設備を導入したい場合に向いています。
- 慣れ親しんだ地域で暮らし続けたい人
地元の学校や職場、地域コミュニティを維持したい場合や、既存のインフラをそのまま活用したい場合に向いています。
- 土地のポテンシャルを活かしたい人
現在の土地の条件が良く、建物だけを新しくすることで資産価値を高めたい場合に向いています。
- 地震や老朽化への不安を解消したい人
古い家屋の耐震性や老朽化が気になる場合や、建て替えで安心して暮らせる住環境を整えたい場合に向いています。
買い替えが向いている場合
買い替えが向いているのは、新しい環境でライフスタイルを一新したい場合や、現在の住環境が不便に感じられる場合です。
以下のような方は買い替えに適しています。
- 特定の地域に住みたい人
通勤や通学に便利な場所や商業施設が充実した地域、または自然豊かな土地に移り住みたい場合に向いています。
- ライフスタイルの変化に合わせたい人
子どもの独立や家族構成の変化により、現在の家が広すぎる、または手狭に感じる場合に向いています。
- 新しい住環境を求めている人
現在の地域が災害リスクや、交通の不便さなどで不満がある場合に向いています。
- 資産価値を重視したい人
買い替えによって地価が高いエリアや人気のある地域に移住することで、不動産の資産価値を向上させたい場合に向いています。
- 住まいの選択肢を広げたい人
中古住宅や新築戸建て、マンションなど、さまざまな選択肢から住まいを選びたい場合に向いています。
建て替えと買い替えのどちらを選ぶべきかは、それぞれのメリットと自身のライフスタイルに合った選択肢を比較し、慎重に検討することが重要です。
建て替え・買い替えのQ&A
- 老後の住み替えに潜む恐ろしい罠はある?
-
老後に住み替えを考える際、とくに注意すべき点は「売却益がほとんど出ない場合があること」です。
たとえば、築年数が経過した戸建て住宅は、土地の価値に比べて建物自体の価値が大幅に下がるケースが多くあります。
現在の不動産価値やローン残高をしっかり確認し、必要に応じて不動産会社に相談することが大切です。
- 建て替えかリフォームならどっちがいい?
-
建て替えとリフォームの選択は、現状の住宅の状態やライフスタイルによって異なります。
どちらを選ぶにせよ、費用対効果を考慮し、必要に応じて専門家の意見を取り入れることが重要です。
- 古い家の建て替えは補助金がでる?
-
古い家の建て替えを行う場合、条件を満たせば新築住宅と同様の補助金を受けられるケースがあります。
また、耐震性を向上させる建て替えについても、自治体が独自に助成金を用意している場合があるので確認しましょう。
- 老後のための平屋建て替え費用はどのくらい?
-
平屋への建て替え費用は2,000万円~4,000万円です。
具体的な金額は土地の広さや建築仕様、設備のグレードによって異なります。
建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?
ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。
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この記事の監修者プロフィール
一級建築士事務所アルド住宅研究所
弘中純一一級建築士、宅地建物取引士。プレファブ住宅の開発からスタートし、以来40年にわたり住宅産業に従事。建築設計事務所・住宅リフォーム会社の経営を経て、現在は住宅の悩みを解決する、コンサルティングを中心に活動中。
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